二次創作小説(紙ほか)
- Re: 第十三話 貫く電撃 ( No.45 )
- 日時: 2013/02/16 19:33
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: gpFiwkqb)
「さあ、行くわよ! 私のエースは……パチリック!」
ユカリの最後のエースは、一メートルほどの白いリスのようなポケモン。ところどころに青い模様があり、大きな尻尾と頬袋が特徴。
パチリック、電気リスポケモン。タイプは電気タイプのみ。
「パチリックか……ウチセトにも居たポケモンだな。確か特性は蓄電じゃなかったか……?」
レオの残っている手持ちはあとはコリンクなので、電気技が通じないと大変な苦戦を強いられるのだが、
「残念だけど、蓄電じゃないわよ。この子は物拾いだね」
レオの呟きに、ユカリはにっこり笑って答える。
「蓄電じゃなくたってこの子は強いわよ。パチリッ ク、メガショック!」
パチリックは、それが決めポーズなのか、右手を右目に近づけてポーズを取り、ウインクすると、体からバチバチと音を立てて弾ける電撃を放つ。
「トゲピー、神通力!」
対してトゲピーは神々しい念動力を放ち、電撃を相殺する。
「なら、トゲピー、頭突きだ!」
すかさずトゲピーは地を蹴って跳び、頭を突き出して突撃する。
しかし、
「パチリック、瓦割り!」
パチリックは思いのほか体制を崩していなかった。
向かってくるトゲピー目掛けて、パチリックは瓦を割るような勢いで思い切り手刀を叩きつける。
「トゲピー!」
トゲピーは金属の床へと叩きつけられ、ここで戦闘不能となる。
「トゲピー、よく頑張った。戻って休んでてくれ」
レオはトゲピーをボールに戻し、最後のボールを取り出す。
「相性的には微妙だけど……任せたぞ、コリンク!」
レオの最後のポケモンはコリンク。電気技は通りづらい が、それは相手も同じだ。
「あら、電気タイプ。電気タイプについては私ちょっとうるさいわよ。そのコリンク、なかなか強そうね」
ただし、とユカリは続け、
「私のパチリックの方が強そうだけどね! パチリック、スピンテール!」
パチリックはコリンク目掛けて跳び、尻尾を回転させながらコリンクへと叩きつける。
「コリンク、電磁波!」
対してコリンクは微弱な電撃を放ち、襲い掛かってくるパチリックへとぶつける。
パチリックは体勢を崩し、その場に着地して素早く後退する。
「電磁波か……電気タイプの上等手段だね。パチリック、シグナルビーム!」
今度はパチリックはカラフルな光線を放つ。
「コリンク、躱して充電!」
コリンクは横に跳んで光線を避け、体に電撃を溜め込む。特防も上がる。
「パチリック、瓦割り!」
パチリックは手刀を構えてコリンクへと駆け、その手を振り下ろす。
「コリンク、スパークだ!」
対してコリンクは電撃を身に 纏い、手刀を迎え撃つ。
手刀とスパークが激突するが、ここは充電を行っていたコリンクに分があり、コリンクはパチリックを吹っ飛ばす。
しかしスパークは電気技故、効果は今一つ。
「だったら、パチリック、スピンテール!」
パチリックは再び尻尾を振り回しながらコリンクへと跳び、その尻尾を振り下ろす。
「コリンク、噛み付く!」
コリンクは振り下ろされる尻尾へと牙を突き立て、尻尾に噛み付く。
「甘いわよ! スピンテール!」
しかし、パチリックの動きはそこで止まらず、尻尾を振り下ろし、コリンクを金属の床へと思い切り叩きつける。
「くっ、コリンク、充電!」
コリンクは何とか体勢を立て直し、電撃を体に溜め込む。
「パチリック、シグナルビーム!」
対してパチリックはカラフルな光線を放とうとするが、ここで麻痺が発動し、パチリックは動けなかった。
その間にコリンクは充電を完了させる。
「コリンク、スパーク!」
そしてコリンクは電撃を身に纏い、大量の電撃と共にパチリックへと突進する。
「パチリック、シグナルビーム!」
パチリックはカラフルな光線を放ち、コリンクを迎撃。
しかし、スパークは充電で強化されており、シグナルビームで止めきれず、コリンクはパチリックに激突し、パチリックは押し戻される。
ここまでは、レオが押している。
パチリックは言うほど火力が無く、コリンクの力押しがまだ通用しているからだ。
「っし、このままいけば……!」
しかし、仮にもジムリーダーの切り札が、そう弱いはずがない。
「パチリック、メガショック!」
パチリックは今度は違う方法で電撃を放つ。
尻尾で地面に立ち、その尻尾から地を這う ようにバチバチと弾ける電撃が放たれる。
「何だ? コリンク、躱してスパーク!」
しかし。
コリンクは、その場で痺れたように痙攣し、動くことができないでいた。
そう。先ほどのポッチャマのように。
「まずッ……!」
レオは即座に思い出した。
(この床は金属で出来てる。地を這う電撃が放たれれば、電撃が床を伝わるに決まってるじゃないか!)
つまり、スミロドンと同じ手をユカリは行った。いや、同じではない。
メガショックに注目させ、床を流れる電気の意識を遠ざけることも出来る。
「今よパチリック、麻痺に負けちゃだめよ! 瓦割り!」
痙攣しているコリンクに対し、パチリックは地を蹴って跳び、手刀をコリンクの額へと叩きつける。
「スピンテール!」
間髪入れずに、パチリックは回転する尻尾を横薙ぎに振るい、コリンクを吹っ飛ばす。
「コリンク!」
コリンクは地面へと落ち、何とか起き上がる。しかし、ダメージは大きい。
「メガショック!」
さらにパチリックは追撃を試みるが、今度は麻痺が発動し、パチリックは動けなかった。
「危ない危ない……コリンク、充電!」
コリンクは体に電撃を溜め込み、電気技の威力と特防を上げる。
「っし、コリンク、スパーク!」
コリンクは身に電撃を纏い、パチリックへと突っ込む。
しかし、
「その軌道はもう読めた! パチリック、スピンテール!」
パチリックは横へと逸れて、尻尾を回転させ、コリンクの側面から尻尾を叩き込み、大きく吹っ飛ばす。
「貰ったわ! パチリック、シグナルビーム!」
吹っ飛ぶコリンクを追うように、パチリックはカラフルな光線を放つ。
「コリンク!」
地面に落ちたばかりのコリンクには、躱すだけの余裕はなかった。
そして、シグナルビームが容赦無くコリンクを捕らえる
直前で、コリンクの体が青く光り輝いた。
「! これは……」
レオとユカリは同時に目を見開く。
奇跡の象徴とも言える、レオも何度も見たこの光は、
「進化の光か!」
コリンクのシルエットは、別のものへと変わっていく。
顔には鬣が生え、体全体も一回り大きくなり、よりがっしりとした体つきとなる。
そして、光が消えると、そこに立っていたのは、黒い鬣を生やし、鋭い目つきの、コリンクの時よりもよりライオンに近くなった見た目のポケモン。
その名はルクシオ、電光ポケモン。
「ルクシオ……進化してくれたんだな!」
ルクシオはレオに振り向き、力強い笑みと共に頷く。
「へえ、まさかこのタイミングで進化か。面白くなって来た、パチリック、メガショック!」
「ルクシオ、お前の新しい技を見せてやるぞ! メガショック!」
パチリックが弾ける電撃を放つと同時、ルクシオも音を立てて弾ける電撃を放った。
威力は互角で、お互いに相殺される。
「パチリック、スピンテール!」
パチリックは地を蹴って跳び、尻尾を回転させながらルクシオへと叩きつける。
「迎え撃て! ルクシオ、アイアンテール!」
対して、ルクシオは尻尾を鋼の如く硬化させ、向かって来るパチリックの尻尾へと叩きつける。
ルクシオは攻撃が高く、技の威力もアイアンテールの方が高い。双方の尻尾はせめぎ合うが、やがてルクシオの尻尾が打ち勝ち、パチリックを吹っ飛ばす。
「まだよ! パチリック、瓦割り!」
パチリックは何とか起き上がり、手刀をルクシオの額へと叩きつける。
「進化したとはいえダメージは残ってる。もう長くは持たないはず! 決めるわ、パチリック、シグナルビーム!」
体勢を崩すルクシオへ、とどめの光線を放つパチリック。
しかし、それは叶わなかった。
麻痺が発動し、パチリックは動けなかったからだ。
「……!」
そして、この隙をレオは見逃さない。
「ルクシオ、最大火力でメガショック!」
ルクシオは全電気エネルギーを集めて、激しく火花を飛び散らす電撃を、思い切りパチリックへと叩き込んだ。
パチリックは麻痺で動けず、避けられない。
「パチリック!」
電撃が消えると、パチリックは遂に戦闘不能となり、倒れていた。
「負けたわ。電気タイプにとどめを刺されるなんて、悔しいなあ」
「いやあ、ルクシオが進化してくれたおかげですよ」
レオの言葉に、ユカリはにっこりと微笑み、そして、U字の形をした黄色いバッジを取り出す。
「はい、これがデンエイジム踏破の証、アリアバッジ。大事にしてね!」
「ありがとうございます!」
レオがバッジを受け取り、ケースにはめ込んだ、まさにその時。
がくん! と。
唐突に、ジムの電気が消えた。