二次創作小説(紙ほか)
- Re: 第二百八話 鎧 ( No.367 )
- 日時: 2016/08/18 18:03
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: wGslLelu)
地中から、静かにバーネッコが迫り来る。
「クロスポイズン!」
大地が割れる。
バーネッコが飛び出すはディザソルの左。ディザソルがほんの少し右に目をやった瞬間に飛び出し、毒を帯びた尻尾を振るう。
だが、
「甘い! ディザソル、神速!」
バーネッコの尾がディザソルを切り裂く寸前、ディザソルの姿が消えた。
一瞬のうちに遠くの岩山まで飛び、その次の瞬間には岩山を足場にバーネッコの懐に飛び込み、激突してバーネッコを吹き飛ばした。
「サイコカッター!」
さらに額の鎌に念力を纏わせ、首を振って念力の刃を飛ばす。
宙を舞うバーネッコを切り裂き、地面に叩き落とす。
「まだです。穴を掘る!」
地面に激突する瞬間、バーネッコは強引に体勢を整える。
そのままフィールドに穴を掘り、またも地面に潜る。
「もう穴を掘るは効きませんよ。僕のディザソルには神速がある」
地中に潜ったバーネッコを見てもレオは余裕を崩さないが、
「さて、それはどうですかな」
一方、センドウも表情を変えない。
「我がバーネッコの主戦場は地中。地上では出来ないことが、地中では出来ますな」
例えば、とセンドウは続け、
「バーネッコ、ストーンエッジ!」
ディザソルの足元が揺れる。
直後、ディザソルの逃げ道を断つようにディザソルの周囲から無数の尖った岩が飛び出してくる。
「なにっ!?」
「今です、アイアンテール!」
周囲を覆う岩を警戒して動きを止めた瞬間、ディザソルの足元から鋼のように硬化させたバーネッコの尻尾が飛び出し、ディザソルを天高く吹き飛ばす。
「バーネッコ、さらにクロスポイズン!」
「くっ、ディザソル、サイコカッター!」
姿を現したバーネッコが毒を帯びた尻尾を振り抜き、十字型の毒の刃を飛ばす。
対してディザソルは宙に打ち上げられながらも額の鎌に念力を纏わせ、何とか毒の刃を防いだ。
「ほう、お見事です。それではバーネッコ、もう一度穴を掘る!」
毒の刃が防がれたのを見るや、バーネッコは再び地中へと身を隠す。
「ストーンエッジ!」
今度は間髪入れず、地中に潜ったその箇所から無数の尖った岩が飛び出してくる。
無数の岩は空中で弧を描き、ディザソルへと襲い掛かる。
「ディザソル、こいつは躱せ!」
ディザソルは素早く後方へと飛んで無数の岩を回避する。
先程までディザソルが立っていた場所に、次々と岩が突き刺さる。
しかし、
「読み通り! バーネッコ、アイアンテール!」
岩を回避し、着地したディザソルの足元が揺れる。
直後に、鋼の如く硬化させたバーネッコの尻尾が、ディザソルの足元から飛び出す。
対して。
「こっちもですよ! ディザソル、火炎放射!」
それよりも早くディザソルは跳躍し、真下に灼熱の業火を噴き出す。
バーネッコの尻尾はディザソルを捉えきれず、逆にその尻尾が灼熱の業火に焼かれていく。
「センドウさんなら絶対そう来ると思いましたよ。相手の隙を見逃すような人じゃありませんもんね。だからこそ、それを利用させてもらいましたよ!」
確かにバーネッコの攻撃のタイミングも絶妙だった。普通のポケモンであれば、今のタイミングでの攻撃を防ぐことは出来ないだろう。
だがレオのディザソルは、反応速度という点において他のポケモンとは一味も二味も違う。
「流石、一筋縄では行きませんな。そうとなれば後はやることは一つ、全力の一撃で行きましょう! バーネッコ、アイアンテール!」
バーネッコが尻尾だけを出して地中に潜り、尻尾を硬化させてディザソルに突撃する。
獲物を見つけ、背ビレを水面に出した鮫のように、一気にディザソルとの距離を詰める。
「ディザソル、神速で躱せ!」
対するディザソルは一瞬にして飛び上がり、バーネッコの鋼の尻尾を躱すが、
「逃がしませんぞ! ストーンエッジ!」
尻尾も地中に隠し、直後にバーネッコは四方八方へと尖った岩を乱射する。
岩のいくつかがディザソルへと突き刺さり、その神速の動きを止める。
「今です! バーネッコ、クロスポイズン!」
地中から飛び出し、全身を露わにし、バーネッコは毒を帯びた尻尾を振り回しながらディザソルへと飛びかかる。
「やるしかねえ! ディザソル、ぶち壊す!」
何とかバランスをとって着地すると、ディザソルも迎撃の体勢を取る。
振り下ろされる毒の尻尾に対し、渾身の力を込めて額の鎌を振るった。
二者の攻撃が正面から激突。激しく競り合った末に、最後は両者とも吹き飛ばされる。
吹き飛ばされて岩山に激突し、バーネッコは戦闘不能となる。
地面に落ちたディザソルはまだ何とか起き上がるものの、蓄積したダメージが限界を超え、再びその場に倒れた。
「バーネッコ、休んでいなさい」
「ディザソル、よくやった。流れは元に戻ったぜ」
レオとセンドウがそれぞれのポケモンをボールへと戻す。
「さあ、ガブリアスで取られた分はこれで取り返しましたよ」
「そうですな。しかし、戦況は五分に戻ったのみ。ここから先、まだどちらに転ぶか分かりませんぞ」
両者が、次のボールに手を掛ける。
「頼むぜ、ヘラクロス!」
「穿て、メダゲラス!」
レオの四番手はヘラクロス。
対するセンドウのポケモンは、身体中に装甲を纏った四足歩行の恐竜のようなポケモン。
体の各所に棘を備え、尻尾は棘だらけの鉄球のよう。さらに額には、剣のように長い角を持っている。
鎧角ポケモンのメタゲラス、鋼・地面タイプ。ヘラクロスと同じく、パワーに優れるポケモンだ。
「次はメタゲラス….鋼タイプを持ってるから打点はあるけど、油断は禁物だな」
パワーを売りにするのは両者同じだが、メタゲラスはヘラクロスにはないものがある。
硬い装甲による防御力、これを破らなければ、メタゲラスに勝つことはできない。
「でも考えてても仕方ない。行くぞヘラクロス! マグナムパンチ!」
強く拳を握り締め、ヘラクロスは大砲の如く飛び出して、メタゲラスへ殴りかかる。
対して、
「メタゲラス、アイアンヘッド!」
拳の直撃を受けたメタゲラスが、低く唸ってヘラクロスを睨む。
硬化させた額の角を振り抜き、逆にヘラクロスを弾き返した。
「続けて地震!」
さらにメタゲラスは地面を踏み鳴らし、ヘラクロスの着地に合わせてフィールドを揺らす。
揺れによってヘラクロスの動きを止め、衝撃波で吹き飛ばす。
「ヘラクロス! 大丈夫か!?」
吹き飛ばされたヘラクロスはすぐに起き上がり、レオの声に応えて頷く。
「我がメタゲラスの防御力、どう攻略しますかな? メタゲラス、ギガスパーク!」
メタゲラスの咆哮と共に、その口元へ電気が一点に集まり、電撃の砲弾を作り上げる。
バチバチと音を立てるその砲弾を、ヘラクロスへと発射する。
「ヘラクロス、躱してストーンエッジ!」
翅を広げて飛翔し、電撃の砲弾を躱すと、ヘラクロスは空中から無数の岩の刃を一斉に発射する。
「アイアンヘッドで破壊!」
メタゲラスの角が鋼のように硬化する。
剣のようなその角を振るい、メタゲラスは岩の刃を全て破壊してしまう。
「だったらシャドークロー!」
ヘラクロスが両手に長く鋭い影の爪を纏わせる。
すれ違いざまに両腕を振るってメタゲラスを切り裂き、さらにメタゲラスの後方に飛び去ることで追撃を逃れる。
「メタゲラス、ギガスパーク!」
「ヘラクロス、ストーンエッジ!」
メタゲラスが口元に電気を集めていくが、それに対してヘラクロスは無数の尖った岩を撃ち出し、電撃の砲弾を破壊してしまう。
「今だヘラクロス! メガホーン!」
メタゲラスの眼前で爆発が起こる。
爆煙の中を潜り抜け、ヘラクロスは硬い角を突き出し突貫する。
「メタゲラス、迎え撃て。アイアンヘッド!」
至近距離の爆発をまともに浴びても全く動じず、メタゲラスは鋼の如く硬化させた角を構え、ヘラクロスを迎え撃つ。
両者の角の一撃が激突、激しく競り合い、火花を散らす。