二次創作小説(紙ほか)

Re: 第十九話 大音量 ( No.58 )
日時: 2013/08/15 13:43
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Q1X0ZXes)

「さァ、オラの二番手! 羽ばたけ、ペラップ!」
カンタロウの二番手は、頭が黒い音符の形をしており、体はカラフルな羽毛が生えている鳥ポケモン。
音符ポケモンのペラップ。ノーマル・飛行タイプだ。
「ペラップか……このポケモンも、ウチセトで見たことあるな」
レオの記憶が正しければ、非常に物まねが上手いポケモンだったはずだ。
「ルクシオはもォ体力さ少ねェはずだべ。決めちまうべや、ペラップ、ダークカッター!」
『ダークカッター!』
ペラップはカンタロウの指示を復唱し、羽を羽ばたかせ、黒い刃を飛ばす。
「ルクシオ、メガショック!」
対してルクシオはバチバチと弾ける電撃で刃を破壊。
「アイアンテールだ!」
続けてルクシオは尻尾を硬化させ、ペラップに振りかざすが、
「ハイパーボイスだべ!」
『ハイパーボイス!』
ペラップは大音量の鳴き声を発し、ルクシオを吹っ飛ばす。
ルクシオは押し負け、吹っ飛ばされる。コクジャク戦で大きいダメージを追っていたルクシオは、ここで戦闘不能となってしまう。
「ルクシオ、よくやった。戻って休んでてくれ」
レオはルクシオを労い、ボールに戻し、次のボールを構える。
「次はお前だ! 頼んだぜ、トゲピー!」
レオの二番手はトゲピーだ。
「おおッ、トゲピーか。進化すッと……いや、言わンでおくべ。ペラップ、エアカッター!」
『エアカッター!』
ペラップは飛び上がると、羽ばたいて風の刃を飛ばす。エアスラッシュよりは刃が小さい。
「トゲピー、原始の力!」
トゲピーは宙に岩を浮かべ、風の刃を防御し、すかさず岩をペラップ目掛けて放つ。
「ペラップ、鋼の翼!」
『鋼の翼!』
対してペラップは翼を鋼のように硬化させ、岩を粉砕しながらトゲピーへと襲い掛かる。
「トゲピー、頭突き!」
トゲピーも額を突出して跳び、ペラップの鋼の翼を迎撃する。
翼と頭がぶつかり合うが、威力は互角で、しばらく競り合った後お互いに退く。
「ペラップ、ハイパーボイス!」
ペラップは息を吸い込み、大音量で鳴き声を上げて衝撃波を起こす。
どうやら二度目以降の技は復唱しないようだ。
「トゲピー、原始の力!」
トゲピーは宙に岩を浮かべ、再び防御の構えを取るが、衝撃波の勢いがレオが思ったよりも強く、岩を弾き飛ばしてしまう。
「ダークカッターだべ!」
そこにペラップは黒い刃を放ち、壁を失ったトゲピーを切り裂く。
「畳み掛けるべ! ペラップ、鋼の翼!」
体勢を崩すトゲピー目掛けて、ペラップは鋼のように硬化させた翼を広げて襲い掛かる。
「だったらトゲピー、神通力!」
トゲピーは素早く体勢を取り戻すと、神々しい念動力を放ってペラップの動きを止める。
「よっしゃ、叩きつけろ!」
そのままトゲピーは念力を操作し、ペラップを地面へと叩きつける。
「原始の力!」
さらにトゲピーはいくつかの岩を宙に浮かべ、ペラップへとその岩を投げつける。
「おおッ? ペラップ、ハイパーボイス!」
地面へと伏しながらも、ペラップは大音量の鳴き声を発して衝撃波を起こし、岩を吹き飛ばす。
全ての岩は吹き飛ばせず、少し当たるが、ダメージは最小限に抑える。
「ッしゃ、反撃だッぺ! ペラップ、エアカッター!」
ペラップは飛び上がり、羽ばたいて風の刃を飛ばす。
「トゲピー、躱して頭突きだ!」
トゲピーは大きく跳び上がって風の刃を躱し、上空から頭を突き出して急降下する。
「へへッ、効かねェべ! ペラップ、ハイパーボイス!」
しかしペラップはトゲピーへと大音量の鳴き声を上げ、逆にトゲピーを吹っ飛ばす。
「トゲピー! 大丈夫か?」
地面に落ちるトゲピーだが、すぐに起き上がり、頷く。
(あのハイパーボイスが厄介だな……)
ペラップのハイパーボイスが威力が高く、トゲピーの神通力以外の攻撃が弾かれてしまう。
かと言って、神通力ばかりを使っていればすぐに対策されてしまう上に、神通力でハイパーボイスを相殺できる訳でもない。
「さァ、そのトゲピーの戦略さ読めたし、行くべ! ペラップ、エアカッター!」
ペラップは再び羽ばたいて、風の刃を飛ばす。
「トゲピー、原始の力!」
対してトゲピーはいくつかの岩を宙に浮かべて、風の刃を防ぐが、
「読めたッつッたろォが! ペラップ、ハイパーボイス!」
ペラップはすかさず大音量の鳴き声で衝撃波を放ち、岩をまとめて吹き飛ばす。
「もォ一発だべ!」
さらにペラップはもう一度大声による衝撃波を放ち、まともにトゲピーへと命中する。
トゲピーは衝撃波の直撃を喰らい、大きく吹っ飛ばされる。
「攻撃の手ェ緩めンな! ペラップ、ダークカッター!」
間髪入れずにペラップは羽ばたき、黒い刃を飛ばす。
「まずい、何か来てくれ! トゲピー、指を振る!」
吹っ飛びながらもトゲピーは指を振り、手の先が青白く輝いていく。
次の瞬間、トゲピーの周囲に緑の結界が張られ、ダークカッターを防ぐ。
守るが発動したのだ。
しかし、
「くそっ、これじゃ駄目だ……!」
ダークカッターは防いだものの、これでは気休め程度にすぎない。
守るの結界は攻撃を一撃防げば消えてしまうからだ。トゲピーはまだ、体勢を立て直しきれていない。
「貰ッたべ! ペラップ、ハイパーボイス!」
トゲピーはまだ体勢を立て直しておらず、そこに大音量の衝撃波が襲い掛かる。
「トゲピー!」
衝撃波がトゲピーに正面から命中し、爆発が起こる。
しかし。

ゴバッ! と。
唐突に、煙が一気に薙ぎ払われる。

「何ッ!?」
「何だ?」
レオとカンタロウは同時に驚きの声を上げる。
煙が綺麗に晴れ、その中心にいるのは、青く輝くトゲピーの姿。
この青い光は、
「「進化か!」」
トゲピーのシルエットは、みるみるうちに別のものへと変わっていく。
首は長く伸び、背中からは羽が生えている。
そして、光が消えると、そこにいたのは、卵のような形をした胴体から手足と首が伸び、トゲピーと同じようにギザギザの頭をした、白いポケモン。
胴体には赤や青の三角の模様が描かれ、白くて丸めの羽も生えている。
レオはポケモン図鑑を取り出す。
トゲチック、幸せポケモン。ノーマル・飛行タイプ。
「ほォ。よー懐いとッたんだなや、そいつ」
先に口を開いたのはカンタロウだった。
「どういう事だ?」
「トゲピーは、よく懐いたトレーナーの元で進化するポケモンだべ。そのトゲピーは、お前にちゃンと懐いとッたッて訳だッぺ」
流石はカンタロウ。飛行タイプについてはよく知っている。
トゲチックはレオの方を振り向き、にっこりと笑う。
「トゲピー——いや、トゲチック、よく進化してくれた。ここから逆転だぜ!」
レオの声に、トゲチックも笑顔で頷き、
「トゲチック、原始の力!」
トゲチックは無数の岩を宙に浮かべ、その岩をペラップへと放つ。
「へへッ、ペラップ、ハイパーボイス!」
ペラップは大きく息を吸い込み、大音量の鳴き声と共に衝撃波を撃ち出す。
しかし、
「おおッ!?」
衝撃波は原始の力を弾き飛ばせなかった。
岩はペラップに襲い掛かり、ペラップを地面へと叩き落す。
「決めるぞ! トゲチック、エアスラッシュ!」
トゲチックは羽ばたき、エアカッターよりも強力な空気の刃を飛ばす。
刃はペラップを切り裂き、これでペラップは戦闘不能になる。
「ペラップ、よーやッたべ。あとはあいつに任せとけ」
カンタロウはペラップを労い、ボールに戻す。
「トゲチック、お前も戻ってくれ。よく頑張った」
レオもトゲチックをボールに戻した。
進化したとはいえ、ダメージは回復していない。これ以上戦うのは負担が大きいと判断したからだ。
「さァ、オラの新エース候補の登場だべ。こいつァ強ェべ、なんツッたッて新入りなのにオラのドンカラスとタメさ張れるからだなや」
「それはすごいな。だけど、僕のエースだって強いぜ。少なくとも、お前のエースと同じくらいにな」
そして、二人は最後のボールを構える。