二次創作小説(紙ほか)

Re: 第二百七話 紫水 ( No.366 )
日時: 2016/08/16 19:44
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: p3cEqORI)

トリトドンの放つ濁った荒波が、パンプッチへと襲い掛かる。
「そうだ、水技ならこれで防げる! パンプッチ、杖を構えて放電!」
ここでレオは閃く。
パンプッチは杖を構え、体から電撃を前方へ撒き散らす。
パンプッチの前方に電撃の壁が作られ、濁流を遮断する。
「トリトドン、ヘドロウェーブ!」
「パンプッチ、ハイドロポンプ!」
再びトリトドンが飛び上がる。
今度はトリトドンの腹下から毒素が滲み出し、毒を含んだ水の波が放たれる。
しかし事前に杖を構えていたパンプッチがそれよりも早く大量の水を放つ。
ヘドロウェーブが放たれるより先にパンプッチの放った水柱がトリトドンを直撃、空中にいたトリトドンは吹き飛ばされる。
「今だぜパンプッチ! エナジーボール!」
「ほう、やりますねぇ。トリトドン、冷凍ビーム!」
さらに杖を振ってパンプッチは自然の力を込めた光の弾を撃ち出す。
対してトリトドンは吹き飛ばされながらも凍える冷気の光線を放つ。
中途半端な体勢で技を繰り出したため相殺しきれずにエナジーボールを受けてしまうが、威力はかなり削いだ。とはいえ効果抜群なのでダメージは大きいが。
「僕のパンプッチは放電だけは杖を使わずとも撃てるんですよ。放電を使いながら杖を構えれば、すぐに次の攻撃に出られるってわけです」
「なるほど。ポケモンの特徴を上手く活かした、いい戦法ですな」
しかし、とセンドウは続け、
「種が分かれば攻略は容易い。私のトリトドンはまだ充分戦えますぞ。ヘドロウェーブ!」
着地したトリトドンが、再び腹下から毒素を含んだ紫の水の波を放つ。
「パンプッチ、躱してエナジーボール!」
「逃がしませんぞ。冷凍ビーム!」
ふわりと飛び上がってパンプッチは毒の波を躱すが、その動きを読んだトリトドンは上を向いて凍える冷気の光線を放つ。
光の弾が放たれるよりも早く冷気の光線がパンプッチを直撃し、その身を吹き飛ばす。
「そろそろ仕掛けますかな。トリトドン、大地の力!」
トリトドンの三つ目が光を放つと同時、トリトドンの足元から土砂が噴き出す。
四天王の一番手、イダも見せた手だ。土砂の力を利用し、天高く跳躍する。
吹き飛ぶパンプッチに対してその上を取り、
「ヘドロウェーブ!」
腹下から毒の波を起こし、パンプッチを押し流す。
「まだいける! パンプッチ、ハイドロポンプ!」
何とかパンプッチは起き上がり、杖の先から大量の水を放射する。
パンプッチの放つ水柱が、毒の水の波を食い止める。
「トリトドン、冷凍ビーム!」
「させるか! パンプッチ、地面にハイドロポンプ!」
トリトドンが上空から凍える冷気の光線を撃ち出すが、パンプッチは水柱を放つ杖を地面に突き立て、水流を使って空中へと飛び上がった。
「シャドーボール!」
「っ、もう一度冷凍ビーム!」
杖を突き出し、パンプッチは黒い影の弾を放つ。
やや対応が遅れるも、トリトドンは再び凍える冷気の光線を放ち、シャドーボールを何とか相殺。
しかし、
「今だ! エナジーボール!」
その次の攻撃には対応しきれなかった。
淡く輝く杖から自然の力を込めた光の弾が飛び出し、トリトドンに直撃。
最大の弱点、草技を食らってトリトドンは大きく吹き飛ばされ、地面に落ちた時には戦闘不能になっていた。
「トリトドン、休んでいなさい」
トリトドンをボールに戻し、センドウは次のボールを手に取る。
数の上ではレオが有利となったが、油断は禁物。
「私のトリトドンは今まで多くの挑戦者の草ポケモンを倒して来ましたが、さすがに貴方のような実力者の持つ草ポケモンと戦わせるのは無理がありましたかな」
「へへっ。僕のポケモンは皆、一味違いますからね」
レオの言葉を聞いてセンドウは頷くと、
「それでは、次はこのポケモンです。揺るがせ、バーネッコ!」
手にしたモンスターボールを投げる。
次なるセンドウのポケモンは、太く長い木の根のようなポケモン。根元の部分が顔になっている。
根っこポケモンのバーネッコ。草・地面タイプ。
「それでは始めますぞ。バーネッコ、穴を掘る!」
開始早々、バーネッコは地面の下へと潜ってしまう。
(浮遊のパンプッチには地面技には効かないし、センドウさんもそれは分かってる。何か仕掛けてくるか? それとも、身を隠しながら戦うスタイルか?)
「気をつけろパンプッチ。どこから来るか分からないぞ」
杖を構え、パンプッチは全神経を集中させてバーネッコが現れるのを待つ。
「アイアンテール!」
「躱してシャドーボール!」
パンプッチの足元からバーネッコが硬い鋼のような長い尻尾を突き出す。
しかしそれよりも一瞬早く、パンプッチが飛び上がってバーネッコの一撃を躱すと、杖の先から影の弾を飛ばす。
だがバーネッコは尻尾の一撃が躱されたと見るや、すぐさま地中へと姿を隠してしまう。
フィールドにシャドーボールが当たるが、特にバーネッコへの影響はなさそうだ。
「またか……パンプッチ、次に出て来た瞬間にエナジーボールだ」
淡く光る杖を構えて宙に浮き、パンプッチは地中に潜ったバーネッコを迎え撃つ体勢をとる。
フィールドに転がる石ころが、僅かに揺れる。
「そこだパンプッチ! 放て!」
レオは見逃さなかった。
パンプッチが杖の先から光の弾を放った直後、ちょうどその位置からバーネッコが飛び出して来る。
しかし。

「バーネッコ、クロスポイズン!」
勢いよく地面から飛び出したバーネッコが毒を帯びた尻尾を振るい、光の弾を破壊。
さらに一回転してもう一度尻尾を振り抜き、パンプッチを地面へと叩き落とした。
「っ、パンプッチ!」
「決めますぞ! バーネッコ、アイアンテール!」
地面に落ちたパンプッチはまだ何とか起き上がる。
しかし、直後にバーネッコが鋼のように硬化させた長い尻尾をパンプッチの脳天に叩きつけた。
パンプッチがその場でよろめき、地面に倒れる。
蓄積していたトリトドン戦でのダメージもあり、ここで戦闘不能になってしまった。
「パンプッチ、よく頑張った。休んでてくれ」
パンプッチをボールに戻し、レオは次のボールを手に取る。
「バーネッコの地中強襲に対応出来るのは……こいつだな。頼んだぜ、ディザソル!」
レオのポケモンはガブリアスを破ったディザソル。
バーネッコの地中からの攻撃に素早く反応出来るが、ガブリアス戦でのダメージがあるのが気掛かりなところ。
「ほう、先ほどのディザソルですな。私のバーネッコ相手にどこまで戦えるか、見せてもらいますぞ」
「上等です。行くぞディザソル、火炎放射!」
大きく息を吸い込み、ディザソルは灼熱の業火を噴き出す。
「バーネッコ、穴を掘る!」
しかしバーネッコは再び地面に潜り、炎を躱すとともに姿を隠してしまう。
「また穴を掘るか……だけどこれならどうだ! ディザソル、地面にぶち壊す!」
ディザソルが額の鎌を思い切りフィールドへと叩きつける。
地面が揺れるほどの威力で、バーネッコを地中から引きずりだそうとしたのだが、
「無駄です。バーネッコ、アイアンテール!」
直後にディザソルの背後からバーネッコの尻尾が伸び、それを振るってディザソルを叩き飛ばす。
「バーネッコは元々地中に生息するポケモン。地面が揺れたところで、バーネッコを引きずり出すことは出来ませんぞ」
センドウの言葉に合わせて、バーネッコはケラケラと笑う。
「なるほど。ディザソル、立て直していくぞ」
起き上がったディザソルが、バーネッコを睨む。
「バーネッコ、穴を掘る!」
「ディザソル、神速!」
再びバーネッコが地面に潜ろうとするが、今度はディザソルがそれを許さない。
神がかった速度で一瞬のうちにバーネッコとの距離を詰め、ディザソルはバーネッコに激突し、吹き飛ばす。
「火炎放射!」
さらに宙を舞うバーネッコに対してディザソルは灼熱の炎を放つが、
「バーネッコ、ストーンエッジ!」
襲い来る灼熱の炎を、バーネッコは鋭く尖った無数の岩を撃ち出して防ぐ。
「地中からの攻撃だけがバーネッコの全てではありませんぞ。バーネッコ、アイアンテール!」
着地したバーネッコがディザソル目掛けて跳ぶ。
宙返りし、鋼のごとく硬化させた尻尾を振るう。
「迎え撃てディザソル! サイコカッター!」
対してディザソルは額の鎌に念力を纏わせ、バーネッコを正面から迎え撃つ。
鋼の尻尾と念力の鎌が激突、威力は互角。
「今です、穴を掘る!」
だがセンドウは攻撃後のディザソルの一瞬の隙を見逃さなかった。
その隙に、再びバーネッコは穴を掘って地中へと消えてしまう。
「っ、またか……ディザソル、気をつけろ。どこから来るか分かんないぞ」
全神経を集中させ、ディザソルはバーネッコの気配を探る。
静かに、しかし確実に、地中からの攻撃が迫る。