二次創作小説(紙ほか)
- Re: 第二十一話 陽気 ( No.63 )
- 日時: 2013/08/15 13:45
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Q1X0ZXes)
結局、カンタロウが先にジム戦に挑戦することになった。
「レオ、お前はどォすッぺ? オラの試合、見にくッか?」
「ネタバレになるからやめておくよ。ジムリーダーの手持ちが分かった状態で戦うのも嫌だしな」
「そォか。じゃ、オラの勝利報告さ待ッとることだべ」
「おう。負けるなよ」
レオの言葉に、勿論、と、カンタロウは返し、ジムへと向かうためにポケモンセンターを出て行った。
一時間半ほど経過。
レオがポケモンセンターで他のトレーナーたちと情報交換や雑談をしていると、
「レオ! 勝ッたべ!」
カンタロウがジムから戻ってきた。
その手には紅葉にも炎にも見える、赤いバッジが握られていた。
「お、無事勝ったみたいだな。じゃ、次は僕の番か」
「ああ、そのことだが」
ジムへと向かうレオを、カンタロウが止める。
「アカノハの今日のジム戦は、オラで終わりだべ」
「は?」
レオの動きが止まる。
「おいおいちょっと待てよ。まだ四時過ぎだぜ、冗談はよせよ」
「いやいや、ホントだべ。オラがジムさ出たとこで、扉が閉められツまッた」
「冗談だろう?」
「そォ思うなら行ッてみるべ」
カンタロウにそう言われ、レオはジムへと向かう。すると、
「……マジかよ」
ジムの扉は閉まっており、『今日のジム戦は終わりでございますよ』と書かれた張り紙がしてあった。
「ほらな。そォ言えばたスかにここのジムリーダー、すッげェマイペースだッたなやなァ」
てっきり今日挑戦できると思っていたため、レオの落胆は割と大きい。
「ま、こげなこともあるべ。今日も明日もそげな変わらンし、今日はポケモンの調整に使ッてやりな」
「……そうするしかないな。しょうがねえか」
「明日は、お前の試合さ見に行ッてやるべ」
腑に落ちない部分もあるが、レオは今日の残りはポッチャマたちの最終調整に使うことにした。
明日こそはジム戦である。
次の日。
今度こそ、レオはジムに挑戦するべく、朝早くからジムの前に来ていた。
……のだが、
ジムの扉には、『今日のジム戦は、10時からでございますよ』と書かれた張り紙が。
ちなみに、今はまだ八時半である。
「……冗談だろ」
いろいろペースを崩されるレオだが、不用意にそこを離れると場所を取られてさらにジムの挑戦を待つことになるかもしれないので、レオは何とかして時間を潰すことにした。
レオの腕に着いている、去年の旅で貰ったライブキャスターには、暇つぶしに最適なミニゲーム機能が付いている。
そして十時。ミニゲームの力で一時間半を耐え切ったレオの前で、扉が開き、ジムトレーナーと思われる男が現れ、張り紙を外す。
「お待たせしました。どうぞジムへ」
男は丁寧な口調でそう言い、ジムへと戻っていった。
その時、
「よ、レオ。今から挑戦だなや」
カンタロウがやってきた。
「おう。しっかり見とけよ、僕のバトル」
「勿論だべ」
そして、レオとカンタロウはジムへと入り、レオはスタジアムに、カンタロウは観客席に向かう。
「お願いします!」
スタジアムは、草で一面が覆われていた。
ところどころに岩も置かれているが、戦いやすいバトルフィールドだ。
そして、スタジアムの向こう側には、赤い色に黄色い花の柄の浴衣を着、オレンジ色のセミロングの髪の女性が綺麗な畳の上に座っている。
その女性は、ユカリに勝るほどのニコニコ笑顔を浮かべ、
「あらあら、今日はいい天気でございますね」
レオに向かってそう話しかけてくる。
「え? あ、はい、そうですね」
「こういう日は、散歩に出て花や景色をみたり、外でお昼寝したいものでございますね」
「そ、そういうものなんですか? ところで、ジム戦は」
「あら、そう言えば今日は木の実の入荷日でございましたね。後で買いに行かなくては」
「あの、すいません。木の実もいいですけど、そろそろジム戦をお願いします」
「あら? ジム戦? あらあら、挑戦者さんでございますね?」
やっと話が本題に戻った。
「はい、僕はレオです。ジム戦に来ました、よろしくお願いします」
レオがそう言うと、その女性はニッコリと微笑み、
「私はモミジ。炎タイプ使いのジムリーダーでございますよ」
まさかの炎タイプジムリーダー。炎タイプのエキスパートとと言えば、基本は炎のように熱い闘志を持つトレーナーが多い。
レオは知らないが、ホウエン地方ジムリーダーやシンオウ地方四天王もそうだ。
レオはてっきり草タイプ使いだと思っていたのだが、予想は大きく外れた。
「炎タイプはいいポケモン揃いでございますよ。多くのトレーナーは炎タイプに熱く燃え上がる戦いを望むのでございますが、炎タイプの魅力はそれだけではないのでございますよ」
ニコニコ笑顔でモミジは話す。
「さて、じゃあジム戦を始めましょう。熱さや闘志、それだけではない炎タイプの魅力を、お見せするのでございますよ」
「臨む所です。モミジさんの炎を、打ち消して見せます!」
そして、その言葉を引き金に、二人はボールを取り出す。
「頼んだぞ、トゲチック!」
「コマレオ、出番でございますよ」
レオの一番手は、原始の力を持っているトゲチック。
対するモミジの一番手は、オレンジ色の鬣を生やした、黄色い体のライオンのようなポケモン。
コマレオ、鬣ポケモン。当然だが炎タイプだ。
「まぁ。可愛いポケモンでございますね。私の手持ちに欲しいくらいでございますよ」
「残念だけどそれは無理ですよ。僕の大切な仲間ですからね」
ほのぼのとしたやり取りと共に、アカノハジムの戦いが始まる。
『アカノハシティジム ジムリーダー モミジ ぽかぽか陽気のお姉さん』