二次創作小説(紙ほか)

Re: 第二百十五話 波導 ( No.378 )
日時: 2016/09/03 13:41
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: xX7v3Fbw)

連続攻撃の引き金となるエルレイドの拳が、トゲキッスを狙う。
その寸前。
「トゲキッス、地面に大文字だ!」
フィールドに倒れたまま、トゲキッスは真下へと炎を放つ。
ミトリ戦でも見せた戦法。地面に放たれた炎は周囲へと広がり、トゲキッスを中心として大の字型の火柱が上がる。
「……! エルレイド、目標変更! 炎のパンチ!」
対するエルレイドの対応は早かった。
トゲキッスへの攻撃は中止し、拳に炎を灯して足元に拳を叩きつけ、火柱を止める。
しかし、
「トゲキッス、サイコバーン!」
その隙を逃さず、トゲキッスが念力を体内に溜め込んで爆発を起こし、念力の衝撃波でエルレイドを吹き飛ばす。
「空を飛ぶポケモンは地上に落とされると一気に不利になりますからね。その対策は万全ですよ! トゲキッス、波動弾!」
翼を広げて再び飛翔し、トゲキッスは体の奥から生み出した波動の力を凝縮し、波動の念弾を放つ。
「なるほど……! エルレイド、雷パンチ!」
吹き飛ばされながらエルレイドは拳に電撃を纏わせ、その場で拳を突き出して雷の弾を飛ばし、波動弾を相殺。
「だったらエアスラッシュ!」
「それも打ち消す。インファイト!」
高速旋回しながらトゲキッスは無数の空気の刃を飛ばすが、エルレイドは着地するとすぐに拳を構え、激しく、かつ正確な連続攻撃で刃を全て砕く。
「炎のパンチ!」
刃を砕くと、エルレイドは拳に灼熱の炎を灯し、一気にトゲキッスとの距離を詰める。
「トゲキッス、迎え撃て! 大文字!」
大きく息を吸い込み、トゲキッスは激しく燃え盛る大の字型の炎弾を撃ち出す。
放たれる大の字の巨大な炎に対し、エルレイドはその中央へと炎の拳を叩き込み、競り合った末に何とか炎を打ち破った。
しかし、
「エアスラッシュ!」
今度はトゲキッスの方が次の動きが速かった。。
既にトゲキッスはエルレイドの頭上まで飛び上がっており、上空から無数の空気の刃をエルレイドへ落とす。
遂にエルレイドは数多の刃に切り裂かれる。
効果抜群の連続攻撃を受け、まだ何とか立ち上がろうとするもそこで力尽き、エルレイドはフィールドに倒れた。
「エルレイド、よくやった。休んでいろ」
エルレイドをボールに戻すと、すぐにリカルドは別のボールを取り出す。
「さて、あと二体か。それでは、次はこのポケモンだ」
「さあ、次はどんなポケモンですか? 何が出てくるのかが楽しみです」
レオの言葉にセンドウは小さく笑うと、次なるポケモンを繰り出す。
「猛る波導の王と成れ、ルカリオ!」
リカルドの五番手は、波導ポケモンのルカリオ。アスカやコウホクジムリーダーのカラタチも使っている、鋼・格闘タイプのポケモン。
両掌からは、目視できるほど強い、蒼い波導の力を放っている。
手に纏う波導の力はカラタチの個体やアスカの個体よりも力強いものに見える。それだけこのルカリオが強いということだろう。
「では行くぞ。ルカリオ、波導弾!」
「トゲキッス、こっちも波動弾!」
ルカリオが両手を構え、トゲキッスは体の奥から波動の力を生み出し、同時に念弾を放つ。
両者の念弾が正面から激突するが、結果は明白。明らかにルカリオの波導弾の方が強かった。
ルカリオの放った念弾はトゲキッスの念弾を容易く打ち破り、その奥にいるトゲキッスを捉えた。
「波導の勝負で我がルカリオに勝つことなど出来んぞ。ルカリオ、サイコバレット!」
ルカリオが掌を突き出し、蒼い念の銃弾を連射する。
空中で体勢を崩すトゲキッスへ無数の銃弾が襲い掛かり、躱す隙も与えずにトゲキッスを貫いた。
「っ、トゲキッス!」
念の銃弾を叩き込まれて蜂の巣にされ、トゲキッスは戦闘不能となって地に落ちた。
「トゲキッス、よく頑張ってくれたな。後は休んでてくれ」
トゲキッスを戻すと、レオは次のボールを手に取る。
「頼んだぜ、レントラー!」
レオの五番手はレントラー。フィールドに立つと大きく咆哮し、ルカリオを威嚇して攻撃力を下げる。
「威嚇の特性は厄介だが、それくらいはルカリオの障害にはならん。ルカリオ、ボーンラッシュ!」
ルカリオの左手の波導が増幅し、細く長い骨の形をしたロッドを形作る。
その骨を掴むと、ルカリオは地を蹴って飛び出し、レントラーへと狙いを定めて骨のロッドを振るう。
「地面技……! レントラー、怒りの炎!」
対するレントラーは咆哮と共に憤怒の感情の如く荒れ狂う灼熱の業火を放つ。
だがルカリオは片手で骨を振り回しながら炎の中へと自ら突っ込み、炎の波を強引に突っ切り、手にした骨のロッドをレントラーへ叩きつけた。
「なにっ……!? レントラー、大丈夫か!?」
押し戻されたレントラーはすぐに体勢を立て直し、レオの言葉に頷く。
(炎技は効果抜群なはず。まさかその炎の中を突っ込んでくるなんて……だけど、炎のダメージは受けたはずだ)
ルカリオの方を見れば、所々体に煤が付いている。流石に怒りの炎の中をノーダメージで突っ切ることは出来ないようだ。
が、
「ん……?」
そこでレオは気付く。
「ボーンラッシュが、消えてない……?」
先程までと変わらず、ルカリオは得物として左手に骨のロッドを手にしている。
「その通り。俺のルカリオは戦闘中、半永久的にボーンラッシュを作り出したまま戦うことが出来る。波導の扱いを鍛え抜いた我がルカリオだからこその芸当だ」
ますますこのルカリオの強さを実感するレオ。
「それでは次だ。ルカリオ、波動弾!」
右手を構え、ルカリオは波導の念弾を撃ち出す。
ボーンラッシュに波導の一部を使っているはずなのだが、念弾の威力は先程のものと全く変わらない。
「レントラー、壊せ! 氷の牙!」
レントラーが牙に長く鋭い氷を纏わせる。
氷の牙が波導弾を貫き、氷は砕け散るが念弾も破壊される。
「サイコバレット!」
「ギガスパーク!」
ルカリオが右手を突き出し、蒼い念の銃弾をマシンガンのように撃ち出す。
対してレントラーは一点に電気を集めて巨大な電撃の砲弾を作り上げ、ルカリオへと放つ。
念の銃弾を叩き込まれても打ち消されることなく砲弾は突き進み、ルカリオを捉えて吹き飛ばす。
「よっし! レントラー、怒りの炎!」
続けてレントラーはもう一度荒れ狂う業火を吹き出す。
「ルカリオ、メタルブラスト!」
ルカリオは素早く起き上がり、強大な鋼エネルギーの砲撃を放つ。
薙ぎ払うように砲撃が放たれ、ルカリオは襲い来る怒りの炎を打ち消した。
「ルカリオ、ボーンラッシュ!」
「レントラー、馬鹿力!」
再びルカリオが手にした骨のロッドを構えて突っ込み、レントラーは力のリミッターを外して渾身の力の突撃を繰り出す。
ルカリオが骨を叩きつけ、レントラーは正面から激突。
正面から双方の一撃がぶつかり、激しく競り合うも、威嚇が効いているのか、少しずつルカリオが押し戻される。
「よし、レントラー、そのままだ! 吹き飛ばせ!」
さらに力を込め、レントラーはルカリオを押していく。
だが。

「ルカリオ、波導弾!」

ルカリオが手にしている骨の形状をとっていた波導が、一瞬で蒼い念弾を形作った。
その波導の念弾をルカリオはレントラーの額へと叩き込み、逆にレントラーを吹き飛ばした。
「忘れているかもしれないが、骨のロッドもルカリオの波導で作り出したものだ。ルカリオの手元にある限り、自由自在に形を変えて扱うことが出来る」
波導弾は特殊技ゆえ威嚇の影響も受けず、加えてタイプ一致のルカリオの主力技。馬鹿力の勢いで多少威力を削ったとはいえ、ダメージは大きい。
「ルカリオ、もう一度波導弾!」
両手を構え、ルカリオは掌に波導の力を凝縮し、再び波導の念弾を放つ。
「くっ、レントラー、立て直すぞ! ギガスパーク!」
対するレントラーは体から電撃を発し、それを一点に集めて作り上げた巨大な電撃の砲弾を撃ち出す。
電撃の砲弾と波導の念弾が激突し、フィールド中央で爆発を起こす。