二次創作小説(紙ほか)

Re: 第二百十話 砲弾 ( No.369 )
日時: 2016/08/22 22:16
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)

「ドサイドン、氷柱落とし!」
ドサイドンが目の前に冷気を発射する。
冷気は急速に無数の氷柱を形作り、エンペルトへと一斉に撃ち出される。
氷柱落としというよりは氷柱の弾だが、
「エンペルト、受け止めろ!」
鋼の翼で防御体制を取り、エンペルトは無数の氷柱を受ける。
エンペルトの翼に氷柱が飛来するも、それらを難なく耐え切り、
「ハイドロポンプ!」
返す刀で大量の水を放射し、すぐさま反撃に出る。
「ドサイドン、アームハンマー!」
対してドサイドンは鈍器を振るうように、振り上げた腕を垂直に振り下ろす。
腕の一撃が、襲い来る水柱を容易くねじ伏せた。
「続けてドリルライナー!」
ドサイドンの額のドリルが、超高速で回転する。
あまりに激しい回転によって周囲の空気が渦巻き、空気の衝撃波が放たれる。
「飛び道具としても使えるのか……! エンペルト、躱してジオインパクト!」
ドリルライナーをこのように使ってくる相手は初めて見たが、当たらなければ問題はない。
跳躍して空気の渦を躱すと、エンペルトは銀色に輝く翼を振り抜き、鋼の衝撃波を起こす。
「ドサイドン、そのままドリルライナー!」
ドサイドンの額の角が、さらに回転を続ける。
鋼の衝撃波を、ドリルの角の一突きで砕き、
「氷柱落とし!」
冷気を発射し、空中のエンペルトに向けて無数の氷柱を撃ち出す。
無数の氷柱が次々とエンペルトに突き刺さり、エンペルトは地面に落とされる。
効果今一つの割にしてはダメージが大きい。やはりこのドサイドンの攻撃力がそれだけ高いということだろう。
「だったら効果抜群の技はなおさら受けられないな。エンペルト、立て直すぞ!」
撃墜されたエンペルトはすぐに起き上がると、気合を入れ直して構え直す。
「ドサイドン、アームハンマー!」
丸い岩石のような尻尾で地面を叩き、ドサイドンは地を蹴ってエンペルトとの距離を詰めてくる。
「エンペルト、躱してジオインパクト!」
ドサイドンが腕を振り上げ、エンペルトに狙いを定めるが、その腕が振り下ろされる直前、エンペルトは横へと飛び、ドサイドンの腕の一撃はエンペルトを捉えられずに終わる。
そこに間髪入れず、エンペルトが銀色の光を纏った翼を、ドサイドンの顔を狙って叩きつける。
頬に一撃叩き込まれ、ドサイドンがよろめいて後退りする。
「今だぜエンペルト! ハイドロカノン!」
その隙を逃さず、エンペルトは大きく息を吸い込む。
口元の一点に膨大な水の力を凝縮させ、巨大な水の砲弾を作り上げ、ドサイドン目掛けて撃ち出す。
だが。

「ドサイドン、岩石砲!」

ドサイドンが右拳をフィールドに叩きつけ、地中へ腕をねじ込む。
地中からドサイドンは巨大な岩を取り出し、掌の穴に詰め、腕の筋肉の力だけで大砲のようにその岩を撃ち出した。
水の砲弾と巨大な岩が激突、大爆発を起こすも、
「……っ!」
爆煙が晴れた時、向こう側に立つドサイドンにダメージはない。
「ハイドロカノンを、防いだ……!?」
今までエンペルトのハイドロカノンを破ったのは、父親ライオが持つ猛火を発動させたコマレオンのみ。
その芸当を、このドサイドンは火力の補強なしに普通にやってのけた。
「岩石砲は岩タイプ最強の大技。覚えるポケモンはかなり限られますが、技の威力はハイドロカノンに並びます。確かに今のハイドロカノンは強力な一撃でしたが、我がドサイドンなら防ぐことも可能」
センドウの口元が僅かに緩み、それに呼応してドサイドンもしてやったりとでも言うかのようにニヤリと笑う。
「それではこちらからも行きますぞ。ドサイドン、ドリルライナー!」
ドサイドンが額の角を高速回転させて飛び出し、エンペルトへ襲い掛かる。
「エンペルト、ドリル嘴!」
エンペルトも嘴を伸ばして高速回転し、そのまま突撃してドサイドンの角の一撃を迎え撃つ。
「アームハンマー!」
激しい競り合いを続けたまま、ドサイドンが両腕を振り上げる。
「まず……っ! エンペルト、躱してハイドロポンプ!」
地に足をつけ、大きく横へ飛び、エンペルトは振り下ろされるドサイドンの両腕を間一髪で躱す。
そこから大きく息を吸い込み、大量の水を放射するが、
「もう一度アームハンマー!」
振り下ろした腕を思い切り振り抜き、ドサイドンは一撃で水柱を打ち破り、
「ドリルライナー!」
角を高速で激しく回転させて渦を起こし、空気の衝撃波を連続でエンペルトへと撃ち出す。
「エンペルト、ジオインパクト!」
エンペルトの両翼が銀色の光に覆われる。
翼を振り抜いて銀色の衝撃波を飛ばし、衝撃波を打ち消し、
「もう一度ハイドロポンプ!」
すぐさま大量の水を噴き出して反撃する。
しかし。
「それを待っていましたぞ。ドサイドン、岩石砲!」
ドサイドンが拳を地面にめり込ませ、地中から巨大な岩を取り出し、掌から砲弾のように放つ。
大砲のような巨大な岩石はハイドロポンプを持ってしても止める事ができず、エンペルトに激突、大きく吹き飛ばした。
「エンペルト!? しまった……ここで仕掛けてくるか……!」
「確実にダメージを与えるにはこのタイミングしかありません。ドサイドン、アームハンマー!」
吹き飛ばされるエンペルトを追い、ドサイドンがその巨体で飛び出す。
巨大な鈍器のような二本の腕が、エンペルトの頭上へと迫る。
「くっ、エンペルト、ジオインパクト!」
どうにかエンペルトは起き上がり、銀色の光を纏った翼を構えて、振り下ろされる両腕を何とか防いだ。
「ドリルライナー!」
しかし、次の一撃までは防げなかった。
ドサイドンが角を激しく高速回転させ、勢いよくエンペルトへと突き出す。
振り下ろされる両腕を防ぐのが精一杯だったエンペルトにこの一撃をどうにかする術はなく、再びエンペルトは吹き飛ばされる。
ついに命中してしまった効果抜群の一撃。ダメージは相当なものだろう。
「エンペルト! 大丈夫か!?」
岩石砲とドリルライナーを立て続けに受け、それでもまだエンペルトは起き上がった。
「ほう、まだ起き上がりますか。ですが、次の一撃で終わらせますぞ。ドサイドン、アームハンマー!」
地を蹴ってドサイドンは飛び出し、鈍器のような腕を振り回し、狙いをつけてエンペルトへと振り下ろす。
起き上がったばかりのエンペルトには、これを躱すだけの余裕はない。
だが。
打つ手は、まだ無くなってはいない。

「ここからだ! エンペルト、ハイドロポンプ!」

エンペルトがカッと目を見開く。
刹那、エンペルトの体が青い水のオーラを纏う。
水の力を受け、エンペルトは先程よりもさらに強い大量の水を噴き出した。
「っ! 激流の特性が発動しましたか!」
格段にパワーアップしたハイドロポンプは、ドサイドンの腕の一撃でも打ち破れず、逆に弾き飛ばされてしまう。
「もう一度ハイドロポンプ!」
間髪入れず、エンペルトは再び大量の水を放つ。
体勢を崩したドサイドンの腹に直撃し、ドサイドンを吹き飛ばした。
「ぬぅ……! ドサイドン、まだ行けますかな」
低く唸りながら、ドサイドンは起き上がる。激流の発動したエンペルトのハイドロポンプを受けても、それでもまだ立ち上がった。
「流石の耐久力ですね。でも、次の一撃で決めます!」
「いいでしょう。激流が発動しているということは、エンペルトの体力も残りわずか。こちらとしても、そろそろ決めさせていただきますぞ」
両者が。
最後の攻撃の構えに入る。
「エンペルト、ハイドロカノン!」
「ドサイドン、岩石砲!」
エンペルトの体を覆う全ての水のオーラが、口元のその一点に凝縮する。
圧倒的な水の力を極限まで凝縮させ、エンペルトはさらに巨大な水の砲弾を作り上げる。
対して、ドサイドンは咆哮と共に両拳を地面へと叩きつける。
両手に巨大な岩石を掴み、それを掌へ装填する。
「「放て!」」
超巨大な水の砲弾と、二発の巨大な岩石が同時に撃ち出された。
両者の放った弾が、フィールド中央で激突。
ピキピキと砕けるような音が、周囲へと響く。
そして。
ドサイドンの放った二つの岩が、粉々に砕け散った。
「……一歩及ばず、ですか」
センドウが小さく呟いた、その直後。
巨大な水の砲弾がドサイドンへと直撃し、大爆発を起こした。


「お見事です。ここまで進んできた貴方の実力は、やはり本物だったわけですな」
「ありがとうございます。でも、僕の力だけじゃありません。エンペルトを始め、ポケモンたちがいるから、ここまで来れたんです」
レオの言葉を聞き、センドウは笑みを浮かべる。
「ポケモントレーナーとして大事なもの、よく分かっているようですな。よろしい。それでは最後の部屋への扉を開きましょう。最後の一人、チャンピオンが、貴方を待っていますぞ」
ポケモンリーグも、いよいよ最後の一人。
残すは、ホクリク地方最強のトレーナー、チャンピオンのリカルド。
「ありがとうございます。絶対、勝ってみせます」
四天王を全員倒し、いよいよレオは最後の部屋へと足を進める。