二次創作小説(紙ほか)
- Re: 第二百九話 岩窟 ( No.368 )
- 日時: 2016/08/21 07:24
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: p3cEqORI)
双方の一撃がぶつかり合い、一歩も引かずにせめぎ合う。
「ヘラクロス、マグナムパンチ!」
だがそこでレオが動いた。
角の勢いを維持しながらも、さらにヘラクロスは大砲のような拳を突き出し、メタゲラスの頬を殴り飛ばした。
吹っ飛びこそしなかったものの、メタゲラスは大きく押し戻される。
「今だぜ! ストーンエッジ!」
さらにヘラクロスは無数の尖った岩を一斉に発射する。
放たれた岩はメタゲラスの硬い鎧にも弾かれず、鎧に次々と突き刺さる。
「畳み掛けろ! マグナムパンチ!」
硬く拳を握り締め、ヘラクロスは大砲の如く飛び出す。
一気にメタゲラスとの距離を詰め、拳を振り上げる。
だが。
「メタゲラス、怒りの炎!」
メタゲラスが怒りに満ちた咆哮を上げ、憤怒の感情の如く燃え盛る灼熱の業火を放つ。
炎の波が次々とヘラクロスに襲い掛かり、逆にヘラクロスを飲み込む。
「っ!? しまった、ヘラクロス!」
「吹き飛ばしなさい。アイアンヘッド!」
さらにメタゲラスは鋼の如く硬化させた角を突き出し、炎に焼かれるヘラクロスを突き飛ばした。
「ヘラクロス! まだ行けるか!?」
炎にその身を焼かれ煤だらけになりながらも、ヘラクロスは起き上がった。
「くそっ、炎技を持っていたのか……!」
実に上手いタイミングでの反撃だ。レオが流れを掴んだところで、隠していた技を使用しカウンターを決める。ヘラクロスに大ダメージを与え、センドウが一気に流れを引き戻した。
「ほう、まだ倒れてはいませんか。しかし、どこまで持ちますかな? ギガスパーク!」
ようやく立ち上がったヘラクロスへ、メタゲラスが激しく破裂音を立てる電撃の砲弾を放つ。
「僕のヘラクロスの根性、甘く見ないでくださいよ! ストーンエッジだ!」
翅を広げて飛翔し、ヘラクロスは電撃の砲弾を躱す。
体は傷だらけだが、その動きは万全の状態と変わらない。空中で周囲に無数の尖った岩を浮かべ、一斉に発射する。
「メタゲラス、アイアンヘッド!」
メタゲラスの角が鋼の如く硬化する。
剣のように角を振り、飛来する全ての岩を破壊し、
「もう一度ギガスパーク!」
口元に巨大な電撃の砲弾を作り上げ、再びヘラクロスへ撃ち出す。
「壊せ! シャドークロー!」
両手に黒い影の爪を纏わせ、ヘラクロスが突撃を仕掛ける。
影の爪を突き立てて電撃の砲弾を破壊し、そのまま正面からメタゲラスへと突っ込み、
「メガホーンだ!」
硬い角を構えてメタゲラスに激突、そのままメタゲラスの後方へと飛び去る。
「動きが全く衰えない……さすがですな、見上げた根性です。体力が尽きるまでは全力、ですがそれはメタゲラスも同じこと。メタゲラス、もう一度ギガスパーク!」
旋回してレオの元へ戻るヘラクロスに対し、メタゲラスは立て続けに電撃の砲弾を発射する。
「ヘラクロス、躱してマグナムパンチ!」
急降下して電撃の砲弾を躱すと、ヘラクロスは拳を構え、大砲の如き勢いで突撃。
「ならばメタゲラス、怒りの炎!」
そのヘラクロスに対し、メタゲラスは咆哮と共に憤怒の感情の如く燃え盛る灼熱の業火を放つ。
「もう回避は間に合わない……ヘラクロス! 突っ切れ!」
ヘラクロスに残された道はこの炎の中を潜り抜け、メタゲラスを殴り飛ばすのみ。
拳を固く握り締め、ヘラクロスは炎の中へと飛び込んでいく。
灼熱の炎が、ヘラクロスの身を焼く。
それでもヘラクロスは炎の中を潜り抜け、メタゲラスの目前に迫る。
だが。
その拳は、メタゲラスまで届かなかった。
炎によるダメージがヘラクロスの限界を超え、ヘラクロスの勢いが急速に衰え、力なく地面に落ちる。
構えた拳はメタゲラスのすぐ目の前の地面に突き刺さった。
ほんの僅かに、炎のダメージの方がヘラクロスの残り体力を上回っていた。
「っ……ヘラクロス、よく頑張った。ゆっくり休んでてくれ」
ヘラクロスをボールに戻し、レオは最後となるボールを取り出す。
「最後はお前しかいない。頼んだぜ、エンペルト!」
レオの最後のポケモンは、勿論エンペルト。
地面技で弱点こそ突かれるものの、強力な水タイプの技を二つも使えるレオのエース。選出しない理由はない。
「最後はエンペルトですか。ほう、よく鍛えられているのが分かりますぞ。今までのポケモンもそうでしたが、このエンペルトは別格だ」
「勿論ですよ。エンペルトは僕のエースですからね。こいつと一緒に、センドウさんの残りの二体、倒してみせます!」
レオの力強い言葉を聞いてセンドウは頷き、
「ならば見せてもらいましょうぞ。メタゲラス、地震!」
メタゲラスが地面を踏み鳴らし、フィールドを大きく揺らす。
「エンペルト、ジオインパクト!」
対してエンペルトは銀色に輝く翼を思い切り地面へと叩きつける。
目の前の地面を叩き割り、地震の衝撃波を防いだ。
「ならばギガスパーク!」
「もう一度ジオインパクト!」
続けてメタゲラスは巨大な電撃の砲弾を撃ち出すも、エンペルトは再び銀色に輝く翼を振るい、砲弾を弾き返す。
「怒りの炎!」
弾かれた砲弾がメタゲラスに直撃するが効果はない。
咆哮と共に、メタゲラスは憤怒の感情の如く燃え盛る灼熱の業火を噴き出す。
「今だエンペルト! ハイドロポンプ!」
対するエンペルトは大きく息を吸い込み、激流のような大量の水を放つ。
炎の波を容易く貫き、その奥にいるメタゲラスを捉え、吹き飛ばした。
「ぬぅ、メタゲラス!」
メタゲラスの身体が吹き飛び、そのまま岩山へと激突。
地面に落ちた時には、既に戦闘不能だった。
「メタゲラス、休んでいなさい」
メタゲラスをボールへ戻すと、センドウはレオの方へ向き直る。
「予想以上のパワーを持っているようですな。相性が悪いとはいえ、我がメタゲラスの技が何一つ通用しないとは、驚きです」
しかし、とセンドウは続け、
「私が今から繰り出すのは、勿論エースポケモン。僅差ではありますが初手のガブリアスをも上回る強さを持つポケモンです。果たして、貴方に勝てますかな」
「勝てます。いや、勝ちます! センドウさんのエース、僕とエンペルトで超えてみせる!」
「よろしい。それでは、我がエースの登場です」
センドウが、最後のボールを掲げる。
「崩せ、ドサイドン!」
センドウの最後のポケモンは、岩のプロテクターで体を覆った重量級の岩窟王、ドサイドン。
通常の個体よりも一回り大きなその巨体が、レオとエンペルトを見下ろす。
「最後はドサイドンか……見ただけで分かるぜ、こいつの戦闘経験、そしてこの威圧感。強敵だな」
「このドサイドンと共に、私はリカルドに敗れるまでの十年間、チャンピオンの座を守ってきました。今は四天王に地位を落としたとはいえ、その実力は未だ健在。生半可な実力のポケモンでは、このドサイドンには傷一つ付けられませんぞ」
「僕のエンペルトが、そんな生半可なポケモンに見えますか?」
「ふっ、ここは正直に答えましょう。とても生半可とは言えませんな。少なくとも、我がドサイドンに匹敵するくらいには強い」
しかし、とさらにセンドウは続け、
「ポケモンの力が互角であれば、トレーナーの腕がものを言う。このセンドウ、ポケモントレーナーとしての力は、誰にも負けぬ自信がありますぞ」
「そうこなくっちゃ。それだけの強い相手だからこそ、やりがいがあるんです! 行くぞ、エンペルト!」
レオの声に応えるように、エンペルトは大きく啼く。
「最後まで、面白い戦いになりそうですな。それではそろそろ始めましょうぞ。ドサイドン、ドリルライナー!」
ドサイドンの額のドリルのような角が、音を立てて高速回転する。
巨体に似合わぬ動きでドサイドンは思い切り地面を蹴って飛び出し、エンペルトとの距離を詰めていく。
「エンペルト、ドリル嘴!」
それに対するエンペルトも嘴を伸ばし、ドリルのように高速回転しながら突撃。
お互いの攻撃が激突、威力は互角。
「なるほど、ドサイドン、アームハンマー!」
「エンペルト、ジオインパクト!」
ドサイドンが腕を振り上げ、鈍器のように振り下ろしてエンペルトへその腕を叩きつける。
対してエンペルトは銀色の光を纏わせた右翼を振り上げ、振り下ろされるドサイドンの腕を真っ向から迎え撃つ。
正面から技と技がぶつかり合うが、またも威力は互角。
「今だエンペルト! ハイドロポンプ!」
お互いにせめぎ合った末、ドサイドンが一旦腕を引いたその瞬間。
エンペルトが大量の水を噴き出し、ドサイドンに直撃、その巨体をセンドウの元まで押し戻す。
しかし、
「このドサイドンの特性はハードロック。効果抜群の攻撃を受けても、そう簡単には倒れませんぞ」
四倍弱点を受けたというのに、ドサイドンは余裕の表情を浮かべてエンペルトを見据えている。
「とんでもない耐久力だな、おまけに攻撃力も飛び抜けてる。相手にとって不足はないぜ」
そしてそれほどの強敵を前にしても、レオの闘志は揺るがない。
やることはただ一つ。エンペルトと共に、最後の四天王の切り札を打ち破るのみ。