二次創作小説(紙ほか)
- Re: 第二百三十二話 輝天 ( No.398 )
- 日時: 2016/10/04 16:02
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
真っ先に下っ端の大群を突き抜けたリョーマは、後から付いてきたテレジアと共に、いち早く城へと突入した。
城を登り、直感で分かれ道も迷わず突き進み、最終的にリョーマが辿り着いたのはホールのような大広間。
それ以上先に進む通路はなく、どうやらここは最深部ではないらしい。
しかし、リョーマにとって、この進路は決して間違いではなかった。
なぜなら。
リョーマにとっての宿敵が待ち受けていたからだ。
「やはり貴様が来たか、『ブロック』副統率」
無造作に跳ねた橙色の髪、頑強な体を軍服と赤いマントに包んだ男。軍服の胸元には、ネオイビルの紋章。
輝天隊統率、序列二位——輝天将トパズ。
「貴様が来ると思っていたぞ。我を倒せる可能性があるとすれば、貴様くらいだろうからな。それに、貴様は一度我に敗北しているしな」
一度一ヶ月前に相見えた宿敵。
軍神トパズを前にして、リョーマは進み出る。
「テレジア、下がってろ」
テレジアの方を振り返らず、リョーマはただそう告げる。
「こいつは俺の敵だ。俺がこの手でこいつを倒す」
初めて見た、これほどのリョーマの気迫。
「……分かりましたわ。お任せします」
それに押され、テレジアは静かに後ろへと下がる。
「さて、戦いの準備は整ったか」
「ああ」
短く言葉を交わした後、お互いにボールを取り出すが、
「俺は、許せねえ」
唐突に、リョーマが口を開いた。
「絶対に許せねえ。今度こそ、俺がお前を倒す」
それを聞いたトパズは何も言わなかった。
表情を変えることなく、ポケモンを繰り出す。
「撃墜せよ、ガルラーダ!」
「飛翔せよ、トロピウス!」
トパズのポケモンはガルダポケモンのガルラーダ。神鳥に似た姿をし、背中には卵の殻のようなものが付いている。
対するリョーマのポケモンはヤシの木の葉に似た翼を持ち、顎の下にフルーツを生やした首の長い恐竜のようなポケモン、フルーツポケモンのトロピウス。
「テンモン戦で言ったはずなのだがな。我がガルラーダは空中戦では無類の強さを誇ると」
「だからこそのトロピウスだよ」
トパズの言葉に対して、すぐさまリョーマはそう返した。
「空中戦最強の軍神の飛行ポケモンを、空中戦でぶっ潰す。こちとらこの一ヶ月、お前を倒すためにずっと鍛えてきたんだ。テンモンで言われたことをそのまま返すぜ。その翼をへし折り、叩き落としてくれる! 始めるぜ、トロピウス、リーフストーム!」
自信を鼓舞するようにトロピウスが大きく咆哮し、巨大なヤシの葉の翼を広げて飛翔する。
激しく翼を羽ばたかせて暴風を起こし、その風に尖った葉の刃を乗せ、葉の竜巻をガルラーダへと叩きつける。
「ガルラーダ、ブレイブバード!」
だがガルラーダは翼を折りたたむと全身に燃えるようなオーラを纏わせ、逃げも隠れもせず竜巻の中に突っ込んでいく。
竜巻を貫き、疾風の弾丸のようなガルラーダの一撃がトロピウスを捉えた。
だが、
「効かねえ! トロピウス、ドラゴンダイブ!」
ガルラーダの突撃を受けたトロピウスは怯まなかった。
龍の力と殺気を全て首の一点に纏わせ、突撃してきたガルラーダの背中、つまり弱点の殻へと硬い首を叩きつける。
完璧に決まったカウンターの一撃。凄まじい勢いで、ガルラーダが床へと叩きつけられた。
トパズの表情が、僅かに変化する。
「トロピウス、ハイドロポンプ!」
地面に激突したガルラーダに向けて、トロピウスは上空から滝のような水流を落とす。
「ガルラーダ、もう一度ブレイブバード!」
倒れたままのガルラーダの体が、激しいオーラに包まれる。
翼を地面に叩きつけて飛翔し、ガルラーダは垂直に上昇、水流の中を突き進み、そのまま今度こそトロピウスを貫いた。
「トロピウス! っ、やっぱ痛えな……!」
空中でぐらりと巨体が傾くが、すぐにトロピウスは体勢を立て直す。
「ガルラーダ、襲撃!」
構えを取ったガルラーダが、一瞬でトロピウスとの距離を詰める。
トロピウスの背後へと回りこみ、翼を叩きつける。
「させねえ! ハリケーンだ!」
しかしその直前、トロピウスを中心に嵐のような暴風が吹き荒れ、ガルラーダは逆に風に巻き込まれて吹き飛ばされる。
「……風だけでガルラーダの体勢を崩すか。我のガルラーダはいかなる嵐の中でも通常通り飛べる飛行能力を備えている。なるほど、確かに一ヶ月前とは違うようだな」
それならば、とトパズは続け、
「ガルラーダ、一旦離れろ! 熱風だ!」
大きく翼を羽ばたかせ、ガルラーダはトロピウスとの距離を取る。
さらにそこから激しく羽ばたき、灼熱の風を巻き起こす。
「風の扱いはこっちが上だ! トロピウス、もう一度ハリケーン!」
トロピウスも再び嵐のような暴風を起こす。
風の塊が激突し、部屋全体に爆風のような激しい風が吹き荒ぶ。
その風を直に受けても、二人と二匹は顔色一つ変えない。
「ガルラーダ、ブレイブバード!」
「トロピウス、ドラゴンダイブ!」
ガルラーダは燃えるようなオーラを、トロピウスは龍の力と凄まじい殺気を身に纏い、一直線に突撃する。
互いの渾身の一撃が正面から激突。双方一歩も引かずに、激しい競り合いが続く。
しかし、
「ガルラーダ、ダイヤブラスト!」
突如、ガルラーダの周囲の空気が爆発した。青白く煌めく爆風が迸り、トロピウスが吹き飛ばされる。
「貫け。ガルラーダ、もう一度ブレイブバード!」
翼を折りたたみ、ガルラーダがその身に激しく燃え上がるオーラを纏う。
吹き飛ぶトロピウスを見据え、渾身の突撃を繰り出す。
だが、
「舐めんな! トロピウス、リーフストーム!」
トロピウスが咆哮し、思い切り翼を羽ばたかせる。
風が竜巻を形作り、尖った無数の葉の刃がその中を舞う。
尖った葉の竜巻が、背中の殻を狙い、ガルラーダの上から叩きつけられる。
「俺のトロピウスのこの馬力、甘く見てくれんなよ! トロピウス、ハリケーン!」
動きの止まったガルラーダが、嵐のような暴風に巻き込まれた。
そのまま風によって吹き飛ばされ、壁へと叩きつけられる。
「ドラゴンダイブ!」
そのガルラーダに対し、龍の力と凄まじい殺気を纏ったトロピウスが一直線に突っ込む。
「それならばダイヤブラスト!」
トロピウスの突撃が命中する直前、壁に叩きつけられたガルラーダの周囲が爆発し、青白く煌めく爆風が巻き起こる。
ダメージこそないものの、トロピウスが纏う龍の力は爆風によって纏めて削がれてしまい、
「ガルラーダ、襲撃!」
壁から抜け出したガルラーダがトロピウスの背後に回り込み、翼を横薙ぎに振るい、トロピウスを叩き飛ばす。
「畳み掛けろ。ガルラーダ、熱風!」
「させるかよ! トロピウス、ハイドロポンプ!」
さらにガルラーダが羽ばたき、灼熱の風を吹かせる。
対してトロピウスは体勢を崩しながらも大量の水を噴射し、熱風を防ぎ切る。
「まだ終わらんぞ。ガルラーダ、ブレイブバード!」
翼を折り畳んだガルラーダの体が燃えるオーラに包まれ、超高速の突撃が繰り出される。
「こいつぁ躱せねえ……トロピウス! 一発耐え切れ!」
リョーマが叫んだ、その直後。
ガルラーダの渾身の突撃がトロピウスを捉え、その巨体を壁まで吹き飛ばし、叩きつけた。