二次創作小説(紙ほか)
- Re: 第十四話 強奪 ( No.46 )
- 日時: 2013/08/15 13:38
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Q1X0ZXes)
「停電!?」
突然の驚くレオ。しかし一方で、ユカリが険しい表情を浮かべる。
「何で? この町で停電はあり得ない。町の電気は全て電力塔の『ペタメモリ』が統括しているはず……」
そこまで言って、ユカリの言葉が止まる。
「ってことは……まさか……!」
パッとユカリはレオの方を振り向く。
「レオ君、モンスターボールを貸して」
「え? あ、はい」
レオはユカリに三つのボールを手渡す。
ユカリはレオと自分の、合計六つのボールを、ジムの隅にある回復装置に置き、ポケモンを回復させると、
「レオ君、貴方も着いて来て!」
レオにボールを返し、ジムの外へと飛び出していった。
「え、ちょ、ユカリさん?」
レオもユカリを追い、ジムの外へ出る。
ユカリが走っていったのは、デンエイシティの中央。つまり、巨大な電力塔。
その上層部付近から、煙が上がっていた。
ユカリとレオは、塔の真ん前で、N・E団の下っ端の群れと対峙していた。
レオがここに来るまでの途中、民家や施設の電気の大半が消えていた。ポケモンセンターは何とか無事のようだが。
「貴方たち、一体何をしたの!」
ジム戦の時とは打って変わり、ユカリの口調は非常に厳しい。
対して、N・E団の下っ端たちは臆することもなく、
「この塔の上層部にある、この莫大な容量を持つメモリーカード。これをいただきに来たのさ」
下っ端のリーダー格と思われる男が、小さなメモリーカードを取り出した。
「やっぱりね……『ペタメモリ』に何か異常があったのかとは思ったけど、貴方たちが盗ったってわけね。塔の内部のセキュリティはどうやって突破したのかしら」
「N・E団には凄腕の科学者がいる。セキュリティ解除など容易いことだ」
そして、リーダー格は右手を振り、控えている下っ端たちに合図する。
「目当てのものは手に入れた。長居は無用だ。煙幕用意!」
指示を受け、下っ端たちはバズーカ砲のようなものを取り出す。
「放てい!」
リーダー格の号令と共に、無数のバズーカ砲から煙幕が放たれる。
「……ッ!」
煙幕に目を覆うレオとユカリ。
煙が晴れると、既に下っ端たちは跡形もなく消えていた。
「逃げ足が速い……! お願い、コイル!」
ユカリはコイルを出し、
「空から調査をお願い。見つけたらすぐに戻ってきて」
コイルにそう指示し、コイルは宙へ浮かび、飛び立っていく。
「コイルが何か見つけるまで待ってないといけないのが辛いわね……」
「僕も協力したいんですけど、生憎飛べるポケモンがいないんです。すみません」
「ううん、レオ君が謝ることじゃないわ。だけど、見つからないときついか……」
コイルの帰りを、ひたすら待つ二人。
すると、そこへ。
「ユカっちー」
二人の目の前に、少女が現れた。
アスカほどではないが長めの赤髪のロングヘアーで、露出度の高めな緑の服を着、茶色のコートを羽織っている。
その肩には、N・E団の女性の下っ端が。この少女が気絶させたのだろうか。
そして、ユカリもその少女の登場に反応する。
「ママル! どうしたの、こんなところまで来て」
「ユカっちのところまで遊びに来たんだよ。そしたらN・E団の奴らがいたから、一人ひっ捕らえて来たんだ。ところで、ユカっちの横にいるその男の子は誰?」
レオへと言葉を掛ける。
「僕はレオです。さっきまでユカリさんとジム戦をしていました。貴方は?」
「私はママル。ユカっちの友達だよ。それより」
ママルは肩にかかっている女性の下っ端を無造作に地面へと投げつけ、
「ワークロ、出て来てよ」
ボールを取り出し、二足歩行の黒アリのようなポケモン、アリポケモンのワークロを繰り出す。
「ワークロ、こいつの目を覚まさせて」
ワークロは拳を握りしめ、その下っ端の頬を『思い切り』ぶん殴った。
「! 痛ァああああッ!」
その下っ端は目を覚まし、絶叫する。
しかしすぐさま起き上がり、ママルへと殴りかかるが、
「ふんっ!」
ママルはその腕を掴み、柔道系の技をしかけ、下っ端を地面へと叩きつける。
「観念しなよ、クソ野郎。私はユカっちと違って野蛮人だからね、甘く見ないでよ」
下っ端は降参することにしたのか、大人しくなった。
「ママル、ありがとう。助かったわ」
ユカリはママルに礼を言い、下っ端へと屈みこみ、
「さて、貴方の仲間はどこにいったのか教えてもらおうじゃない」
厳しい口調で問いかける。対して、
「へっ、誰がお前らみたいな奴らに教え——痛たたたたたッ!?」
ママルが上から腕を押さえつけると、下っ端は情けない悲鳴を上げる。
「わ、分かった! 言うからその腕を、は、離せ!」
ママルが腕の力を少し緩めると、下っ端はようやく話し出す。
「私の仲間たちは、この先にあるデンエイ炭鉱へ向かった。例のメモリを取り返したいなら、急いだ方がいいぞ」
ちょうどその時、コイルが戻ってきた。ユカリはコイルの言いたいことが分かるのか、コイルの声を聞き、
「やっぱりこの先のデンエイ炭鉱にいるらしいわね。私はこいつを取り押さえておくから、レオ君とママルは炭鉱に向かって。ママル、レオ君に道案内してあげて」
「おーけー。任せて」
「分かりました。デンエイ炭鉱ですね」
ママルとレオは顔を見合わせ、デンエイ炭鉱へと向かっていく。
デンエイ炭鉱。
今はもう使われていない炭鉱だが、中はまだ光が灯っており、人工の洞窟のようなところだ。
炭鉱を通って、向こうの町、アカノハシティに行くことも出来るらしい。
「ポッチャマ、アクアジェット!」
「ワークロ、マグナムパンチ!」
見張りの下っ端を速攻で昏倒させ、二人は炭鉱へと入っていく。
「ここはワークロに任せよう。ワークロ、君は先に行って、リーダー格がどこにいるのか、その動きを探ってきて」
ママルがそういうと、ワークロは地面へと潜っていく。
先にN・E団の奴らを探しにいったのだろう。
「ワークロは大丈夫。ターゲットの匂いを嗅ぎつければ、どこに行っても見逃すことは無いし、私たちの場所も正確に覚えてる。さ、レオ、行くよ」
「はい、行きましょう!」
ママルとレオも、炭鉱の奥へと走っていく。