二次創作小説(紙ほか)
- Re: 行間 ( No.390 )
- 日時: 2016/09/25 09:19
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
そこは、大広間のような場所だった。
コンサートホールのように、何段かに分かれた観客席が中央をぐるりと取り囲むような造りの空間。
しかしコンサートホールと違うのは、それらは古びた石や柱で造られた広間ということ、そして、圧倒的に広いということ。
現在、その広間はおびただしい数の人間によって埋め尽くされている。
ほとんどの人間が黒ずくめの衣装を身にまとっている。その胸には、盾にNとEをくっつけたような模様が描かれた紋章が刻まれている。
さらに、段の一番上部には、七人の人間が立つ。彼らは、皆バラバラの服装である。
左端に立つのは、緑色の髪を立たせ、青い服の上に迷彩柄のコートを着た長身の男。物思いに耽るような表情で、じっと広間の中央を見据えている。
ネオイビルの求道神、碧天将セドニー。
右端には、非常に長い艶やかな深紅の髪に、黄色と白の花の模様が入った黒いドレスを着た高貴な雰囲気を醸し出す女。細く鋭い視線を、どこかへと向けている。
ネオイビルの豊麗神、緋天将ガーネット。
その隣には、長めの青い髪をし、黒いスーツのような服の上から白衣を着、眼鏡を掛けた男。普段浮かべる僅かな笑みも、今は表情に浮かばない。
ネオイビルの狡智神、蒼天将ソライト。
左から二番目には、紋章の刻まれたフードを被り、ローブのような真っ黒な服を着た男。フードの隙間から、猛獣のように鋭く邪悪な眼光が光る。
ネオイビルの破壊神、破天将メジスト。
その隣には、車椅子に乗り、紫のツインテールにゴスロリのような服装を着た背の低い少女。冷たい光を湛えた瞳からは、何の感情も感じられない。
ネオイビルの夜想神、夜天将ラピス。
右から三番目には、黄色い髪を無造作に跳ねさせ、橙色の軍服の上に赤いマントを羽織った頑強な男。腕を組み、険しく厳しい眼差しを中央へと向けている。
ネオイビルの戦軍神、輝天将トパズ。
そして中央には、白い長髪に、宝石のように様々な光を放つドレスを着た、清らかで美しい女。胸の前で手を組み、目を瞑るその姿は、何かに祈りを捧げているようにも見える。
ネオイビルの守護神、聖天将オパール。
彼らの後ろには、それぞれの直属護衛が控え、そしてホールの中央には、彼らの主が君臨する。
白い謎の模様が刻まれた漆黒のコートを纏い、左手の中指に灰色の指輪をはめ、右手には機械の爪を装着した男。かなり痩せ細っているが、その野心に満ちた瞳からは恐ろしいほどの狂気を放っている。
ネオイビルの頂点に立つ起源神、マター。
今、この場には全てのネオイビル団員が集まっている。
ホールの中央から、マターは同胞たちに語りかける。
「皆の者よ、来るべき時が来ました。神話の復活の準備が、ようやく整いました」
マターの言葉に下っ端たちが騒めくが、マターは気にせず演説を続ける。
「これから我々が行うことは、侵略でも攻撃でも、宣戦布告でもありません。裁きです。自身を罪人であると自覚せず、無意識に悪行に走る者たちへの断罪となるのです。罪と欲望に塗れたこの世界を、我々の手で変えなければならない」
しかし、とマターは続け、
「私が幾度となく説いてきたように、我々人間は悪です。罪人の手で罪人を裁いても意味はない。人間を裁くのは、神以外をおいて他にありません。だからこそ、我々はこれから、神話を復活させる必要があるのです。この世界を断罪するのは、人間ではなく——」
一旦言葉を切り、マターは力強く、叫ぶように告げる。
「——星と旋風の使徒、アスフィアです!」
刹那、広間に静寂が広がる。全ての者の動きが、声が、静まり返る。
「この世界に裁きを下すのは、星と旋風を司る星座神、アスフィアをおいて他にいません。神話を復活させ、我々も神となる。神の力を持ってすれば、世界など恐るるに足らず! 神に歯向かえる人間など、どこにも存在などしないのです!」
そこで言葉を切り、再び落ち着いた様子でマターは語り出す。
「さあ、それでは始めましょうか。星座神話の復活、そして新世界の始まりの幕開けです」
そう言ってマターが指を鳴らす。すると次の瞬間、マターの影からポケモンが現れる。
神話復活の鍵、オルディナだ。その体内には、アスフィアの力を司る、三つの石が埋め込まれている。
右手の機械をマターは操作し、オルディナに指示を出す。
オルディナの瞳から、淡い光が映し出される。
刹那。
世界が、振動した。
突然の揺れに団員たちはよろめき、転ぶ者もいた。
その中央で、マターだけが両手を広げ、天を仰いだ。
笑いに笑いながら、彼は大きく叫ぶ。
「新世界創造の始まりです! 目覚めよ、空中円盤都市『スフィア・ディスク』!」