二次創作小説(紙ほか)

Re: 第二百十二話 超速 ( No.371 )
日時: 2016/08/27 13:23
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: QJUWNK3S)

「バクソウオ、アクアジェット!」
「パンプッチ、放電!」
互いのポケモンが同時に動く。
しかし、パンプッチが電撃を放とうとしたその瞬間には、水を纏ったバクソウオがパンプッチに激突し、吹き飛ばしている。
「構うなパンプッチ! 放て!」
吹き飛ばされながらも、パンプッチは四方八方に放電し、電撃を撒き散らす。
狙いを定めない電撃がバクソウオを捉え、その動きを止めさせる。
「エナジーボール!」
淡く光る杖を軽やかに一振りし、パンプッチは自然の力を込めた光の弾を飛ばす。
「バクソウオ、喰らい付く!」
対してバクソウオは鋭い牙の生え揃った口を大きく開き、光の弾に噛みつき、打ち消してしまう。
「メガホーン!」
さらにバクソウオはパンプッチに角を向け、全速力で突撃を仕掛けてくる。
「来るぞ! パンプッチ、躱してハイドロポンプ!」
アクアジェットほどのスピードでなければ、何とか回避は出来る。
それでもギリギリではあるのだが、パンプッチは軽やかに素早く跳躍し、何とかバクソウオの角の一撃を躱した。
だが、
「逃すな! アクアジェット!」
体に水を纏い、バクソウオの姿が消える。
パンプッチの杖から放たれた水柱はバクソウオを捉えられず、次の瞬間にはパンプッチは吹き飛ばされている。
「くそっ、やっぱり速い! パンプッチ、放電!」
すぐに起き上がり、パンプッチは周囲に電撃を撒き散らすが、
「バクソウオ、ドリルライナー!」
バクソウオはその場でドリルのように高速で回転し、電撃を全て弾いてしまう。
「電気対策もバッチリか……やり辛いな……」
とにかくバクソウオのスピードが厄介だ。
特にアクアジェット。効果今一つ故ダメージはそこまで大きくもないのだが、速すぎて確実に食らってしまう。
その瞬間速度は、今までレオが見てきたポケモンの中で誰よりも速い。
レオのディザソルよりも、シュウヤのテッカニンよりも、ミヤビのクロバットよりも、オパールのサンダースよりも速いのだ。
「さあ、どうやって攻略する? バクソウオ、食らいつく!」
バクソウオが鋭い牙の並ぶ大口をあけ、パンプッチに迫り来る。
「迎撃なんて間に合わない……パンプッチ、躱してシャドーボール!」
横に飛び退いてパンプッチはバクソウオの牙を躱すと、後方に飛んで行ったバクソウオに向けて杖を振り、黒い影の弾を放つ。
しかしすぐさま旋回して戻って来るバクソウオに影の弾は噛み砕かれてしまい、
「メガホーン!」
そのまま角を構えて突撃。
硬い角がパンプッチを突き刺し、大きく吹き飛ばす。
「パンプッチ! 大丈夫か!?」
頭からフィールドに落下するも、まだパンプッチは起き上がり、レオの言葉に頷く。
「休んでいる暇はないぞ! バクソウオ、食らいつく!」
起き上がったばかりのパンプッチへ、バクソウオは大口を開いて突っ込んでくる。
「地面にハイドロポンプ!」
フィールドへと杖を突き立て、パンプッチは杖の先から大量の水を噴射する。
水の勢いを受けてパンプッチは大きく飛び上がり、バクソウオの牙は水を食らうだけに終わる。
「アクアジェット!」
「そのまま放電!」
絶対に逃すまいとバクソウオは水を全身に纏い、次の瞬間には激突してパンプッチを吹き飛ばす。
それに構わず、パンプッチは吹き飛ばされながらも周囲に電撃を撒き散らす。
やはり狙いを定めない全体攻撃は苦手らしい。
攻撃直後でドリルライナーへ切り替えることが出来ず、バクソウオは再び電撃を受けてしまう。
さらに、
「……くっ、麻痺か!」
リカルドが少しだけ苦い顔をする。放電の追加効果が発動し、バクソウオを麻痺状態にしたのだ。
「これはチャンス。麻痺になれば素早さが下がる! パンプッチ、エナジーボール!」
着地したパンプッチは淡く光る杖を振り、自然の力を込めた光の弾を放つ。
「甘く見てくれるなよ。バクソウオ、食らいつく!」
それに対してバクソウオは大口を開き、光の弾を噛み砕く。
「確かに麻痺すればスピードは落ちる。だが忘れてもらっては困るな、アクアジェットは先制技。これだけはスピードなど関係ないのだよ。バクソウオ、アクアジェット!」
水を纏ったバクソウオが姿を消す。一瞬の後にはパンプッチに激突し、吹き飛ばす。
「やっぱりこの技だけは攻略する必要があるか……! パンプッチ、シャドーボール連射!」
ロッドのように杖を振り回し、パンプッチは四方八方へと影の弾を放っていく。
「無駄だ! バクソウオ、ドリルライナー!」
しかしバクソウオはドリルのように高速回転しながらパンプッチの周囲を飛び回る。
バクソウオに命中する影の弾は、回転によって弾かれてしまうのだ。
「アクアジェット!」
パンプッチが杖を構え直した一瞬の隙を突き、バクソウオは水を纏ってパンプッチを吹き飛ばす。
「狙うは今ぞ! バクソウオ、食らいつく!」
吹き飛ぶパンプッチを見据え、バクソウオが大口を開く。
そのまま全力で突撃を仕掛け、パンプッチの体に牙を食い込ませる。
はずだったのだが。
「……! しまった、バクソウオ!」
麻痺状態は、スピードを下げるだけではない。
不定期に痺れが強くなり、一定の確率で動けなくなってしまうのだ。
つまり。
その状態が、今まさにここで発動し、バクソウオは動けなかった。
「それを待ってた! パンプッチ、エナジーボール!」
バクソウオに生まれた貴重な隙。
それを逃すはずもなく、パンプッチは力一杯杖を振り、自然の力を込めた光の弾を放つ。
体が痺れて動けないバクソウオへ光の弾が直撃。バクソウオは吹き飛ばされ、

地面に落ち、そのまま戦闘不能になった。

「……バクソウオ、よくやった。後は休んでいろ」
「……はい?」
バクソウオを戻すリカルドだが、対してレオは呆然としている。
それもそうだ。まだパンプッチはそこまでの威力でもない放電二発と、エナジーボール一発しか当てていない。それだけで戦闘不能になるなど、思いもしなかった。
「どうした? 何をそんなに驚いている?」
そんなレオに対し、リカルドは怪訝な表情を浮かべて尋ねる。
「……え? 本当に今ので戦闘不能ですか?」
「ああ、そうだ。俺のバクソウオはスピードと攻撃力、特にスピードを極限まで鍛えている。元々骨だけの体のバクソウオは耐久力は低いが、攻撃性能を育て上げた影響か、非常に打たれ弱くなってしまってな。さっきはああ言ったが、今のようにスピードを下げられると、実は非常に不利になってしまう」
「は、はぁ……」
何だか釈然としないが、しかしバクソウオを倒せたのは大きい。
「だがこれで油断するなよ。俺にはまだポケモンが四体残っている。それでは次は、このポケモンで行こうか」
バクソウオを戻したボールを仕舞い、リカルドが次のボールを取り出す。
「大いなる大地の王と成れ、ハサーガ!」
リカルドの三番手は、巨大な蛇のようなポケモン。
五つの頭を持つが、殻を被った頭だけが物を考えられるという。
ナーガポケモンのハサーガ。地面タイプのポケモン。
場に出ると殻を被った頭が咆哮を上げ、それに連れられて残りの四つの頭も声を上げる。
「次はハサーガか。だけど地面タイプならまだパンプッチが戦いやすい。パンプッチ、疲れてるだろうけど、ここは頼むぜ」
パンプッチも息が上がっているが、それでも杖を構えて頷く。
「では行くぞ。ハサーガ、炎の牙!」
ハサーガの五つの顔のうち、二つの顔が牙に炎を灯し、パンプッチへと突撃する。
「パンプッチ、迎え撃て! ハイドロポンプ!」
対してパンプッチは杖を突き出し、大量の水を噴射する。
炎技に対してなら、ハイドロポンプは強い。しかし、
「ハサーガ、ウッドハンマー!」
中央の殻を被った顔が、首を伸ばして先頭に出て来る。
木の幹のように硬化させた頭を水柱に叩きつけ、ハイドロポンプを打ち破ってしまう。
「なにっ!? しょうがない、パンプッチ、躱せ!」
邪魔するものがなくなり、二つの顔が炎の牙を剥いてパンプッチに迫り来る。
パンプッチは咄嗟に大きく跳躍し、間一髪で炎の牙を躱す。
「シャドーボール!」
上空から杖を振り、影の弾を飛ばすが、
「ハサーガ、サンドソニック!」
後方の二つの顔が口から砂の衝撃波を噴き出し、影の弾を打ち消してしまう。
「ハサーガに死角なしか……パンプッチ、気をつけて行くぞ」
着地したパンプッチは頷き、杖を構え直す。
殻を被ったハサーガの頭が下をチロチロと出し、他の顔は低く唸ってパンプッチを威嚇する。