二次創作小説(紙ほか)
- Re: 第二百三十四話 溶解 ( No.400 )
- 日時: 2016/10/17 10:51
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: BLs5hxhk)
天を貫く竜巻によって、ペリッパーとフワライド、両者とも嵐のような暴風に巻き込まれ、吹き飛ばされる。
竜巻がようやく収まった時、まずペリッパーが力を使い果たして地面に落ちた。
その後フワライドも風に流されてゆっくりと下降し、そのまま地に伏した。
「……ペリッパー、よくやっただ。後は休ンどけ」
「フワライド、よく頑張った。戻って休んでな」
それぞれのポケモンを戻し、両者は次のボールを取り出す。
「行って来い、シャワーズ!」
セドニーの二番手は水タイプのシャワーズ。対して、
「羽ばたけ、ドンカラス!」
カンタロウが繰り出すのは、彼の手持ちの中でも高い実力を持つドンカラス。
「それじゃあ行くぞ。シャワーズ、ハイドロポンプ!」
大きく息を吸い込み、シャワーズは大量の水を太い水柱として吹き出す。
「ドンカラス、躱してぶち壊す!」
翼を開いて飛翔し、水柱を躱してドンカラスは突撃する。
一気にシャワーズとの距離を詰め、右の翼を思い切り振り下ろす。
「無駄だ。シャワーズ、溶ける!」
だがドンカラスの翼がシャワーズを捉えるより早く、シャワーズの体が液体状に溶けてしまう。
翼が液体となったシャワーズを捉えるが、ダメージを与えた手応えはない。
「前回やった時は悪の波動を使ってたが、物理に切り替えたみたいだな。だったら丁度いい、俺のシャワーズは物理攻撃メインの相手には滅法強いぜ」
「物理一本、て訳じゃねェだぞ? ドンカラス、サイコキネシス!」
ドンカラスの瞳が妖しく輝き、強い念力が発生する。
液体から戻ったシャワーズに念力の波が直撃し、シャワーズを吹き飛ばすが、
「効かねえよ」
ダメージは入っているのだろうが、セドニーの言う通り、あまり効いているようには見えない。
「元々シャワーズは耐久力に優れるポケモンだ。さらに俺のシャワーズは特防が高い。タイプの一致してない等倍の特殊技如き、大したダメージにはならねえぞ」
そんじゃ、とセドニーは続け、
「今度はこっちから行くぜ。シャワーズ、冷凍ビーム!」
再びシャワーズが息を吸い、今度は凍える冷気の光線を放つ。
「そげなら攻撃の隙を突く! ドンカラス、襲撃!」
翼を構えたドンカラスが、一瞬の隙を突いてシャワーズの背後へと回り込む。
そのまま翼を横薙ぎに振るい、シャワーズを叩き飛ばす。
「シャワーズ、シグナルビーム!」
宙を舞うシャワーズのその瞳から、激しく光を放つ光線が撃ち出される。
「っ、ドンカラス、躱すべ!」
咄嗟に羽ばたき、急上昇してドンカラスはシグナルビームを躱すが、
「逃さねえ! ハイドロポンプ!」
その次の攻撃には対応しきれず、大量の水流を食らって吹き飛ばされてしまう。
「まだ終わってねえぞ。シャワーズ、冷凍ビーム!」
着地して素早く体勢を整えると、シャワーズが凍える冷気の光線を放つ。
「チッ、ドンカラス、熱風!」
空中で強引に体勢を戻すと、ドンカラスは翼を激しく羽ばたかせて灼熱の風を巻き起こす。
冷気の光線は熱風の壁に阻まれ、ドンカラス本体には届かなかった。
「これで一旦仕切り直しだべ。ドンカラス、サイコキネシス!」
ドンカラスの瞳が再び妖しい光を放ち、今度はシャワーズに直接念力を仕掛ける。
さらに、
「ぶち壊す!」
念力を操作してシャワーズを操り、射程圏内まで引きつけ、渾身の力を込めて翼を振るい、シャワーズを殴り飛ばした。
「痛えな……! だが、シャワーズ、冷凍ビーム!」
だがシャワーズの反撃が早い。
打撃を受けた直後とは思えない正確さで、シャワーズは宙を舞いながらも凍える冷気の光線を放ち、今度こそドンカラスに直撃させる。
「シャワーズ、ハイドロポンプ!」
「っ、ドンカラス、熱風!」
すかさずシャワーズが息を吸い込み、大量の水を吹き出す。
それに対し、凍えた翼を羽ばたかせ、ドンカラスは灼熱の風を巻き起こして氷を溶かす。
一瞬だが水の勢いを抑え、その間に水流を何とか躱した。
「逃がさねえぜ! シャワーズ、シグナルビーム!」
「そうはいかねェ! ドンカラス、ぶち壊す!」
シャワーズがさらに激しく点滅する光線を放ち、ドンカラスは翼を構えて突撃を仕掛ける。
翼で光線を両断しながら突き進み、シャワーズの脳天に渾身の力で翼を叩きつける。
だがその直前、
「シャワーズ、溶ける!」
シャワーズの体が液体となって溶けてしまう。
ドンカラスの翼の一撃はやはりシャワーズに大したダメージを得られず、
「シグナルビーム!」
上半身だけが元に戻ったシャワーズの目から激しい光を放つ光線が放出され、ドンカラスを吹き飛ばしてしまう。
全身を液体から戻すシャワーズを見据え、僅かに苦い顔をするカンタロウ。
「さあどうするよ? シャワーズ、冷凍ビーム!」
「チッ……! そげならドンカラス、躱して襲撃!」
シャワーズが息を吸い、凍える冷気の光線を放つ。
対してドンカラスは翼を構えると一瞬でシャワーズの背後に回り、翼を振り抜く。
「何度やっても同じだ! シャワーズ、溶ける!」
横薙ぎに振るわれるドンカラスの翼は、しかし、またしても液体の中を振り抜くだけに終わってしまう。
だが。
(待てよ。この光景、どッかで……!)
そこで、カンタロウは思い出した。
今まですっかり忘れていたが、アカノハシティで初めてセドニーと戦った時も、この対面だったのだ。
そしてあの時、カンタロウはどうやってこの戦法を攻略したか。
「そォだっただな! ドンカラス、サイコキネシス!」
ドンカラスが瞳を光らせ、強い念力を発する。
液体となったシャワーズを操り、体の制御を奪う。
「同じ手の対策は出来てるぜ! シャワーズ、姿を戻せ!」
前回とは違い、シャワーズは念力で制御されながらも元の姿に戻っていく。
しかし、カンタロウもそれは想定済み。だから、ここで熱風は使わない。
「この瞬間さ待ってただぞ! ドンカラス、ぶち壊す!」
シャワーズが姿を元に戻した、その瞬間。
ドンカラスの渾身の翼の一撃が、シャワーズの脳天に叩き込まれた。
「な……っ! ぐぅ、シャワーズ、まだ行けるか!?」
セドニーの言葉に応え、何とかシャワーズは体勢を立て直すが、
「そげな隙やらねェだぞ! ドンカラス、襲撃!」
翼を構えたドンカラスが、真正面から突っ込んで来る。
「っ、シャワーズ、シグナルビーム!」
シャワーズも瞳から激しい光を放つ光線を撃ち出し、ドンカラスを迎え撃つ。
両者の一撃が激突、威力はほぼ互角。
「撃ち落とせ! シャワーズ、ハイドロポンプ!」
「貫け! ドンカラス、ぶち壊す!」
お互いに距離を取り、その直後、シャワーズは大きく息を吸い込み、大量の水を放出する。
対するドンカラスは翼を構え、シャワーズを狙って一直線に突撃する。
再び双方の攻撃が激突するが、ドンカラスはそこで止まらなかった。
水柱を翼で両断しながらそのまま突き進み、カンタロウの指示通りに水流を貫き、渾身の力を込めて両翼をシャワーズへと叩きつけた。
「っ、シャワーズ!」
渾身の一撃を受けたシャワーズが吹き飛ばされ、木の幹へと叩きつけられる。
地面に落ちた時には、既にシャワーズは戦闘不能になっていた。