二次創作小説(紙ほか)

Re: 第二百六話 濁流 ( No.365 )
日時: 2016/08/15 17:35
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: wGslLelu)

吹っ飛ばされたガブリアスが起き上がり、自身を鼓舞するように吼える。
「ガブリアス、怒りの炎!」
「ディザソル、火炎放射!」
ガブリアスが荒れ狂う爆炎を放ち、対するディザソルは灼熱の業火を噴き出す。
両者の放った炎が激突し、爆発を起こす。
「突撃です、ガブリアス! ドラゴンダイブ!」
ガブリアスが地を蹴り、爆煙の中を一気に突っ込む。
龍の力をその身に纏い、凄まじい殺気と共に突撃する。
「ディザソル、躱してサイコカッター!」
小さく跳躍し、ディザソルは最低限の動きでガブリアスの突撃を躱す。
勢い余って後方に飛んでいくガブリアスへ、念力を纏った鎌を振って二枚の念力の刃を飛ばす。
「躱して地震!」
地面を思い切り蹴り、ガブリアスは飛び上がった。
念力の刃を躱すと、上空から脚を構えて急降下する。
「ディザソル、躱してぶち壊す!」
ガブリアスが地面に激突し、フィールドを激しく揺らす。
だがディザソルは跳躍して地震の衝撃波を回避、フィールドに置かれた岩山を足場に、ガブリアスの元へと突貫する。
「ガブリアス、迎え撃ちなさい。辻斬り!」
ガブリアスが両手の爪を黒く染め、迫り来るディザソルを迎え撃つ。
ディザソルが渾身の力で二枚の鎌を振り下ろすが、ガブリアスの両爪に阻まれる。
「怒りの炎!」
「神速!」
目の前にガブリアスが荒れ狂う灼熱の炎を撃ち出す。
しかしそれよりも早くディザソルがガブリアスの背後に回り、背後からガブリアスを突き飛ばす。
つまり、
「……! ガブリアス!」
ガブリアスは自らが放った爆炎の中に押し込まれ、その身を焼かれていく。
「今だディザソル! 火炎放射!」
炎に焼かれるガブリアスへ、ディザソルはさらに灼熱の業火を放つ。
「そこまでですぞ。ガブリアス、ドラゴンダイブ!」
炎の海の中で体力を削られながら、それでもガブリアスは龍の力を纏って突貫する。
炎の中を突っ切り、ディザソルに激突し、吹き飛ばした。
「ガブリアス、辻斬り!」
吹き飛ぶディザソルを追うガブリアスの爪が黒く染まる。
起き上がったばかりのディザソルへ、二本の爪を振り下ろす。
「ディザソル、躱せ!」
その寸前。
ディザソルが横に飛び、間一髪でガブリアスの爪を躱した。
両手の鋭い爪は、地面に深々と突き刺さり、
「ぶち壊す!」
その隙を逃さず、渾身の力を込めてディザソルは額の二枚の鎌を振り下ろし、ガブリアスを吹き飛ばした。
ガブリアスは叩き飛ばされ、岩山に激突。
今までのダメージも蓄積し、ついに限界を超え、ガブリアスは戦闘不能となった。
「ここまででしたか。ガブリアス、休んでいなさい」
ガブリアスを戻すセンドウの表情に、変化は見られない。
それもそのはず。パンプッチとディザソルに決して小さくないダメージを負わせ、さらにトゲキッスを倒したのだ。先鋒として充分すぎる仕事をしたと言えるだろう。
「ディザソル、一旦休んでてくれ」
レオも疲れているであろうディザソルをボールに戻す。
「私のガブリアスの速度を上回るとは。お見事ですな」
それでは、とセンドウは次なるボールを取り出す。
「潤せ、トリトドン!」
センドウの二番手は青色の首の長いウミウシのようなポケモン。昔は背中に殻があったらしく、背中にはその名残のような突起がある。
何を考えているのか分からない三つの目が、じっとレオを見据えている。
ウミウシポケモンのトリトドン。水・地面タイプで、住む環境によって姿を変えてきたポケモン。この青い姿は東の海の姿と言われている。
「トリトドンか。水・地面タイプなら、頼んだぜ、パンプッチ!」
レオの繰り出すのは最初に出て来たパンプッチ。ガブリアス戦でのダメージはあるが、まだ充分戦える。
「やはりですな。ここはパンプッチで来ると思いましたぞ。ですがトリトドンを使う以上、草タイプ対策は万全。冷凍ビーム!」
トリトドンが口を開き、凍える冷気の光線を放つ。
「パンプッチ、躱してエナジーボール!」
軽やかな動きで冷気の光線を躱し、パンプッチは葉の杖を振って、自然の力を込めた光の弾を放つ。
「トリトドン、躱して濁流!」
見た目に似合わない身軽な動きでトリトドンは跳躍し、光の弾を躱す。
着地すると同時に、トリトドンは腹下から泥で濁った水を周囲に放つ。
「パンプッチ、ハイドロポンプ!」
杖を振り、パンプッチは大量の水を噴射する。
泥水の波と水柱が激突し、お互いに勢いを失う。
「シャドーボール!」
流れるような動きで杖を振り、パンプッチは黒い影の弾を撃ち出す。
トリトドンに直撃して影の弾が炸裂し、
「続けてエナジーボール!」
攻撃の手を緩めず、パンプッチはさらに杖を振るが、
「トリトドン、冷凍ビーム!」
シャドーボールを受けても全く体勢を崩す様子もなく、トリトドンは凍える冷気の光線を放ち、放たれた光の弾を防ぐ。
「私のトリトドンの特性は粘着。本来は道具を取られなくなる特性ですが、私のトリトドンはこれを生かしてフィールドに張り付くことが出来る。どんな技を受けても、吹き飛ばされることなく耐えて反撃に出ることが出来ますぞ」
つまり、先ほどトリトドンは特性によって地面に張り付き、シャドーボールを耐え切ったのだ。
「それでは反撃と行きますぞ。トリトドン、濁流!」
「パンプッチ、ハイドロポンプ!」
トリトドンの腹下から濁った水が放たれ、濁流の波が襲い掛かる。
パンプッチは杖から大量の水を放ち、再び濁流を相殺する。
「それならば、冷凍ビーム!」
「パンプッチ、躱してもう一度ハイドロポンプ!」
さらにトリトドンが凍える冷気の光線を放つが、パンプッチはふわりと飛び上がって濁流を躱し、杖を振り、その先から再び大量の水を噴き出す。
「トリトドン、躱しなさい」
再びトリトドンは大きく飛び上がり、水柱を回避する。
「そこだ! パンプッチ、エナジーボール!」
淡く光る杖を振り、パンプッチは自然の力を込めた光の弾を放つ。
いくら特性が粘着でも、空中にいれば張り付く場所がない。
加えて翼のないトリトドンでは空中では自由に動けない。
と。
そう、レオは考えたのだが。

「トリトドン、ヘドロウェーブ!」

トリトドンの腹下から、見るからに毒々しい紫色に濁った水の波が放たれる。
紫水の波が光の弾を飲み込み、さらにパンプッチを押し流す。
「っ! 毒技を持ってるのか!」
幸いパンプッチはゴーストタイプも持っているので効果抜群にはならないが、それでもダメージは大きい。
「言ったはずですぞ。トリトドンを使う以上、苦手な草タイプ対策は万全だと」
センドウの表情は全く変わらない。
「ちっ……パンプッチ、大丈夫か?」
毒の波から抜け出し、パンプッチは頷く。
流石は四天王のポケモンだ。ガブリアスが飛び抜けていたというだけで、このトリトドンも充分に強い。
「トリトドン、濁流!」
無機質な瞳をギョロリと動かし、トリトドンが腹下から泥で濁った水の波を起こす。
濁った荒波が、パンプッチへと襲い掛かる。