二次創作小説(紙ほか)
- Re: 第二十三話 雑音 ( No.65 )
- 日時: 2013/08/15 13:47
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Q1X0ZXes)
「次はお前だ。任せたぞ、ルクシオ!」
レオの二番手はルクシオ。やはりポッチャマは最後に出したい。
「あらあら。強そうなポケモンでございますね」
「強そうじゃなくて、強いんですよ。ルクシオ、メガショック!」
ルクシオはバチバチと弾ける電撃を放つ。
「コマレオ、火炎放射でございますよ」
コマレオは猛火で勢いの増した、灼熱の業火を放つが、ルクシオはそれを軽やかに避けると、
「辻斬りだ!」
素早くコマレオへと接近し、すれ違いざまに爪で切り裂く。
急所を切り裂かれたようで、コマレオは戦闘不能になってしまった。
「まぁ。コマレオ、よく頑張りましたね。休んでてください」
モミジはニコニコ笑顔のままコマレオを戻し、次のボールを取り出す。
「さあ、次はコーシャン、出番でございますよ」
モミジの二番手は、二股の尻尾を持つ紫色の猫のようなポケモン。
コーシャン、吉凶ポケモン。炎・悪タイプ。
「コーシャンか、懐かしいポケモンだな」
幼馴染の一人、チヅルがコーシャンを使っていたことを思い出すレオ。
「じゃあ行きますよ! ルクシオ、まずは帯電!」
ルクシオは体に電撃を溜め込み、攻撃と特攻を上げる。
「でしたらコーシャン、瞑想でございますよ」
コーシャンも精神力を研ぎ澄ませ、特殊能力を高める。
「そっちも積み技だな。ルクシオ、メガショック!」
ルクシオはバチバチと音を立てて弾ける電撃を撃ち出す。
「コーシャン、悪の波動」
対して、コーシャンは悪意に満ちた波動を撃ち出し、電撃を相殺する。
「火炎放射でございますよ」
さらにコーシャンは灼熱の炎を噴射する。
「ルクシオ、来るぞ! 躱して辻斬り!」
ルクシオはさっと横に逸れて炎を避けると、素早くコーシャンへと接近し、一瞬でコーシャンを切り裂く。
「それなら大丈夫でございますね。コーシャン、悪の波動でございますよ」
コーシャンは悪タイプも持っているので、辻斬りは効果今一つ。
素早く体勢を取り戻し、コーシャンは悪意に満ちた波動を放ち、ルクシオを吹き飛ばす。
「まだまだ。ルクシオ、アイアンテール!」
吹っ飛ばされたルクシオだが、上手く着地すると再び跳び出し、硬化させた尻尾を縦に振り下ろす。
「コーシャン、躱して火炎放射」
「させませんよ。ルクシオ!」
横に逸れたコーシャンは灼熱の炎を放つが、それよりも早くルクシオが横薙ぎに硬化された尻尾を振るい、コーシャンを吹っ飛ばす。
「追撃だ! メガショック!」
さらにルクシオはバチバチと音を立てて弾ける電撃を放つ。
電撃は吹っ飛ぶコーシャンを捕らえる。瞑想で特防を上げているため、普通よりはダメージは小さいが、それでもそこそこのダメージが通った。
「あらあら、なかなかの腕前でございますね」
焦りなどの感情は全く感じていないような相変わらずのニコニコ顔でモミジは口を開く。
コーシャンは地面に落ちるが、まだ戦闘不能ではない。
「でしたら」
とモミジは続け、
「コーシャン、バグノイズでございますよ」
コーシャンはカッと目を見開き、次の瞬間、周囲へと狂ったような雑音を放つ。
「……ッ! バグノイズか!」
一年前の旅でのバトルでは、ちょくちょくバグノイズに苦しめられた思い出がある。
耳へと大きな衝撃を与える雑音は、ルクシオの動きを封じ、体の内側にもダメージを与えていく。
「火炎放射でございますよ」
その隙をコーシャンは見逃さない。
すぐさま灼熱の炎を噴射、ルクシオにまともに命中し、ルクシオは大きく吹っ飛ばされる。
「ルクシオ! 大丈夫か?」
ルクシオは地面に落ちる。まだ戦闘不能ではないが、瞑想で威力の上げられた火炎放射のダメージはかなりのもの。
(あのバグノイズが厄介だ。対抗手段が無いんだよな……)
音を使った技を防ぐ手段は、レオのポケモンはいずれも持ち合わせていない。
「どんどん行くのでございますよ。コーシャン、悪の波動」
コーシャンは悪意に満ちた波動を放つ。
「くっ、ルクシオ、メガショック!」
ルクシオは何とか起き上がると、バチバチと音を立てて弾ける電撃を放ち、波動を何とか相殺。
「今度はこっちだ! ルクシオ、アイアンテール!」
ルクシオは尻尾を硬化させ、コーシャンへと向かっていく。
大きく跳んで、上空から尻尾を振り下ろすが、
「コーシャン、火炎放射」
コーシャンは灼熱の炎を噴射し、ルクシオを迎撃する。
アイアンテールは鋼技。炎を相殺することは出来ず、ルクシオは押し負け、後ろへと大きく押し戻される。
(何か無いか、使えるものは……)
「そろそろ決めるのでございますよ。コーシャン、悪の波動」
コーシャンは地を蹴って跳び、一気にルクシオまでの距離を詰め、そこから悪意に満ちた波動を放とうとする。
(……! あれだ!)
その瞬間、レオは一つの作戦を思いついた。
「ルクシオ、岩の後ろへ跳べ!」
このスタジアムにはところどころに岩が置かれている。
ルクシオは後ろへと大きく跳び、岩の後ろへと隠れる。
「……あら?」
少し遅れて、コーシャンが悪意に満ちた波動を放つが、波動は岩に遮られて、ルクシオには届かない。
「今だ! アイアンテール!」
その直後、ルクシオは尻尾を硬化させて岩に叩きつけ、岩を破壊し、無数の岩の破片をコーシャンへと飛ばす。
「これならどうだ!」
この量の尖った岩を避けるのは、いくらコーシャンでも不可能だ。
だが。
モミジは顔色一つ変えず、次の指示を出した。
「バグノイズでございますよ」
コーシャンは狂ったような雑音を発し、空気の振動を起こして岩を次々と破壊していく。
「何ッ……!」
当然、ルクシオの身を守るものは何もない。
「火炎放射で、とどめでございますよ」
コーシャンはすかさず灼熱の炎を撃ち出し、ルクシオを吹っ飛ばす。
「ルクシオ!」
ルクシオは吹っ飛ばされ、壁に激突し、戦闘不能となった。
「ルクシオ、よく頑張った。休んでてくれ」
レオはルクシオをボールに戻し、最後のボールを取り出す。
「さあ、最後だ。頼んだぞ、ポッチャマ!」
レオの最後のポケモンは、勿論ポッチャマ。
「あらあら、その子がエースでございますね。可愛い中にも、どこか頼れる印象を受けるのでございますよ」
「よく分かりますね。その通りですよ、こいつは頼れるやつです」
レオの言葉と共に、ポッチャマも腕を腰に当てて胸を張る。
そんな様子を見て、モミジは、うふふ、と笑い、
「それじゃ、始めるのでございますよ」
コーシャンとポッチャマが、互いにじっと睨み合う。