二次創作小説(紙ほか)
- Re: 第二百十一話 チャンピオン ( No.370 )
- 日時: 2016/08/25 09:05
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: R7N4pO0l)
ポケモンリーグも、いよいよ残り一人。
レオは、最後の部屋に足を踏み入れる。
豪華な金色で部屋中を飾った、非常に絢爛豪華な部屋。金色の壁に描かれているのは、海賊船だ。
バトルフィールドは同じく目を引くような銀色に輝いているが、フィールド自体は特に仕掛けは無い。
そして、フィールドの向こう側に立つのは、ホクリク地方最強のポケモントレーナー。
チャンピオンの、リカルド。
「ポケモントレーナー、レオよ。よくぞここまで参った! ライオ博士から君について話を聞いたときは大袈裟だと思ったが、まさか本当に四天王全員を倒してしまうとはな!」
「ついにここまで来ましたよ。特訓の成果、僕の持つ全ての力を貴方にぶつけて、勝ってみせます!」
「ハハハハハ! 気合十分、と言ったところだな。君だけでなく、ボールの中からも君のポケモンの闘志がひしひしと伝わってくる。さあ、それでは早速始めようか。四天王たちとは五対五だったろうが、俺との勝負は六対六、すなわちフルバトル。俺とお前で、ポケモンリーグ頂点に相応しい、最高のバトルをしようではないか!」
「はい! それじゃ、よろしくお願いします!」
レオとリカルドが、同時にモンスターボールを取り出す。
「頼んだぜ、ディザソル!」
「燃え盛る豪炎の王と成れ、ファマイン!」
レオの一番手はディザソル。
対するリカルドの初手は、赤い鋼のボディを持つ一つ目のポケモン。
ロボットにも見える容姿で、頭部と肩からは炎を吹き出している。
爆弾ポケモンのファマイン。炎・鋼タイプだ。
「それでは行くぞ! ファマイン、気合玉!」
ファマインが右腕を構える。
レーザー発射口のようなファマインの手から、気合を込めた念弾が放出される。
「ディザソル、躱してぶち壊す!」
対するディザソルが地面を蹴り、フィールドを駆ける。
気合玉を躱し、一気にファマインとの距離を詰め、額の二対の鎌を思い切り叩きつける。
「ファマイン、ダイヤブラスト!」
鎌の一撃を受けて後退りするファマインだが、その周りの空気が突如として爆発する。
周囲へと青白く煌めく爆風が放たれ、ディザソルを吹き飛ばす。
「なるほど、ダイヤブラストを持ってるのか。ディザソル、火炎放射!」
ディザソルはすぐに起き上がると、息を吸い込み、灼熱の炎を吹き出す。
「ファマイン、気合玉!」
しかしファマインは構えた右手から気合の念弾を発射し、襲い来る炎を相殺してしまう。
「だったらサイコカッター!」
ディザソルの額の鎌が念力を纏う。
鎌を振り抜き、念力の刃を飛ばす。
対して、
「コメットパンチ!」
ファマインが両手を突き出す。
銀色の光をその身に纏い、彗星のように真っ直ぐにディザソルへと突撃を仕掛ける。
念力の刃を容易く粉砕し、さらにディザソルに直撃、そのままディザソルを殴り飛ばした。
「ぐっ、速い……! ディザソル、大丈夫か?」
ディザソルは起き上がり、体を震わせて体勢を立て直し、レオの言葉に頷く。
「だったらこれだ! ディザソル、神速!」
ディザソルが一瞬のうちにその場から姿を消す。
神がかった速度で飛び回り、ファマインを撹乱していく。
「なんというスピード。だがこれならどうだ? ファマイン、ダイヤブラスト!」
ファマインは周囲の大気を爆発させ、ダイヤのように青白く煌めく爆風を起こす。
放たれた爆風がファマインの周囲を薙ぎ払うが、
「ディザソル、ぶち壊す!」
上空からディザソルが額の鎌を振り下ろし、落下の勢いもつけて二枚の鎌をファマインへと叩きつける。
「っ、いつの間に上に……! ファマイン、立て直せ! 大文字!」
脳天に鎌を叩き込まれてよろめくファマインだが、それでも右手を構え、激しく燃え盛る大の字型の炎の弾を撃ち出す。
「ディザソル、火炎放射!」
対してディザソルも灼熱の業火を吹き出す。
お互いの放つ炎の攻撃が激突し、爆発が起こる。
「ファマイン、コメットパンチ!」
その煙の中から、両手を突き出し鋼のエネルギーを纏ったファマインが彗星のように突撃してくる。
「ディザソル、もう一度火炎放射!」
立て続けにディザソルは灼熱の炎を吹く。
ファマインの纏う鋼のエネルギーを徐々に引き剥がし、何とかファマインの突撃を食い止めるが、
「気合玉!」
直後、突き出されたままのファマインの腕から、気合を込めた念弾が放出される。
回避しようとするも間に合わず、ディザソルは念弾の直撃を受けて吹き飛ばされる。
「ファマイン、もう一度コメットパンチ!」
「くっ、ディザソル、ぶち壊す!」
吹き飛ぶディザソルへと狙いを定め、両腕を突き出したファマインが鋼の力を纏って彗星のように飛び出す。
対して、ディザソルは空中で体勢を崩しながら、それでも渾身の力で額の両鎌を振り抜く。
空中でお互いの技が激突。競り合った末に爆発を起こし、両者とも巻き込まれて吹き飛び、フィールドへ落ちる。
「まだまだ! ディザソル、サイコカッター!」
砂煙の中から、鎌に念力を纏わせたディザソルが飛び出す。
「ファマイン、気合玉!」
少し遅れてファマインも起き上がり、両手から同時に気合玉を二発放つが、ディザソルは二枚の鎌で気合の念弾を両断し、
「火炎放射!」
灼熱の炎を吹き出し、ファマインの赤い鋼の体を焦がす。
「ファマイン、大文字!」
両腕を突き出し、ファマインは一度に二発の大の字型の炎の弾を発射する。
一度に迫り来る二発の大の字型の炎。躱す隙も与えないが、
「ディザソル、神速!」
ディザソルなら躱せる。
神がかったスピードを発動させ、ディザソルは炎と炎の間のほんの僅かな隙間を潜り抜け、炎を躱して一気にファマインとの距離を詰め、
「ぶち壊す!」
首を大きく振って、額の二枚の鎌をファマインへと思い切り叩きつける。
「甘いわ! ファマイン、ダイヤブラスト!」
ディザソルがファマインの頭に鎌を叩き込んだその直後、ファマインの周囲の大気が爆発する。
煌めく爆風に巻き込まれ、ディザソルが吹き飛ばされる。
「コメットパンチ!」
そのディザソルに狙いを定め、ファマインは両腕を突き出し、銀色の光を纏って彗星のように突撃する。
「躱せディザソル! 神速だ!」
ファマインの彗星の如き拳がディザソルに届くその寸前。
間一髪でディザソルは神速を発動させて一瞬のうちにその場から姿を消し、ファマインは勢い余って遠くへと飛んでいく。
「火炎放射!」
そのまま神がかった速度でディザソルはファマインの背後を取り、灼熱の業火を放つ。
ようやくコメットパンチの勢いを抑え、後ろを振り向いたファマインへと、灼熱の業火が襲い掛かった。
「炎を蹴散らせ! ダイヤブラスト!」
炎に飲まれながらも、ファマインは周囲へと煌めく爆風を起こし、自身を覆う炎を吹き飛ばす。
「そこだ! ディザソル、ぶち壊す!」
しかし、ファマインが炎を振り払ったその刹那。
その目の前に突如ディザソルが現れ、渾身の力で額の両鎌をファマインへと叩きつけた。
空中からフィールドへと叩き落とされ、ファマインは地面に叩きつけられる。
「なにっ!? ファマイン……!」
立て続けの連続攻撃を受け、ファマインは早くも戦闘不能になってしまっていた。
「……なんと。ファマイン、よくやった。休んでいろ」
予想外の展開が起こったような表情を見せ、リカルドはファマインをボールへと戻す。
「……フ、フハハハ! これは驚いた。我がファマインがこんなにも早く倒れてしまうとは! どうやら想像していたよりもずっと強いトレーナーが挑戦しに来たようだな!」
驚きを浮かべつつも、リカルドは心底楽しそうに笑う。
「レオ! 君は俺が思っていたよりも遥かにすごいトレーナーのようだ! 君と戦えることを誇りに思おう!」
「チャンピオンにそう言ってもらえるなんて、嬉しいです。さあ、次のポケモンを見せてください!」
「いいだろう。だが、ここからは今のように容易くは行かぬぞ。それでは、次はこのポケモンだ!」
ニヤリと笑い、リカルドは次のボールを掲げる。
「荒ぶる海原の王と成れ、バクソウオ!」
リカルドの二番手は、骨だけになった大きな魚のようなポケモン。
頭骨からは、鋭い角が突き出ている。
骨魚ポケモンのバクソウオ。タイプは水・ゴーストで、タイプ相性だけで見ればディザソルが有利だ。
「そのディザソルは攻防においてとにかく隙がない。そしてその隙の無さを支えるのは、圧倒的な素早さ。ならば、その素早さを上回るスピードのポケモンを出せばいい」
リカルドはそこで一拍置き、
「バクソウオ、アクアジェット!」
次の瞬間。
ディザソルは、水を纏ったバクソウオの突撃を受けていた。
「な……!?」
バクソウオに吹き飛ばされ、ディザソルが宙を舞う。
「メガホーン!」
吹き飛ぶディザソルをその目に捉え、バクソウオは角を突き出して再び突撃。
先ほどのアクアジェット程ではないにせよ、凄まじいスピードで突貫し、ディザソルを突き飛ばした。
「っ、ディザソル!」
金色の壁に叩きつけられ、ディザソルは戦闘不能になってしまう。
「ディザソル、ありがとう。充分仕事をしてくれたぜ」
ディザソルをボールに戻し、レオはリカルドを見据える。
「何てスピード……アクアジェットなんか、軌道すら見えませんでしたよ」
「俺のバクソウオは手持ちの中で一番速い。特にアクアジェットは別格だ。瞬間速度でこいつのアクアジェットを上回るスピードを出せるポケモン、俺は見たことがない」
先手を取ったと思ったが、すぐに取り返されてしまった。
やはり相手はここまでの四人より強いチャンピオン、そう簡単には勝たせてくれない。
「だけど最後に勝つのは僕だ。次は……頼んだぞ、パンプッチ!」
レオの二番手はパンプッチ。バクソウオに対して、ハイドロポンプ以外の全ての技で効果抜群を取ることができる。
「なるほど、次はセオリー通りで来たか。それじゃあ、見せてもらうぜ」
リカルドの瞳に、若き挑戦者の姿が映る。