二次創作小説(紙ほか)
- Re: 第一話 新たなる旅立ち ( No.6 )
- 日時: 2013/08/15 13:29
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Q1X0ZXes)
「さあ、ここが新しい家だ。まあ私はしばらくここに住んでたから、私にとっては新しくもないがな」
ライオに案内され、レオとシイナは新しい家に入る。
引っ越し業者の人のポケモン、人型だがもの凄い筋肉を持つ、怪力ポケモンのゴーリキーが、大きな家具を運んでいる。
とは言え、以前からライオが住んでいた家だ。ある程度のものは備わっており、運ぶものはそう多くなく、すぐにその作業は終わった。
「レオ、先に自分の部屋も見ておくといいわ。貴方のことだからすぐに旅に出るんでしょうけど、ちゃんとやることはやっておきなさいね」
シイナに言われ、レオは二階にある自分の部屋へ向かう。
前の家とほとんど同じなので、特にするべきことはないだろう。
とりあえず一通り確認し、下の居間へと戻る。
作業を終えたライオとシイナが、テレビでニュースを見ていた。
『昨日の夜、コウホクシティで、ポケモン盗難事件が発生しました。コウホクシティのジムリーダーたちがポケモンは取り返したようですが、犯人は逃走しました。なお、犯人はN・E団の一員と見られ……』
「父さん、N・E団って何?」
「ここ最近になって急に現れた犯罪組織だ。主な犯行はポケモンや情報の盗難。今のところ大きな問題は起こしていないが、この手の組織は少し放っておくと大きな犯罪を犯しかねないからな……」
どうやら、この地にもイビルと同じような組織があるらしい。
「怖いわねえ。レオたちが去年潰した、イビル……だっけ? も、世界征服を狙ってたとかいう話じゃない」
「しかもこのN・E団、正式名称が不明だ。N・Eの意味が何なのかが明かされていない」
最近はN・E団壊滅のための組織も作られているらしい、とライオは続ける。
「さて、レオ、そろそろ本題に入ろうか」
ライオが立ち上がる。
「私の研究所まで来てくれ。新しいポケモンを渡そう」
研究所までやってきたライオとレオ。
「待たせてすまない。今到着したよ」
ライオが研究所のドアを開け、そんなことを言いながら入っていく。
レオもライオに続き、研究所に入る。
研究所の中にいたのは、ここで働いている科学者たち……だけではなかった。
明らかに違う感じの人がいる。
朱色のロングヘアーの少女だ。後ろを向いているので顔は分からないが、オレンジ色を基調とし、派手なイラストが描かれた服を着、赤に白のストライプのスカートを穿いている。
「……?」
何かレオは、その少女の後ろ姿に見覚えがあった。
そして、
「おじさん、やっと来たわね。私の親父はいいとして、私は待ちくたびれたわよ」
レオの父に向かってそう言い、こちらを向く。
その瞬間、
「あら、レオ。久しぶりじゃない。何年ぶりだっけ?」
レオは思い出した。この少女が誰なのかを。
「……アスカ!」
彼女の名はアスカ。四、五年ほど前、両親の仕事の都合で引っ越した、レオのもう一人の幼馴染である。
引っ越したのがどこかは知らなかったが、まさかホクリクにいたとは。
アスカの後ろにいる白衣を着た男の人は、おそらくアスカの父だろう。
小さいころは、よくレオとチヅル、キラ、アスカの四人で遊んだものだった。
「久しぶりじゃないか。もう五年くらいになるよ?」
「へえ、もうそんなに経ったっけ。そうだ、チヅルとキラは元気?」
「ああ。二人とも元気だ。ところで、何でアスカはここにいるんだ?」
レオのその言葉を聞くと、アスカはため息をつき、
「親父がこの地方の調査を手伝ってって言うから、渋々。本当は断ってたんだけど、あんたのお父さんまで来られたら断るわけにいかないでしょ」
どうやらアスカもレオと同じ理由でここにいるようだ。
レオは少し安心した。仲間がいるのは、しかもその仲間がアスカのような頼れる者だというのは嬉しい。
「二人とも、感動の再会に浸るのは一向に構わないが、そろそろこちらの話をだな」
ライオの言葉を聞き、レオとアスカは一旦話を止め、ライオの方を向く。
「さて、まずは新しいポケモンだ。アスカちゃんも、今までのポケモンは置いてきてくれたみたいだね」
ライオは奥の棚から、箱を取り出す。
そこには、三つのモンスターボールが入っていた。
「この中から一体、ポケモンを選んでくれ」
ライオの言葉と共に、モンスターボールが開き、三体のポケモンが飛び出す。
頭に葉を生やし、堅くなった土で出来た甲羅を持つ、小さい陸ガメのようなポケモン、若葉ポケモンのナエトル。
腹に渦を巻いたような模様があり、炎の尻尾を持つ、赤い猿のようなポケモン、小猿ポケモンのヒコザル。
青いマフラーのようなものが首に巻かれた、青と水色を基調としたペンギンのようなポケモン、ペンギンポケモンのポッチャマ。
「よし、決めた」
「私も決まったわ」
レオとアスカは同時にそう言った。
「アスカ、いっせーので選んだポケモンを指さそう。被ったらじゃんけん、異存はないね」
「勿論よ。それでいいわ」
「それじゃ……!」
レオとアスカは同時に選んだポケモンを指さす。
レオが選んだのは、ポッチャマ。そしてアスカが選んだのは……ヒコザル。
「決まりだな」
ライオが静かにそう言った。
小さく笑い、レオとアスカにモンスターボールを手渡す。
「よろしくな、ポッチャマ」
レオの言葉に、ポッチャマは胸を張って頷いた。頼りになりそうだ。
「ヒコザル、これからよろしくね」
アスカがヒコザルの頭を撫で、ヒコザルは笑顔を見せる。
その様子を微笑ましく眺めながら、ライオは別の箱を取り出す。
「わかっているだろうけど、これはポケモン図鑑。この地方のポケモンデータに合ってるものだから、他の地方のものとは少々フォルムが違うけどね」
ライオはさらに、レオとアスカに五個のモンスターボールを渡した。
「さて、これで私からの話は終わり——ん?」
ライオが話を終わらせようとしたところで、傍らにいたアスカの父がライオの肩を叩き、小声で耳打ちする。
「ああ、そうだったな。ありがとう、忘れていたよ」
そして、ライオはレオたちに向き直り、一枚のCDを取り出す。
「父さん、それ何だい?」
「これはとある研究のデータをまとめたディスクだ。すまないが、レオ、アスカちゃん、一つ頼まれてくれないか?」
ライオはいったん言葉を切り、
「このディスクを、近くの町、メガキタウンに住んでいるソライト博士のところまで届けてほしいんだ」