二次創作小説(紙ほか)
- Re: 第二十七話 虹光線 ( No.74 )
- 日時: 2013/08/15 13:51
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Q1X0ZXes)
「よくもやってくれたな、このガキが」
赤く腫れた頬をさすりつつ、セドニーはボールを取り出す。
「サーナイト、下がっててくれ」
ボールに戻せばいいのに、セドニーはわざわざサーナイトを後ろに控えさせ、
「バトルは二対二と行こうじゃねえか。さあ行って来いや、シャワーズ!」
セドニーが繰り出したのは、
魚類と哺乳類が混ぜ合わさったような姿で、尻尾は魚の物とそっくりで、耳は魚のヒレのような形状になっているポケモン。
シャワーズ、泡吐きポケモン。見ての通り水タイプ。
「上等だァ! ンならドンカラス、そンまま行くべ!」
カンタロウが言うと、ドンカラスが進み出る。
「よおし行くぞお! シャワーズ、冷凍ビーム!」
シャワーズは口から冷気を込めた光線を発射する。
「ドンカラス、サイコキネシス!」
対してドンカラスは強い念力の波を放ち、冷気の光線を相殺し、
「悪の波動だべ!」
悪意に満ちた黒い波動を放って反撃する。
「シャワーズ、躱して熱湯だ!」
シャワーズは跳び上がって波動を躱すと、煮えたぎる高温の熱湯を浴びせかける。
「ええンかァ? こッちの攻撃さ躱しツまッたら、研究所さ壊れツまうべや!」
「ソライトが正体を明かした時点で、この研究所はもう使えねえ。もうここは用済みだから、配慮する必要もねえのさ」
シャワーズが放った熱湯をドンカラスは横へと飛んで避ける。
「ドンカラス、襲撃だべ!」
ドンカラスは体勢を少し屈める。
次の瞬間には一気にシャワーズの目の前まで接近しており、翼でシャワーズを切り裂くような一撃を喰らわせる。
「甘い! シャワーズ、溶ける!」
しかし、ドンカラスの翼の一撃が直撃する寸前、シャワーズの体が急に液体へと変化する。
翼は液体を切り裂くが、ダメージが入ったような手ごたえは無い。
「さあ反撃だ! シャワーズ、熱湯!」
シャワーズはすぐに元の姿に戻り、ドンカラス目掛けて煮えたぎる熱湯を勢いよく放つ。
この至近距離では流石に躱すことは出来ず、ドンカラスは熱湯を正面から喰らい、吹っ飛ばされる。
「負けンなよ。ドンカラス、悪の波動!」
熱湯は一定確率で火傷状態にする追加効果も持っているが、今回はその効果は発動しない。
ドンカラスは頭を振って体勢を整え、再び飛び上がると、悪意に満ちた波動を発射する。
「悪いがそれは相殺できるぜ。シャワーズ、もう一度熱湯だ!」
シャワーズは煮えたぎる水を波動目掛けて放ち、黒い波動を打ち消す。
「ンならサイコキネシスだべ!」
すかさずドンカラスはシャワーズの周囲に強い念力を発生させ、シャワーズの動きを操る。
「ここの機械はどンだけ壊スても構わねェッつッただな。そげならドンカラス、そいつを叩きつけろ!」
念力を操り、ドンカラスはシャワーズを壁へと叩きつける。
機械が破壊され、小さい爆発が起こる。
「ハハッ! ドンカラス、襲撃だべ!」
さらにドンカラスはシャワーズへと一瞬で近づき、翼でシャワーズを殴り飛ばす。
「ケッ、シャワーズ、シグナルビーム!」
シャワーズは何とか体勢を立て直すと、カラフルに光を放つ光線を発射する。
「躱して悪の波動だべ!」
「甘いわ! 冷凍ビーム!」
ドンカラスは上昇して光る光線を避けるが、そこにシャワーズは冷気を込めた光線を放つ。
ドンカラスの右翼を光線が貫き、右翼が凍り付く。バランスを崩したドンカラスは、地面へと落ちる。
「こげな氷くらい怖かねェべ! ドンカラス、熱風!」
強引にドンカラスは両翼を羽ばたかせ、熱い風を吹かせて翼の氷を溶かす。
「反撃の隙を与えるなよ! シャワーズ、シグナルビーム!」
「そォはさせねッぺ! ドンカラス、悪の波動!」
シャワーズが撃ち出した光を放つカラフルな光線と、ドンカラスの放つ悪意に満ちた波動が激突する。
「バトルは二対二で行きましょう。ブースター、戻っていなさい」
ソライトは一旦ブースターを戻し、別のボールを取り出す。
「電脳化せよ、ポリゴン2!」
ソライトが繰り出したポケモンは、全体的に丸っこい、赤と青を基調としたアヒルのようなポケモン。表面はなめらかだが、無機質さを持っている人工ポケモンだ。
ポリゴン2、バーチャルポケモン。ノーマルタイプ。
「ポリゴン2か……格闘技を使えるポケモンはいないから、ルクシオ、頼んだ」
ルクシオがレオの後ろから進み出る。
「では行きますよ! ポリゴン2、シグナルビーム!」
ポリゴン2はゆっくりと首を動かす。目の前にいるルクシオを敵性と認識し、ポリゴン2は光を放つカラフルな光線を発射する。
「ルクシオ、躱して帯電だ!」
ルクシオは横に飛び退いて光線を避けると、体に電気を溜め込み、攻撃と特攻を上げる。
「メガショック!」
すかさずルクシオはバチバチと音を立てて弾ける電撃を放つ。
電撃はポリゴン2をまともに捕らえるが、ポリゴン2の体勢に特に変化はない。
体から煙を発してはいるが、先ほどと変わらない姿勢でルクシオを見据える。
「このポリゴン2は耐久に重点を置いて育て、さらにダメージを感じないようにプログラミングしました。体力が無くならない限り、同じ動きで戦闘が出来ますよ」
ポリゴン2は人工ポケモン。ある程度であれば、プログラムを加えることも可能なようだ。
「それがどうしたんだ。要は体力を削りきればいいだけだろ! ルクシオ、アイアンテール!」
ルクシオは尻尾を硬化させ、ポリゴン2目掛けて振り下ろす。
「甘いですよ。ポリゴン2、ダイヤブラスト!」
対してポリゴン2は周囲に煌めく爆風を放ち、逆にルクシオを押し戻す。
「続けてチャージビームです!」
ポリゴン2は電気エネルギーを溜め込み、そのエネルギーを光線に変えて撃ち出す。
ルクシオに命中するが、効果は今一つ。大きなダメージではない。ないが、
「チャージビームかよ。厄介な技だな」
「おや、知っていましたか。それでしたら、説明は不要ですね」
チャージビームは、技の威力自体は低いものの、かなりの高確率で自身の特攻を上げる技だ。
これを連続して受けると、見る見るうちに相手の特攻が上がっていくのだ。
「攻撃してこないならこちらから行きますよ! ポリゴン2、トライアタック!」
ポリゴン2は炎と氷と電撃の光線を発射する。
「ルクシオ、躱して辻斬りだ!」
ルクシオは素早い動きで光線を躱すと、一瞬でポリゴン2へと接近し、すれ違いざまに伸ばした爪でポリゴン2を切り裂く。
「特に痛くはありませんが? ポリゴン2、ダイヤブラスト!」
「危ねえ! ルクシオ、跳べ!」
慌ててルクシオが跳び上がる。その直後、ポリゴン2の放った煌めく爆風が、先ほどまでルクシオがいた場所を吹き飛ばす。
(こいつ……最弱とはいってるが、なかなかやるぞ……!)
かつてのイビルの七将軍には、カペラという男がいた。
下っ端に毛が生えた程度の力しか持たない、七将軍最弱の男だった。
しかしこのソライトは違う。最弱と言えども、その実力はなかなか高い。
「さあポリゴン2、相手に攻撃の隙を与えませんよ!」
無機質な眼を動かし、ポリゴン2はルクシオへと迫る。