二次創作小説(紙ほか)

第二百三十六話 灼熱 ( No.404 )
日時: 2017/01/28 12:24
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)

コーシャンの吹き出す灼熱の業火と、ジバコイルの放つ雷撃の槍が激突。
一歩も引かずに競り合った末、遂に炎が雷撃を吹き飛ばし、さらにその奥のジバコイルを炎に飲み込んだ。
「ッ……! ジバコイル……」
炎に包まれたジバコイルが、ゆっくりと下降する。
黒焦げの鋼のボディが地面に倒れ伏し、そのまま戦闘不能となった。
「ここまでですか。ジバコイル、お疲れ様でした」
ジバコイルをボールに戻すと、ソライトは特に表情を変えずに、次のボールを取り出す。
「それでは、行きなさい、ブースター!」
ソライトが繰り出すは、炎のような体毛を持つポケモン、炎ポケモンのブースター。
「そのコーシャンも体力は大分減っているでしょうし、確実に仕留めさせていただきますよ。ブースター、潜る!」
前脚を地面に叩きつけ、ブースターは硬い床の中へ潜ってしまう。
「コーシャン、来た瞬間に跳躍しろ」
床全体に注意を払い、コーシャンはじっと周囲の様子を伺う。
足元に僅かな揺れを感じ取り、コーシャンが大きく飛び上がった次の瞬間。
先ほどまでコーシャンが立っていたその場所から、ブースターが飛び出した。
「今だコーシャン、悪の波動!」
そのブースターに向けて、コーシャンは上空から悪意に満ちた黒い波動を撃ち出す。
しかし、
「甘いのですがねえ! ブースター、馬鹿力!」
ブースターもコーシャンを追って地を蹴り、大きく飛び出す。
渾身の力を込めた突撃が悪意の波動を弾き飛ばし、さらに上空のコーシャンに激突、地面へと叩き落とした。
硬い床に打ち付けられ、コーシャンは戦闘不能となってしまう。
「くっ、コーシャン、よくやってくれました。休んでいてください」
コーシャンを労い、ボールに戻すと、エフィシは次のボールを取り出す。
「ブースターが相手なら、お願いしますよ、グライオン!」
エフィシの次なるポケモンはタイプ相性で有利なグライオン。
「なるほど。地面・飛行タイプのグライオンなら潜るは効かず、馬鹿力も効きが悪い。確かにそのチョイスは最適ですが、そう簡単には行きませんよ。ブースター、大文字!」
大きく息を吸い込み、ブースターが激しく燃え盛る大の字型の炎の弾を吹き出す。
「グライオン、躱して剣の舞!」
対してグライオンは大きく飛び上がって炎を躱すと、戦いの激しい舞を舞う。
だが、
「隙だらけですよ。ブースター、アイアンテール!」
それよりも早くブースターが動く。
床を蹴って跳躍し、鋼のように硬化させた尻尾を振るい、グライオンを叩き飛ばした。
「私のブースターは技と技の切り替えが早い。積み技を使う隙など与えませんよ。ブースター、もう一度大文字!」
ブースターの口内に炎が灯り、大の字型に激しく燃え盛る炎の弾が飛び出す。
「ならばグライオン、躱してアクロバット!」
体勢を立て直したグライオンが再び飛翔する。
軽快な動きで大文字を躱し、そのままのスピードでブースターへと突っ込み、鋏を振り下ろす。
「ブースター、アイアンテール!」
それに対して、ブースターも硬化させた尻尾を振るって応戦する。
鋏と尻尾が火花を散らしながら激しく競り合うが、
「ブースター、グライオンに噛みつきなさい」
不意をついてブースターが身を翻し、グライオンの鋏に牙を突き立て、噛み付いた。
ソライトの指示の意図が分からず、エフィシの動きが一瞬停止する。
だが。
「大文字です!」
刹那、ゼロ距離で炎の弾の直撃を受けたグライオンが大きく吹き飛ばされた。
「いくら軽快に動くグライオンでも、流石にゼロ距離からの攻撃には対応出来ないでしょう。私のブースターの炎はいかがでしょうかねえ! それでは、お次はアイアンテール!」
床を蹴って飛び出し、ブースターは吹き飛ぶグライオンを追って飛び出す。
グライオンとの距離を一気に詰め、宙返りしながら硬化させた尻尾を振るう。
「っ……! グライオン、スカイアッパー!」
体勢を崩しながらも、グライオンは拳のように鋏を振り上げ、ブースターの硬い尻尾の攻撃を迎え撃つ。
「もう一度アイアンテールです」
「それなら躱してアクロバット!」
執拗にブースターは鋼の尻尾を振るうが、一瞬の隙をついてグライオンは尾を躱すとブースターの背後に回り込み、鋏を振るってブースターを殴り飛ばした。
「グライオン、地震!」
ブースターの着地に合わせ、グライオンは鋏を床に叩きつけ、地面を揺らして衝撃波を飛ばす。
しかし、
「ブースター、馬鹿力!」
ブースターが渾身の力を発揮し、その力を床に叩き込んだ。
グライオンの地震も合わさって建物全体が大きく揺れるが、ブースターがダメージを負ったようには見えない。馬鹿力のパワーを床にぶつけて、地震の衝撃波を相殺したのだ。
「先程のジバコイルといいパワータイプが多いようだが……当たらなければ問題ない! グライオン、アクロバット!」
グライオンが飛び立つ。身軽な動きで一気にブースターとの距離を詰め、大きな鋏を振り下ろすが、
「でしたら確実に当てましょう。ブースター、一発耐えてアイアンテール!」
ブースターは回避しなかった。
代わりに全身に力を込めてグライオンの鋏の一撃を耐え切り、間髪入れずに硬化させた鋼の尻尾を振るい、グライオンを叩き飛ばす。
「大文字です!」
吹き飛ぶグライオンに向け、ブースターはさらに大の字型に激しく燃え盛る炎の弾を放つ。
「ぐぅ、グライオン、地震!」
強引に体勢を立て直し、グライオンは地震を起こす勢いで鋏を振り下ろし、炎を何とか打ち消す。
「甘いのですがねえ! 馬鹿力!」
だがその炎のすぐ後ろからブースターが接近してきていた。
そのまま渾身の力を込めて突撃し正面から衝突、グライオンを大きく吹き飛ばす。
「大文字!」
再びブースターが大きく息を吸い込み、激しく燃え盛る大の字型の炎を放つ。
炎の弾が今度こそグライオンを捉え、灼熱の炎がその身を燃やす。
「ジバコイルの時には一杯食わされましたが、今度はそうは行きませんよ。ブースター、アイアンテール!」
ブースターは攻撃の手を緩めない。
炎をまともに受けてふらつくグライオンの脳天に、鋼のように硬化させた尻尾を勢いよく叩きつけた。
「くっ、グライオン、ここは耐え時です……! アクロバット!」
防御の高さが幸いしてか、何とかまだグライオンは動ける。
素早い動きでブースターに近づき、鋏を振るう。右の鋏は躱されたが、すぐに左の鋏を放ち、確実にブースターを叩く。
「ブースター、潜る!」
地面に叩き落とされると同時に、ブースターは床に足を叩きつけ、床下に潜る。
「それを待っていた! グライオン、地震!」
ブースターが潜ったのを好機と見て、グライオンは鋏を振り上げ、床に叩きつける。
だが、
「こちらも待っていましたよ。ブースター、アイアンテール!」
グライオンが鋏を叩きつける直前、床からブースターが飛び出し、硬い尻尾の先をグライオンの腹に突き刺した。
「なにっ……! グライオン!」
鈍器を叩きつけられたようにグライオンは吹き飛ばされ、壁に激突する。
そのまま床に落ちて、戦闘不能になった。
「……グライオン、よく頑張った。戻って休んでいてくれ」
エフィシはグライオンを労い、ボールへと戻す。
「さて、ジバコイルの分は取り返しました。蒼天将の力はここからですよ。自ら私と相見えるというのなら、敗北の荒波へ引きずり込まれる覚悟は出来ているのでしょうね」
「生憎だが、負けた時のことは考えていない。なぜなら、私は勝たないといけないからだ」
ソライトの言葉をものともせずに、エフィシは次のボールを取り出す。