二次創作小説(紙ほか)

Re: 第九話 孵化 ( No.39 )
日時: 2013/08/15 13:34
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Q1X0ZXes)

次の日。
レオは、朝早めにハスバナシティを出た。
デンエイシティまでは、結構距離があるので、早めに着いておきたいのが理由だ。
「そろそろ、次のポケモンもゲットしたいよな」
そんなことを呟きつつ、道のわきなどに目を凝らし、見たことのないポケモンがいないかを探しつつ、レオは歩いていく。


ハスバナとデンエイの中間地点くらいまでやってきたレオ。
特に野生ポケモンを見つけられないまま、ここまで来ていた。
ちなみに、ポケモンを探してキョロキョロしながら歩いてきていたため、相当な時間が掛かっている。
何と既に昼過ぎである。
と、そこで、レオの前に立つ人影が一つ。
「そこのお前! 突然だが、ポケモンバトルを申し込むぜ!」
ポケモントレーナーの少年だ。ポケモンバトルとは、このように唐突に起こるものである。
「お? いいぜ、受けて立つよ」
勿論、レオもその挑戦に応え、ボールを取り出す。
「そうこなくっちゃな。行くぜ、ポニータ!」
少年のポケモンは、橙色の馬のようなポケモン。体毛の代わりに、炎が体全体を覆っている。
ポニータ、火の馬ポケモン。炎タイプだ。
「炎タイプか。それなら、頼んだぞ、ポッチャマ!」
レオのポケモンは、ポニータに有利な水タイプのポッチャマだ。
「へえ、水タイプのポッチャマだな。だけどタイプ相性だけで俺のポニータに勝てると思うなよ」
「勿論。簡単に勝っちゃ面白くないからな」
戦闘態勢に入る二人。だが、その時。

レオが担いでいるバッグが、小刻みに振動する。

「? ごめん、ちょっと待ってくれ」
レオは屈んで、バッグの口を開く。
するとそこには、ソライト博士から貰ったポケモンの卵が、小刻みに震えていた。
「!? やっべ、卵が!」
「何? 卵?」
その少年はレオのバッグを覗き込み、
「おお、ポケモンの卵だ。こりゃもうすぐ生まれるぞ。バトルは中止だな、早くポケモンセンターに……」
「それは分かってる。だけど、ここはハスバナとデンエイの中間地点、次の町がどっちも遠いんだよ!」
レオのその声を聞くと、少年は、しゃあねえな、と呟き、もう一つのボールを取り出す。
そこから出て来たのは、もう一体のポニータ。
「おい、お前。俺のポニータに乗れ」
「え?」
「ポニータの炎は自在に温度を調節できる。俺のポニータに乗れば、デンエイまで間に合うだろう。時間が無いぞ、さあ!」
「わ、分かった。ありがとうな!」
「例には及ばんよ!」
そして、レオと少年はそれぞれポニータに乗り、二頭のポニータはデンエイシティを目指して疾走する。


「やばい、卵が光り出した!」
「デンエイまでもう少しだ! それまで粘れ!」
やがて、地を駆けるポニータ二頭がタウンゲートを一瞬で潜り抜け、デンエイシティへと駆け込む。
「ラストスパート!」
少年のその声で、ポニータはさらに加速し、一気にポケモンセンターの前まで走る。
「助かった! ありがとう!」
「おうよ! せっかくだから俺も孵化を見届けるぜ!」
ポニータから飛び降り、レオと少年はポケモンセンターに駆けこむ。
「ジョーイさん! この卵を!」
フロントまで一気に走り、レオはバッグから卵を取り出し、ジョーイさんに渡す。
「あら、もうすぐ孵りそうじゃない! 分かったわ、すぐに準備をします」
そういうと、ジョーイさんは卵を抱え、すぐに奥の部屋へと向かう。
レオと少年も後を追う。
卵は柔らかな布の上に置かれ、いくつかのコードが取り付けられる。
そして、卵の発光が最大に達し、卵に少しずつひびが入っていく。
「来た……!」
卵がピキピキと音を立て、割れ始める。そして、
「……孵ったぞ」
レオと少年は同時に呟く。
生まれたポケモンは、下半身が赤や青の三角模様のついた白い殻に覆われており、体はベージュ色、頭が星形に突起したようなポケモン。
レオは図鑑を取り出す。
「トゲピー、針玉ポケモン。ノーマルタイプ、か……」
生まれたトゲピーの後ろからジョーイさんが近寄り、ぱっとトゲピーの視線をレオに向ける。
すると、トゲピーは生まれたばかりだというのに、ぱっとその布から飛び降り、瞬く間にレオの頭の上まで登っていく。
「お……?」
トゲピーはレオの頭の上にちょこんと座り、「定位置」とでも言いたげにレオを見下ろす。
「種族にもよるけど、基本的に、卵から生まれたポケモンは一番最初に見た人やポケモンを親と思い込む習性があるのよ」
勿論例外も多いんだけど、とジョーイさんは説明する。
とりあえず、レオには新しい仲間、トゲピーが加わった。
そして、レオは傍らにいる少年に(トゲピーを頭に乗せたまま)言葉を掛ける。
「お願いがあるんだけど」
「は?」
怪訝な表情を浮かべ、その少年は尋ねる。
そして、その少年に、レオは簡潔に要件を話す。
「このトゲピーの力を測りたいんだ。バトルの続きをお願いしていいか?」


そんなこんなで、レオと少年のバトルが始まった。
少年のポケモンはポニータ、レオのポケモンはトゲピー。
「まだそのトゲピーは生まれたばっかでバトル慣れしてねえだろうから、先攻は譲ってやるぜ」
そういう流れで、レオが先攻になった。
「サンキュー。覚えてる技はっと……トゲピー、原始の力!」
トゲピーは周囲にいくつかの岩を浮かべ、その岩をポニータ目掛けて放つ。
「ポニータ、二度蹴りだ!」
ポニータは岩の一つを蹴っ飛ばし、飛んでくる岩にぶつけて相殺。
さらにもう一発目の蹴りで、残りの岩を破壊する。
「今度はこっちから行くぜ! ポニータ、ニトロチャージ!」
ポニータは体中に炎を纏い、トゲピー目掛けて駆ける。
「だったらトゲピー、こっちは頭突きだ!」
トゲピーは頭を突き出し、地を蹴って跳ぶ。
正面から激突するが、やはり攻撃力はポニータに分があり、トゲピーは押し負け、押し戻される。
「もう一発ニトロチャージ!」
さらにポニータは体に炎を纏い、突っ込んでくる。さっきよりも少々速い。
「だったらこれならどうだ? トゲピー、神通力!」
トゲピーは素早く起き上がると、神々しい念力の力を放ち、今度はポニータの動きを止める。
さらにそこから念力を強めて、ポニータを吹っ飛ばす。
「やるな。ポニータ、二度蹴り!」
「だったら、トゲピー、頭突き!」
ポニータはトゲピー目掛けて駆け、足を突き出す。
トゲピーも頭を突き出して跳び、ポニータへと突撃する。