二次創作小説(紙ほか)

Re: 第二十話 突貫 ( No.62 )
日時: 2013/08/15 13:44
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Q1X0ZXes)

「行くべ、オラの新星、ムクバード!」
「お前に任せたぞ、ポッチャマ!」
レオのポケモンは勿論ポッチャマ。
カンタロウのポケモンは、頭の羽毛が大きく跳ねている、椋鳥のようなポケモン。
ムクバード、椋鳥ポケモン。ペラップやトゲチックと同じ、ノーマル・飛行タイプだ。
ムクバードは地面に着地すると、羽を大きく広げ、ポッチャマを威嚇する。
「さッきも言ッたけンど、こいつはオラのドンカラスともタメさ張れる。本当はドンカラスと比べれば力は劣るけンど、それでもほぼ互角に戦えるべ。しかもこいつはあと一回進化さ残しとる。間違いなく大物になるべ」
それにしても、
「お前のエースも鳥ポケモンか。お前も鳥ポケモンの良さが分かってきただか?」
そう言えばポッチャマも飛べはしないものの鳥ポケモンである。
「生憎だけど全くの偶然だよ。ポッチャマ、バブル光線!」
まずはポッチャマが大量の泡の光線を発射する。
「ムクバード、躱して燕返し!」
ムクバードは軽やかな動きで泡の光線を避けると、翼を広げ、一直線にポッチャマへと突貫する。
「やるか? ポッチャマ、アクアジェット!」
突っ込んでくるムクバード目掛け、ポッチャマも水を纏い、ムクバード目掛けて跳び出す。
お互いの一撃が激突するが、ムクバードの特性、威嚇で、ポッチャマの攻撃は少し下がってしまっている。
そのために押し切ることが出来ず、燕返しが打ち勝ち、ポッチャマは吹っ飛びはしないものの、押し戻される。
「まだだべ! 襲撃だ!」
しかし、ムクバードの動きはそこで終わらない。
瞬時にポッチャマの後ろへ回ると、広げた翼でポッチャマを叩き飛ばす。
「追撃だべ! 燕返し!」
この徹底した攻めのバトルスタイルは、オオスバメのものと全く変わっていない。
このことも、このムクバードが新エースであることを表しているのだろうか。
ムクバードは翼を広げ、一直線に攻め込む。
「ポッチャマ、躱してバブル光線!」
激突する寸前でポッチャマは身を屈め、ムクバードはポッチャマのすぐ上を通過する。
そこへポッチャマは大量の泡の光線を放ち、ムクバードを真上に吹っ飛ばす。
「こっちも攻めてくぞ! ポッチャマ、アクアジェット!」
その隙を逃さず、ポッチャマは体に水を纏って飛び上がり、ムクバードへと追撃を喰らわせる。
「いい動きだなや! そンならムクバード、乱れ突きだべ!」
「ポッチャマ、こっちも乱れ突きだ!」
ムクバードは空中で体勢を立て直すと、嘴を構えてポッチャマへと突っ込んでくる。
ポッチャマも正面からムクバードを迎え撃つ。
ムクバードが連続で繰り出す嘴の突きを、ポッチャマも嘴を使って上手く捌いていく。
「やるなァ! ムクバード、襲撃!」
「させるか! ポッチャマ、アクアジェット!」
素早くムクバードは嘴をひっこめ、翼を振りかざすが、その翼が振り下ろされるよりも早くポッチャマはこの至近距離から水を纏って突撃し、ムクバードを吹っ飛ばす。
だが、やはり威嚇の影響でいつもの威力よりは下がってしまう。
「ポッチャマ、バブル光線!」
「ムクバード、燕返し!」
再び高く飛び上がるムクバード目掛けてポッチャマは大量の泡の光線を放つが、ムクバードは急降下して、低空飛行で一直線にポッチャマへと襲い掛かる。
「下だ! ポッチャマ、回避!」
「甘ェべ! ムクバード、急上昇!」
ポッチャマはぎりぎりまで引き付け、突貫を避けるが、ムクバードは一瞬で九十度体の向きを変えて上へと飛び、ポッチャマに激突、ポッチャマを吹っ飛ばす。
「ちっ、ポッチャマ、アクアジェット!」
「させねェべ! ムクバード、襲撃!」
ポッチャマは体勢を崩しながらも、水を纏い、突撃しようとするが、ムクバードはポッチャマの背後へと一瞬で回り、翼を振り下ろしてポッチャマを地面へと叩き落とす。
「やべっ、ポッチャマ、バブル光線!」
ポッチャマは地面へと泡の光線を放ち、落下の衝撃を和らげ、安全に着地する。
「ムクバード、畳み掛けろ! 襲撃だ!」
そこにムクバードが一瞬で接近し、翼を振るうが、ポッチャマはさっと前へと跳び、何とか襲撃を回避する。
「アクアジェット!」
さらにそこからポッチャマは水を纏ってムクバードへと突撃する。
「ムクバード、躱して燕返し!」
ムクバードは飛び上がってポッチャマの突進を避けると、上空から突貫を仕掛けるが、ポッチャマも地面を蹴って強引に向きを変え、ムクバード向かって突撃をする。
しかし、このままだとポッチャマは押し負ける。だから、
「バブル光線!」
激突する前にポッチャマは素早く水を解き、大量の泡を放つ。
「何ッ! ムクバード、回避だ! いけッか?」
ムクバードは咄嗟に急上昇するが、流石に間に合わない。
泡の光線の直撃を受け、ムクバードは吹っ飛ばされる。
「なるほど、やるじゃねェか。だけンど、そろそろフィニッシュだべ」
カンタロウの口元が吊り上がる。勝ち誇ったような笑みを浮かべて、カンタロウは叫ぶ。

「ぶッ飛ばすッぺ! ムクバード、ブレイブバード!」

ムクバードは自身を鼓舞するように大きく啼き、翼を大きく広げる。
刹那、ムクバードの体が、勇気の赤い炎に包まれる。
そして、ムクバードは先ほどの燕返しとは比べ物にならないほどのスピードと勢いで突貫する。
そこにはポッチャマが避ける余裕など、全くなかった。
「ポッチャマ、避け——」
言い終わる前に、ムクバードがポッチャマに激突した。
「ポッチャマ!」
爆風と共にポッチャマは吹っ飛び、地面に倒れる。
目を回して、戦闘不能となっていた。


「カンタロウ、流石だな。そのムクバード、あのオオスバメにも劣らないほどの根性を持ってるぜ」
「だろォ? 今オラの手持ちにオオスバメはいねけンど、オラの新エースにぴったりなポケモンだべ、こいつは」
負けたが、レオは悔しさは無かった。いや、無かったと言えば嘘になるが、それよりも友と久しぶりに戦えて、友も成長しているということを知った喜びの方が大きかったのだ。
ところで、とカンタロウは話を続ける。
「オラがバトルさ勝ったんだ。ジムに挑戦すッのは、オラが先で構わねェべな?」
「何? 聞いてないぞそんな話!」
何はともあれ、一年ぶりのカンタロウとの再会。
ホクリクの旅は、ますます楽しいものになりそうだ。