二次創作小説(紙ほか)
- Re: 第二百十六話 巨人 ( No.379 )
- 日時: 2016/09/06 09:49
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: tzLa/xcX)
砲弾と念弾が激突し、爆発とともに爆煙を巻き起こす。
「チャンス! レントラー、ギガスパーク!」
通常のポケモンなら煙によって視界が塞がれてしまうが、レントラーの場合は敵の視界が塞がれているため寧ろ好機。
レントラーの瞳が金色に輝き、透視能力が発動する。
煙に隠れるルカリオの位置を正確に突き止め、ルカリオに向けて巨大な電撃の砲弾を放つ。
しかし、
「甘いな。ルカリオ、ボーンラッシュ!」
無傷。
砲弾を受けた様子もなく、骨のロッドを形作った波導を手にしたルカリオが煙の中から飛び出して来る。
そのまま立て続けに骨を振るい、レントラーを殴り飛ばした。
「なっ……!?」
「残念だが、物陰の相手を見つけるのは、何もレントラーだけの特権ではないぞ」
不敵な笑みを浮かべ、リカルドが口を開く。
「波導というのは、何もルカリオだけの持つ能力ではない。波導とは言わば全ての生命が持つ気、オーラのようなもの。ルカリオだけでなく君のレントラーや君自身、そして私も波導を持っている。ルカリオはその波導の力を自由に操るだけでなく、他者の持つ波導も感知出来るのだよ」
つまり、ルカリオは煙の奥のレントラーの位置を波導によって探り当てたということだ。
ギガスパークはボーンラッシュで打ち破ったのだろう。地面技は電気タイプには滅法強い。
「くっ……レントラー、まだ終わってないぞ。怒りの炎!」
立ち上がると、レントラーは瞳に怒りを浮かべて憤怒の感情の如く荒れ狂う灼熱の業火を放つ。
「ルカリオ、波導弾!」
対して、ルカリオは片手を天に掲げ、上空に波導の念弾を打ち上げると、
「突っ切れ! ボーンラッシュ!」
骨のロッドを携え、再び炎の波の中へと飛び込んでいく。
鋼の体には炎は相当効くはずなのだが、レントラーの放った炎を物ともせずにルカリオは突き進み、骨のロッドを思い切り振り抜き、レントラーを叩き飛ばした。
「ルカリオも炎のダメージを受けているはず! レントラー、ギガスパーク!」
まだ何とか起き上がり、レントラーは身体中から電気を放出する。
だが。
刹那、上空から流星のように波導の念弾が飛来し、レントラーの額に直撃した。
「レントラー!?」
先程ルカリオが頭上に放った波導弾が弧を描いて戻って来たのだ。
ルカリオへの攻撃を優先するあまり、レオも完全に失念していた。
波導弾の直撃を受け、レントラーの体がぐらりと傾き、そのままフィールドに倒れた。
「くっ……レントラー、よく頑張った。ゆっくり休んでくれ」
レントラーをボールへと戻し、レオは最後のボールを手に取る。
「これで最後だ! 頼んだぜ、エンペルト!」
満を持して、レオのエース、エンペルトが登場。
フィールドに立つと大きく啼き、戦闘の構えに入る。
「なるほど、そのエンペルトが君のエースか。その力、この俺にどこまで通じるか見せてくれよ!」
「望むところです! エンペルト、ハイドロポンプ!」
大きく息を吸い込み、エンペルトは大量の水を放出する。
「ルカリオ、メタルブラスト!」
骨のロッドを消し、ルカリオは両手から強大な鋼エネルギーの砲撃を放つ。
両者の一撃が正面から激突するが、結果は明白。
エンペルトの放つ水柱が鋼の砲撃を打ち破り、ルカリオを吹き飛ばした。
「っ! ルカリオ、ボーンラッシュ!」
吹き飛ばされたルカリオはすぐに体勢を立て直し、長い骨の形をした波導を手に取り、地を蹴って一気にエンペルトとの距離を詰めるが、
「エンペルト、ジオインパクト!」
エンペルトの両翼が銀色の光を纏う。
振り下ろされる骨のロッドを片翼で防ぐと、もう片方の翼を振るい、衝撃波を放つと共にルカリオを弾き飛ばす。
「ハイドロポンプ!」
間髪入れずにエンペルトは再び大量の水を吹き出す。
吹き飛ぶルカリオを水柱が直撃し、そのまま壁へと叩きつけ、ルカリオの残りの体力を削り取った。
壁にめり込み、ルカリオは戦闘不能となる。
「ルカリオ、よくやった。休んでいろ」
ルカリオをボールへと戻し、いよいよリカルドも最後のボールを手に取った。
「ルカリオの力を持ってして傷一つ付けられないとは、流石はエースポケモンだな。こうなれば、俺もエースを出すしかないな」
リカルドが天高く、最後のボールを掲げる。
「森羅万象の王と成れ、レジギガス!」
地響きを立てて現れたのは、白い巨人のようなポケモン。
腕や顔など、所々に黄色い箇所があり、肩には苔むしたように植物が生えている。
顔には点字のような意匠があり、体の前面には岩石、氷、鋼を模したような謎の三色の球体が左右対称に存在している。
巨大ポケモンのレジギガス。ノーマルタイプの伝説のポケモンだ。
「レジギガス……伝説の、ポケモン……!?」
「そうだ。こいつこそが俺の切り札であり、俺の力。今までの五体も勿論強いが、こいつはその五体を相手取って一歩も引かない実力を持つ」
「……!?」
その巨体と実力に圧倒されそうになるレオ。だが、
「……いや、今さら怖気付く必要なんてない。ここまで来た以上、何としても勝つ! エンペルト、やるぞ!」
ここまで来ればもう怖いものなどない。レオがやることは、戦って勝つこと。それだけだ。
「それじゃあ、行きます! エンペルト、ハイドロポンプ!」
「全力でかかって来い! レジギガス、冷凍パンチ!」
エンペルトが大きく息を吸い込み、大量の水を放出する。
対してレジギガスは大きな腕をゆっくりと振り上げる。
拳に冷気を纏ってその拳を振り抜き、太い水柱を一瞬で凍結、粉砕した。
「レジギガス、メタルブラスト!」
さらにレジギガスの点字のような意匠が点滅し、鋼エネルギーの砲撃が撃ち出される。
タイプが一致していないはずなのに、先程のルカリオのものよりもずっと強い。
「エンペルト、ジオインパクト!」
だがエンペルトも負けていない。
両翼に輝く銀色の光を纏い、その翼を剣のように振り下ろし、鋼のエネルギーを両断してしまう。
「ドリル嘴!」
メタルブラストを捌くと、エンペルトは嘴を伸ばしてドリルのように高速回転しながら飛び出していく。
「レジギガス、ストーンエッジ!」
レジギガスが拳を握り締めると、その拳の周りに白い光が迸り、無数の尖った岩を形作る。
その拳を開くのを合図に、無数の尖った岩がエンペルトへと一斉に撃ち出される。
「エンペルト、躱して突っ込め!」
だがエンペルトは止まらない。
降り注ぐ岩の雨を掻い潜って一気にレジギガスとの距離を詰め、ドリルの如き突撃がレジギガスの顔面に激突した。
「逃すな! 冷凍パンチ!」
直後、エンペルトが吹き飛ばされた。
ドリル嘴を食らっても一歩も引かず、レジギガスは冷気を込めた拳を振るい、エンペルトを殴り飛ばしたのだ。
「俺のレジギガスはちょっとやそっとの攻撃では怯まん。センドウのドサイドンの岩石砲クラスの攻撃でなきゃな。レジギガス、メタルブラスト!」
レジギガスの点字の模様が激しく点滅し、鋼エネルギーの砲撃が放たれる。
「くっ、エンペルト、ジオインパクト!」
吹き飛ばされながらも、エンペルトは両翼に輝く銀色のオーラを纏い、その翼を構える。
直後に鋼の砲撃がエンペルトへと襲い掛かり、エンペルトを地面に叩きつけるが、エンペルトは銀色の翼で何とか身を守り、ダメージを最小限に抑えた。
「攻撃を緩めるな! レジギガス、ストーンエッジ!」
「エンペルト、立て直すぞ! ハイドロポンプ!」
レジギガスが掌を突き出して無数の尖った岩を一斉に撃ち出し、エンペルトが口から水柱のように大量の水を放出する。
無数の岩の刃を、凄まじい勢いの水柱が迎え撃つ。