二次創作小説(紙ほか)
- Re: 第十話 天使の笑み ( No.40 )
- 日時: 2013/08/15 13:35
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Q1X0ZXes)
ポニータの足の一撃と、トゲピーの頭突きが激突する。
威力はトゲピーに分があり、ポニータは押し負け、後退する。
「そこだ! 原始の力!」
トゲピーは周囲にいくつかの岩を浮かべ、その岩をポニータへと飛ばす。
体勢を崩していたポニータには、全て避けることは出来ず、何個か岩が命中する。
原始の力は岩タイプの技。ポニータには効果抜群だ。
「そのトゲピー、なかなかやるな。卵から孵ったばかりとは思えないぜ」
少年はトゲピーの実力を賞賛し、
「それならポニータ、高速移動だ!」
刹那、ポニータの素早さが格段に上昇する。
先ほどの二倍ほどもあるスピードで、ポニータは一気にトゲピーまで近づき、
「二度蹴りだ!」
回避する暇も与えず、ポニータはトゲピーを連続で二度蹴り飛ばす。
二度蹴りはそこまで威力は高くない技だが、効果は抜群、結構痛い。
「まだだ! トゲピー、神通力!」
トゲピーは神々しい念道力をポニータ目掛けて放つが、ポニータは上昇した素早さを生かし、巧みに念力を避けると、
「ニトロチャージ!」
体に炎を纏い、一直線に突っ込んでくる。
(こうなったら……賭けだけど、これを使うしかないか)
そして、レオはトゲピーの最後の技を指示する。
「トゲピー、指を振る!」
トゲピーは指を左右に振りだす。すると、その指が青く光っていく。
指を振るとは、その名の通り指を振って、原理は不明だがランダムで別の技を繰り出すという技。
完全に運任せだが、いい技が出れば一発逆転を狙える。
そして、トゲピーの指の光が最高潮に達する。
次の瞬間、トゲピーの指先から灼熱の炎が噴き出し、ポニータへと襲い掛かる。
「! 火炎放射か!」
炎の勢いは強く、突っ込んでくるポニータと激突する。
しかし、
「残念だったな」
トゲピーが放つ灼熱の炎は、何故かポニータにどんどん吸収されていく。
「俺のポニータの特性は、炎技を吸収して自らの炎の力に変える貰い火だぜ。これならニトロチャージの威力が上がる!」
「何ッ!?」
さらに大きな炎が、ポニータを包む。
そしてそのまま、トゲピーへと激突する。
「トゲピー!」
トゲピーは吹っ飛ばされ、戦闘不能となっていた。
「トゲピー、よく頑張った。初めてのバトルにしては、とてもいい動きだったぜ」
レオはトゲピーの頭を撫で、トゲピーを褒める。
「そのトゲピー、卵から孵ったばかりにしてはいいバトルをするじゃねえか。ちゃんと育てれば、かなり強くなりそうだぜ」
少年もポニータを戻し、そう言った。
「ああ。これから頑張って育てていくよ。いろいろ世話になったよ、ありがとうな」
「おう。例には及ばんよ」
レオと少年は握手を交わし、そしてポニータ使いの少年は去っていった。
ところで、レオはまだデンエイシティを全く見て回っていない。
なので今、レオはデンエイシティを見て回っている。
まず、何と言っても一番目を引くのが、町の中央にそびえ立つ大きな塔である。
この塔、上層部の外壁が全てソーラーパネルで作られている。
その内部には『ペタメモリ』という、小さいが膨大な容量を持つメモリーカードが組み込まれているらしい。
そのメモリーカードを通じて、町全体に電気が送られている仕組みらしい。
さらに、全ての民家の屋根にもソーラーパネルが取り付けられている。
どうやら、これらは全てジムリーダーが考案した設計のようだ。
少しでも電気代を下げ、住民の負担を少しでも減らそうという考案らしく、ソーラーパネル取り付けの際にはジムリーダーも負担したという。
「どれだけ金持ちなんだろうな、ここのジムリーダー」
そんなことを呟きつつ、レオはジムの前にやってくる。
ジムの外観は工場のようになっており、光沢のある灰色に黄色く長いテープが張られたような柄になっている。
だが、まだレオは挑戦はしない。
「トゲピーを、もうちょっと鍛えてあげないとな……」
塔の周りは結構広く、ストリートバトルも結構行われている。
今日はトゲピーを育て、ジムは明日挑戦だ。
次の日。
昨日のトゲピーの戦績は、三勝二敗。
本当に、このトゲピーは卵から孵ったばかりとは思えないくらいの実力があった。
「心強い戦力も加わったし、ジム戦頑張るぞ!」
ジムまでやってきたレオは、重めのジムの扉を開け、中へと入る。
「お願いします!」
ジムの内装も、やはり工場のようにも見える。
壁は黒い金属で作られ、ところどころ黒いパイプが通っている。
バトルフィールドの床も、ところどころ凸凹した黒い金属で作られている。
そして、そのバトルフィールドの向こうに立つ女が一人。
金髪を長いポニーテールにし、オレンジ色の服の上から赤いコートを羽織った、優しげな表情の二十歳くらいの女が、こちらを眺めている。
「おはようございます。ここに来たってことは、ジムの挑戦者さんね?」
その女が口を開く。表情と同じように、ゆったりとした優しげな口調だ。
「はい、ジムへと挑戦に来ました、レオと言います」
「レオ君ね。私は電気タイプ使いのユカリ、デンエイシティのジムリーダーよ」
その女——ユカリは、柔和な笑みを浮かべて名を名乗る。
「ジムリーダーになってからは、この町を発展させるためにいろいろ頑張ってきたわ。今はもう自立してるけど、私の家は結構な大きいお屋敷で、お金が余ってたから、この町の為に使ったってわけ。町の皆にも好評でよかったわ」
ユカリはにっこりと笑い、そしてモンスターボールを取り出す。
「さて、私の大まかな自己紹介も終わったし、そろそろジム戦を始めましょう。楽しいバトルを期待してるわよ」
「臨む所です。僕も全力で行きますよ」
デンエイシティでのジム戦が始まる。
『デンエイシティジム ジムリーダー ユカリ 輝くスマイルガール』