二次創作小説(紙ほか)

Re: 第二百十九話 訓練 ( No.384 )
日時: 2016/09/11 14:23
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: IqVXZA8s)

数あるネオイビル基地の訓練所のうち、第七訓練所。
そのバトルフィールドに立つのは、碧天将セドニーと、その直属護衛ロフト。
「やれやれ……どういう風の吹き回しだ? まぁ久し振りのバトルだし、勘を取り戻すのにはちょうどいいかもしれねえけどよ」
「最近は建設任務続きですし、私もセドニー様もバトルの腕が鈍ってしまうかと思いましたので。それに……」
ロフトは少し間を空け、
「直接一戦交えれば、セドニー様の抱えている悩みが何か分かるかもしれません。そうすれば、私も何か手助け出来るかと」
ロフトのその言葉に、セドニーは少し驚いたような表情を見せるが、
「……ったく、何を言い出すかと思えば。俺にそんな大層な悩み事なんかねえよ。あるとすれば『ブロック』との決戦が終わった後どうなるか、それくらいだ。ま、腕が鈍らないようにっていう考えなら、俺も賛成だ。受けて立つぜ。ただ時間も時間だし、一対一でいいな?」
すぐにニヤリと笑い、モンスターボールを取り出す。
「バジリールは覚醒しないと使えねえから……そんじゃ、頼んだぜ、サーナイト」
セドニーが出したのはサーナイト。ネオイビルではもはや彼の代名詞とも言えるポケモン。
「っと、何も気を遣う必要はないぜ。サーナイトだって強くしてやらないといけねえからな。心配しねえで、全力で来な」
セドニーの言葉に同意するように、サーナイトもロフトを見据えて首を縦に振る。
「了解しました。マリルリ、行け」
ロフトもボールを取り出し、マリルリを繰り出す。
「それでは行きます。マリルリ、アクアテール!」
マリルリが尻尾の先に水を纏う。
バネのような尻尾を掴んで思い切り振り回し、その尻尾を振り下ろしてサーナイトへと叩きつける。
「サーナイト、サイコキネシス!」
対してサーナイトは手を翳し、念力の壁を発生させてマリルリの尻尾を防ぎ切り、
「十万ボルト!」
体から電気を発して、高電圧の強烈な電撃を放つ。
「マリルリ、躱して捨て身タックル!」
身軽に跳んで電撃を躱し、マリルリは守りを捨て、渾身の力を込めた突撃を仕掛ける。
「サーナイト、ムーンフォース!」
サーナイトの体が月の光のように白く光り輝く。
その光を掌の一点に集めて、サーナイトは純白の光の光線を撃ち出す。
正面から突っ込んでくるマリルリを白い光が捉え、逆にマリルリを押し戻した。
「気合玉!」
さらにサーナイトの掌に気合を込めた念弾が作り上げられ、マリルリへと発射される。
「マリルリ、立て直せ! 気合パンチ!」
マリルリの握り締めた拳に気合の力が宿る。
赤く光る拳を振り抜き、マリルリは気合玉を粉砕すると、
「アクアテール!」
再び尻尾に水を纏い、床を蹴って飛び出し、一気にサーナイトとの距離を詰めて長い尻尾を振り下ろす。
「そうはいかんぜ。サーナイト、サイコキネシス!」
サーナイトが再び強い念力を発する。
今度はマリルリの尾に直接念力を仕掛けてその動きを止め、念力を操って逆にマリルリを投げ飛ばしてしまう。
「十万ボルトだ!」
さらにサーナイトは高電圧の電気を生み出し、マリルリに向けて強力な電撃を放つが、
「草結び!」
その直前、サーナイトがよろめく。
サーナイトの足元にいつの間にか結ばれた草が出現し、サーナイトを躓かせたのだ。
草結びは本来、相手が重いほど高威力を発揮する技。比較的軽いサーナイトには威力はそこまで期待できないが、それでもサーナイトを止めるには充分。
実際にサーナイトは体勢を崩し、電撃は明後日の方向へと飛んで行ってしまう。
「今だマリルリ! アクアテール!」
そしてその隙を逃さず、マリルリは水を纏った尻尾を振り回して思い切り振り下ろし、サーナイトの額に丸い尻尾を叩きつけた。
「続けて気合パンチ!」
さらにマリルリは拳を握り締め、ありったけの気合を込めた拳を突き出す。
「っ、サーナイト、サイコキネシス!」
対するサーナイトは何とか両手から念力を発し、マリルリの拳を受け止める。
「ほお、なかなかやるじゃんかよ。サーナイト、大丈夫か?」
一旦体勢を立て直し、サーナイトは尻尾を叩きつけられた額をさすりながらもセドニーの言葉に応えて頷く。
「よし、サーナイト、もう一度十万ボルト!」
再びサーナイトは体から電気を生み出し、高電圧の強力な電撃を撃ち出す。
「マリルリ、躱して捨て身タックル!」
その電撃を掻い潜ってマリルリは前進し、守りを捨てて捨て身の特攻を仕掛ける。
「サーナイト、気合玉!」
サーナイトの右掌に身体中の気合の力が溜め込まれ、気合の念弾が掌から放出される。
突撃してくるマリルリに気合玉が正面から直撃、マリルリの突撃の勢いを抑え、
「ムーンフォース!」
間髪入れずにサーナイトの両手から月の光のような純白の光線が放射される。
光線を躱しきれず、マリルリは純白の光に飲み込まれて吹き飛ばされる。
「くっ、流石は天将セドニー様……ならば、マリルリ、地面に気合パンチ!」
マリルリは起き上がると、拳にありったけの気合を込めて地面に拳を叩きつけ、フィールドを大きく揺らす。
揺れによってサーナイトの動きを止めつつ、マリルリは宙へと飛び上がり、
「捨て身タックル!」
そこから守りを捨てて捨て身の特攻を仕掛ける。
「なるほど、それならサーナイト、サイコキネシス!」
一方、サーナイトは自分の身体に念力を掛ける。
念力を操作し、自分の体を宙へと持ち上げ、マリルリの突撃を回避した。
「十万ボルト!」
「アクアテール!」
念力を解いて空中で電撃を生み出すサーナイトだが、それよりも早くマリルリが水を纏った長い尻尾を振り回す。
長いリーチの尻尾が空中のサーナイトを捉え、その細身の体を叩き飛ばした。
「マリルリ、追撃だ! 気合パンチ!」
吹き飛ばされるサーナイトを狙い、マリルリは渾身の力を込めた拳の一撃を繰り出す。
「そうは行かねえぜ。サーナイト、サイコキネシス!」
だがまたしてもサーナイトの放つ強い念力によって阻まれ、マリルリの拳はサーナイトに届かず、逆にマリルリが押し返されてしまう。
「気合玉だ!」
そしてすぐさまサーナイトは掌から気合の念弾を放出する。
押し返され、体勢を立て直した直後、気合玉が直撃し、マリルリは吹き飛ばされる。
「っ、マリルリ!」
吹き飛ばされて地面に落ちるも、まだマリルリは起き上がる。
上司セドニーとのバトルの中で、ロフトはふと、過去のことを思い出す——