二次創作小説(紙ほか)
- Re: 第十五話 炭鉱 ( No.50 )
- 日時: 2013/08/15 13:40
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Q1X0ZXes)
炭鉱の中に、N・E団の声が響く。
「隊長、外の見張りとの連絡がつながりません! 電波の影響でしょうか、それとも……」
「N・E団の科学力を忘れたか! うちの無線は電波が届かないくらいで使えなくなるようなガラクタなんかじゃねえ。見張りがやられたんだ。追手が来るぞ」
部下に怒鳴り、隊長の下っ端は後ろにいる女性へと声をかける。
「緋天将様、どういたしましょう。追手がこちらへ向かってきている可能性が高いです」
『緋天将』と呼ばれた女性は、隊長には顔を向けず、ペタメモリの解析作業をしながら言葉を返す。
「追手ねえ……。具体的に誰が来るのかしら?」
「おそらく、デンエイのジムリーダーが来ます。あと、ジムリーダーの横にいたガキも来るのではないかと。うちの一人を撃破したシヌマのジムリーダーは、おそらくあの捕まったバカを取り押さえているでしょう」
その報告に『緋天将』は、ふうん、と返すと、
「このメモリの解析が思いのほか進まない。まだ結構な時間が掛かりそうね……なら、貴方たちは追手を足止めなさい。ジムリーダーにはどうせ貴方たちじゃ勝てないでしょうから、子供の方を狙う事。ジムリーダーは私がどうにかする。さあ、行ってきなさい。失敗は許さないわよ」
『緋天将』の指示に、下っ端は敬礼し、即座に走っていく。
「さて、この私にどうしてこんな精密作業を任せるのかしらね。蒼天将を使えばよかったものを。私は機械にはそんなに強くないんだから」
残された『緋天将』は、そんな愚痴を呟きつつも、ペタメモリの解析作業を進めていく。
ワークロが戻ってきた。
「レオ。あいつらの場所が分かったよ。中央にある広間にいるらしい」
ママルによると、N・E団たちは炭鉱の中央にある広間で止まっており、何か作業を行っているらしい。
レオとママルは炭鉱を突き進み、現在、分かれ道に差し掛かっているところだった。
「中央につながるのは、右の道ね。レオ、君は右の道に行って」
「ママルさんは?」
「左の道を行く。中央には本来続いていない道だけど、壁を破壊して中央までの道を開き、奇襲する。左右から叩く作戦よ」
「分かりました。くれぐれも気を付けてくださいね」
「おーけー。レオも気を付けて!」
言葉を交わすと、二人はそれぞれ左右の道へと走っていく。
しかし、しばらく進んだところで。
「邪魔はさせんぞ!」
「覚悟しろ!」
N・E団の下っ端が、奥から飛び出してくる。
「うるっせえ! 出て来いルクシオ、メガショック!」
下っ端よりも早くレオはルクシオを繰り出し、下っ端へと直接電撃を浴びせる。
二人の下っ端は電撃を喰らい、その場に崩れ落ちて動かなくなる。
しかし、別の足音が奥から聞こえてくる。
「面倒くさいな。こっちがここまで来てるって、気づかれてるのかよ」
相手はN・E団、遠慮はしない。
ちょっと進むと、すぐに下っ端が出てくる。
「出て来い、ズバット!」
「出て来い、ゴキブロス!」
下っ端もポケモンを繰り出してくるが、
「やるか。出て来いポッチャマ、アクアジェット! ルクシオ、アイアンテール!」
所詮下っ端は下っ端。レオのポケモンはツバキやユカリとの戦いで鍛えられているため、一撃でカタが付く。
襲い来る下っ端を次々となぎ倒し、突き進んでいると、
「そこで止まれ、クソガキ」
現れたのは、例のリーダー格の下っ端。下っ端部隊の隊長だ。
「さんざん暴れてくれやがって。悪いがこっちも立て込んでんだ。邪魔はさせねえぞ」
「N・E団が何を言うか。そこを退け!」
「通りたければ、俺を倒してからにしろ! 出て来い、ゴルバット!」
隊長が繰り出すのは、ズバットよりも一回り大きく、目もあり、大きな口が特徴の蝙蝠ポケモン、ゴルバット。
「だったら倒してやるよ。行くぞ、トゲピー!」
対してレオはトゲピーを繰り出す。
「そんな小さいポケモンで俺に勝てるか! ゴルバット、エアスラッシュ!」
ゴルバットは羽ばたき、空気の刃を発射する。
「トゲピー、原始の力!」
対してトゲピーはいくつかの岩を宙に浮かべ、その岩で刃を防ぐと、残った岩をゴルバット目掛けて放つ。
あまり広くない通路では思い通りに動けず、ゴルバットは岩を何発か喰らう。
「だったらゴルバット、クロスポイズン!」
流石に隊長のポケモンは下っ端とは違う。
ゴルバットは羽を交差させながら、トゲピーへと斬りかかる。
「流石は隊長、一撃でやられない程度の力はあるんだな。トゲピー、かわして神通力!」
トゲピーは後ろへと飛び退いて翼の一撃を避けると、神々しい念道力の波を放ち、ゴルバットを吹き飛ばす。
「ちっ、ゴルバット、シャドーボール!」
ゴルバットは何とか体勢を立て直し、すぐさま口から影の弾を発射する。
しかし、
「やっぱN・E団、馬鹿だな。トゲピーにゴースト技は効かねえよ! トゲピー、頭突きだ!」
トゲピーは地を蹴って跳び、頭を突き出して突撃する。
影の弾が当たるが特に何の影響もなく、トゲピーはゴルバットの右翼に頭突きを喰らわせ、体勢を大きく崩す。
「神通力でとどめ!」
トゲピーは神々しい念動力を操作し、ゴルバットを操り、その体を地面へと叩きつける。
「ゴルバット!」
地面へ思い切り叩きつけられたゴルバットは戦闘不能になっていた。
「くそ……いそいで連絡しないと……!」
隊長はいそいでゴルバットを戻し、奥へと走り去っていく。
「逃がさないぞ! ペタメモリを返せ!」
レオも走って隊長の後を追う。
隊長が駆けこんでいった通路にレオも入り、後を追う。
すると、急に視界が開けた。
どうやら、ここがママルの言っていた広間らしい。
ぱっと周りを見回すと、
「……!」
先ほどの隊長が、地面に倒れていた。
そして、
「私の命令は絶対なの。こんなトレーナーすら倒せない貴方たちなんかに、価値など無いわ」
隊長の後ろにいるのは、紅色のロングヘアーの女だった。
腕には手甲が付けられており、黒を基調とし、黄色と白の模様が入った派手なドレスを着ている。
ドレスの前は開いており、中に着込んでいる服も派手なオレンジ色。
そして、ドレスの右胸には、N・E団の紋章が。
「全く、いつものように下っ端は使えない。危機感が無いのよね、私の命令に従えなかったらどうなるか知らないからこうなるのよ。もっと真面目に任務を遂行してほしいものね」
その女は地面に突っ伏している隊長の背中をハイヒールで踏みつけ、レオの方を向き、
「下っ端どもがお世話になったわね。私はN・E団七天将の一人、ガーネット。緋天将・ガーネットよ」
そう、名乗った。