二次創作小説(紙ほか)
- Re: 第二十六話 蒼天将 ( No.72 )
- 日時: 2013/08/15 13:50
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Q1X0ZXes)
「頼んだぞ、ルクシオ」
レオがそういうと、後ろに控えるルクシオが進み出る。
「やるか。サーナイト、来てくれ」
セドニーはサーナイトを呼び、サーナイトはテレポートでセドニーの前に来る。
しかしカンタロウはボールを持ってはいるが、ポケモンを出す気配がない。
「どうした。ここに来て怖気づいたか、ガキが」
「いやいや」
セドニーが挑発するが、カンタロウは不敵に笑い、
「テメェなンざ、ポケモンを使うまでもねェべや!」
いきなりカンタロウは地を蹴って跳び出した。
「!?」
咄嗟のことに、セドニーは反応できなかった。
「おおァ!」
怒声と共に、カンタロウは拳を振り上げ、セドニーの頬をぶん殴った。
全体重が乗った渾身の拳を振るい、セドニーを殴り飛ばした。
セドニーは声を上げる暇もなく吹っ飛ばされ、壁に頭を打ちつけ、気を失った。
突然のことにレオも身動きできなかったが、それに反応する者がいた。
セドニーのポケモン、サーナイトは主人の撃沈に気づくや、すぐさまテレポートでカンタロウへと接近し、強い念力を放つが、
「ドンカラス、オラさ守れ!」
もう片方の手に持っていたボールから、カンタロウはテンガロンハットを被った大きなカラスのようなポケモン、大ボスポケモンのドンカラスが現れる。
悪タイプを持つドンカラスには念力が効かず、サーナイトの放った念動力は打ち消される。
「レオ、博士を!」
「あ? お、おう、分かった!」
呆然としていたレオだが、この隙に急いでソライト博士へと駆け寄る。
まさかカンタロウがこんな一面を持っていたとは知らなかった。とは言え、ウチセトではポケモンリーグでしか会っていなかったため当たり前ではあるが。
「ソライト博士! 大丈夫ですか? 出て来てくれ、トゲチック」
ソライトの口や手に巻かれたテープを引きはがしながら、レオはトゲチックを出す。
「マジカルリーフだ」
手だけでは取り外せない拘束具は、トゲチックの光る葉で切り裂き、ソライト博士は無事解放される。
その様子を見て、サーナイトは不利を察したのか、テレポートで気を失っているセドニーの元へと移動し、肩を叩いてセドニーの目を覚まさせようとするが、セドニーの目が覚める気配はない。
「ふう、レオ君、助かりました。熱心に調べごとをしていたところ、突然この人たちが襲ってきて……ありがとうございました」
そう言えば、とソライト博士は続け、
「そのトゲチックは、私があげた卵ですね」
「ええ。トゲピーが孵って、進化しました。ありがとうございました」
改めてお礼を言うレオ。
「それはよかった。それではレオ君とそこの白髪の男の子、ありがとうございました。一刻も早く、ここを出ましょう」
「はい、さっさとここを出て、こいつも捕まえちまいましょう」
そして、ソライトに背を向け、先に研究所を出ようとしていたカンタロウとドンカラスを追うレオ。
カンタロウは振り向き、
「おい、レオ。急ぐ——」
突然、カンタロウの動きが止まった。何故か驚愕の表情を浮かべ、そして、
「レオ、飛び退け! ドンカラス、悪の波動!」
いきなりレオに向けて、ドンカラスは悪意に満ちた波動を放つ。
「!?」
咄嗟に、レオはカンタロウに言われた通り、倒れるように横に飛び退いた。
対して、
「おやおや。これはいけませんね」
波動でよく見えないが、ソライトの前にいる何かが灼熱の火を噴いた。
しかし、その炎の放たれた速度から見るに、その炎は先ほどから溜め込まれていたようだ。
そう。
まるで、背後からレオを焼き尽くすように。
「……どうなってんだよ!」
波動と炎がぶつかり合い、砂煙が起こる。
煙が晴れると、その後ろ側には蒼い長髪に白衣を着た男、すなわちソライト博士がいた。
その前にいるのは、オレンジ色のフサフサの体毛に包まれた、炎を纏っているようにも見える、四足歩行のポケモン。
ブースター、炎ポケモン。文字通り炎タイプ。
「ソライト……博士?」
全く状況がつかめないレオ。
対して、真っすぐにソライトを睨むカンタロウの目つきは鋭い。
そして、ソライトは今まで見たことのないような不気味な笑みを浮かべ、カンタロウを見下ろしていた。
「フハハ! 面白い、一筋縄ではいかないようですね!」
ソライトは両手を広げ、今まで聞いたことのないような声を上げる。
「……まさか」
恐る恐るレオは呟く。まさか、こいつの正体は、
「私は、こういう部隊に所属しています」
ソライトは白衣のボタンを外し、大きく広げる。
その下のTシャツに大きく描かれているのは、N・E団の紋章。
「私の名はソライト。N・E団七天将、蒼天のソライトと申します」
ニヤリと笑みを浮かべ、ソライトはそう名乗った。
「……研究所さ占領スたッてのも、全部嘘だッたンだなや」
「セドニーが今のようにヘマした時の保険として私も来たのですが、惜しかったですね。レオ君一人だったら、完全に上手くいったのですが。貴方、なかなかの切れ者ですね」
ようやくレオは把握した。こいつは、このソライトは、N・E団一員だったのだ。
「だけンど、二対一だべ。お前に勝ち目さねェべ」
「ですね。確かに私は序列としては第七位、天将では最弱です。ですが、二対二です」
ソライトが指を二本立て、そう言った直後。
「……痛ってえな」
腫れ上がった頬をさすりながら、セドニーがゆっくりと立ち上がった。
「んでムカついた。そこの白髪、俺と勝負だ」
カンタロウとレオは、顔を見合わせる。
「戦いは避けられないみたいだな」
「せやな。オラはそこの碧天将さやるけン、お前はあッちの博士さやれ」
「おう」
カンタロウとレオは、それぞれの敵を見据え、ボールを取り出す。