二次創作小説(紙ほか)

Re: 第二百十四話 名手 ( No.373 )
日時: 2016/08/31 09:34
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Ft4.l7ID)

ハサーガとヘラクロス、両者ともに戦闘不能。
三体目までは互角の戦いとなり、レオとリカルドはお互いのポケモンをボールへと戻した。
「チャンピオンになってから多くのトレーナーと戦ってきたが、君ほど強いトレーナーはそう多くはない。二週間前には『ブロック』のリョーマとも戦ったが、レオ、今の君はその時の彼よりも強いかもしれないな」
「へへっ、ありがとうございます。この三週間、父さんと一緒に休む間も無く特訓してきましたからね」
「ふっ、流石はライオの息子。その闘志、そのバトルスタイル。あいつとよく似ているぞ」
それでは、とリカルドはボールを取り出し、
「後半戦を始めるとしようか。気高き武道の王と成れ、エルレイド!」
リカルドの四番手は、緋天将も使用するポケモン、居合の名手エルレイド。
フィールドに登場するとレオに一礼し、戦闘の構えに入る。
「エルレイドが相手なら、こいつだな。頼んだぜ、トゲキッス!」
対するレオのポケモンはトゲキッス。格闘タイプを持つエルレイドに対して、有利を取れる。
「ほう、トゲキッスか。月並みな言葉だが、タイプ相性だけでは俺のエルレイドは勝てんぞ?」
「それは分かってますよ。だけど、タイプ相性もやっぱり大事ですよね。ミトリとの戦いで、改めて実感させられました」
「なるほど、ではその力を見せてもらおうか。エルレイド、雷パンチ!」
エルレイドが拳を構える。
握った拳に電撃を纏わせ、その場で拳を振り抜く。
直後。

エルレイドの拳から雷の弾が飛び出し、トゲキッスへと飛来する。

「なっ!? トゲキッス、躱せ!」
回避を指示するレオだが、予想だにしない一撃に反応が遅れ、トゲキッスは躱しきれずに雷の弾を受けてしまう。
「雷パンチを、飛ばした……!?」
「流石に驚くだろうな。これは長年かけて俺のエルレイドが編み出した戦術。拳に溜めたエネルギーに、エルレイドが持つ念力を仕掛けることで、拳のエネルギーを飛び道具として撃ち出すことが出来る。まだ完成形ではないから、直接殴った時と比べて威力は落ちるがな」
ニヤリとリカルドは笑い、
「次はこれだ。サイコカッター!」
エルレイドの肘の刃が伸びる。
念力を纏った両肘の刃を振るい、二枚の念力の刃を飛ばす。
「これなら問題ない。トゲキッス、躱してエアスラッシュ!」
舞うように飛び回りながらトゲキッスは念力の刃を躱し、エルレイドの上空から無数の空気の刃を落とす。
「全て見切っているぞ。インファイト!」
両拳を握り締め、エルレイドは怒涛の連続攻撃を繰り出す。
激しく、しかしその一方で正確に放たれる拳の連続攻撃が、刃を一枚残さず砕いていく。
「そこだ! 大文字!」
しかし最後の刃を砕き終えるその瞬間を狙って、トゲキッスが大の字型に燃え盛る炎弾を放つ。
流石のエルレイドでも対応しきれずに、エルレイドは大文字を食らって吹き飛ばされてしまう。
「今だぜトゲキッス! 波動弾だ!」
さらにトゲキッスは体の奥から波動の力を呼び起こし、それを凝縮した波動の念弾を放つ。
必中の波動弾は吹き飛ばされるエルレイドに狙いを定め、一直線に飛ぶ。
「エルレイド、サイコカッター!」
しかし吹き飛ばされながらもエルレイドの行動は正確。
中途半端な体勢でも関係なく、念力を纏った肘の刃を振り抜き、波動弾を両断した。
「エルレイド、反撃と行くぞ。炎のパンチ!」
エルレイドの両拳が炎を纏う。
拳を振り抜き、トゲキッスへと二発の炎の弾を飛ばし、さらに、
「雷パンチ!」
立て続けに両拳に電撃を纏い、地を蹴って飛び出し、トゲキッスとの距離を一気に詰めてくる。
「エルレイド、炎を躱してサイコバーン!」
軽やかに飛び上がって、トゲキッスは二発の炎弾を躱す。
さらに体内に念力を溜め込み、それを一気に爆発させて衝撃波を起こし、エルレイドの雷の拳を食い止める。
「サイコカッター!」
「エアスラッシュ!」
肘の刃に念力を纏わせたエルレイドがさ一歩踏み込んで切り掛かるが、トゲキッスは大きく羽ばたいてその反動で後ろへと下り、同時に大きい空気の刃を飛ばす。
念力の刃は空気の刃に相殺される。もう片方の腕の刃も伸ばしてさらに一歩踏み込むエルレイドだが、その刃はトゲキッスには届かない。
「それならばエルレイド、インファイト!」
もう一歩踏み込み、地面を蹴って思い切り跳躍し、エルレイドは飛翔したトゲキッスに一気に迫る。
最初の拳の一撃を直撃させ、そこから怒涛の連続攻撃を叩き込み、最後に手刀を振り下ろしてトゲキッスを床へと叩きつける。
「雷パンチ!」
さらに右拳を握り締めて電撃を纏い、トゲキッスに狙いを定めて急降下する。
「甘く見ないでくださいよ! トゲキッス、サイコバーンだ!」
上空を見上げ、トゲキッスは念力を体内に溜め込む。
一定量溜めても、まだ放出はしない。
流星のように迫ってくるエルレイドを、ギリギリまで引き付け、
「今だトゲキッス! サイコバーンを放て!」
雷の拳が命中する直前、トゲキッスが溜め込んだ念力を爆発させ、周囲に衝撃波を巻き起こした。
通常の威力であれば先ほどのように互角だが、今回トゲキッスは通常よりも多く念力を溜め込んでいたため、エルレイドの雷の拳を突き破り、逆にエルレイドを吹き飛ばした。
「エルレイド、サイコカッター!」
吹き飛ばされてもエルレイドは上手く着地し、肘の刃に念力を纏わせて腕を振り抜き、二枚の念力の刃を飛ばす。
「トゲキッス、躱してエアスラッシュ!」
華麗に舞いながら飛び、トゲキッスは念力の刃を躱すと、エルレイドの頭上を飛び回りながら空気の刃を落とす。
無数の刃が天より落とされ、エルレイドの体を次々と切り刻んでいく。
しかし、

「エルレイド、雷パンチ!」

その直後、爆煙の中から雷の弾が飛び出し、空中のトゲキッスに直撃する。
「トゲキッス!?」
予想もしない一撃を受けて、トゲキッスが地に落ちる。
「我がエルレイドは研ぎ澄まされた精神力によって、どんな状況においても正確な攻撃が出来る。それではエルレイド、炎のパンチ!」
墜落したトゲキッスに狙いを定めて、エルレイドが地を蹴って飛び出す。
拳に炎を灯し、トゲキッスとの距離を一気に詰めていく。
「っ、トゲキッス、大文字!」
咄嗟にトゲキッスは大の字型の炎弾を放つ。
エルレイドの炎の拳を食い止め、何とか相殺にまで持ち込むが、
「ならばサイコカッター!」
エルレイド自身の動きは止まらない。腕を振って念力の刃を飛ばし、トゲキッスを切り裂いた。
「一気に決めるぞ。インファイト!」
拳を握り締め、エルレイドは再びトゲキッスへと拳を繰り出す。
怒涛の連続攻撃が、トゲキッスを襲う。