二次創作小説(紙ほか)
- Re: 第二十九話 新組織 ( No.79 )
- 日時: 2013/08/15 13:52
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Q1X0ZXes)
研究所の半分が、粉々に吹き飛ばされる。
「!? 誰だ!」
「セドニー、落ち着きなさい。撤退の準備を」
セドニーが怒鳴るが、対照的にソライトは落ち着いた様子でジバコイルのユニットに装置を取り付けていく。
「応援……?」
「その応援ッてのは、誰だべ?」
レオとカンタロウが声を上げた直後、砂煙の中から二つの人影が。
「N・E団だな。天将二人、ここで大人しく捕まってもらおう」
「研究所の周りはアカノハ支部の部隊が包囲しています。抵抗は無意味ですわ」
現れたのは、男性にしてはやや長めの黒髪に、青い瞳の、端整な顔立ちの青年。
その横にいるのは、青色の目に、背中程まである金髪をおろしており、ピンクのリボンを付けて、水色のワンピースに白のエプロンを着ている、九、十歳ほどの少女。
胸には二人とも同じ形の、盾のような形のバッジをつけている。
「はて、貴方たちは誰でしょう?」
ソライトはその装置に乗り込み、既に撤退の準備を済ませ、尋ねる。
「おや、N・E団は俺達のことは知らないのか? だったら教えてやる」
その青年は一拍置き、
「俺達は『ブロック』——犯罪団体壊滅組織のメンバー。俺は『ブロック』副統率、且つアカノハ支部統括、リョーマ」
「そして私は『ブロック』アカノハ支部統括補佐、テレジアですわ」
「『ブロック』か……知ってはいたが、ようやく活動開始か。出て来い、フワライド」
忌々しそうにセドニーは呟きながら、ボールを取り出す。
中から出て来たのは、紫色の気球のような姿をしたポケモン。四つの黄色い手のようなものが生えている。
気球ポケモン、ゴースト・飛行タイプのフワライドは、セドニーが乗れるように手を差し出す。
「セドニー、退散しますよ。『本気』を出す許可はまだ出ておりませんし、七位の私と五位の貴方でこの四人に勝てるとは思えません」
一足先にジバコイルに乗っていたソライトは、壊れた研究所の天井から飛び去っていく。
「お、おい、俺を置いてくな! ……しょうがねえ、お前ら、覚えてろよ。次に会ったら容赦しねえぞ、特にそこの白髪!」
セドニーは、いかにも小物が放つ捨て台詞を吐き、ボールに戻せばいいのにサーナイトをお姫様抱っこのように抱えてフワライドの手の上に乗り込む。
フワライドは四本の手でセドニーを抱え、ソライトを追って飛んでいく。
「逃さんぞ! 出て来い、トロピウス!」
リョーマと名乗った青年がボールを取り出すと、そこから二メートルを超える大きさの巨大なポケモンが出てくる。
首の長い恐竜のような姿をし、大きな葉のような翼を持ち、首からはバナナのような植物が出来ている。
トロピウス、フルーツポケモン。草・飛行タイプ。
素早くリョーマはトロピウスに飛び乗り、トロピウスは二人を追って飛んでいく。
「私も行きますわ! ビークイン!」
テレジアもボールを取り出し、下半身に蜂の巣が連結した女王蜂のようなポケモン、蜂の巣ポケモンのビークインを繰り出し、ビークインの肩に掴まる。
ビークインもトロピウスに続くように、壊れた天井から飛び上がる。
「お、おい、ソライト! あいつら追ってきたぞ! 何とかしろ」
サーナイトを抱えたセドニーが、少し前にいるソライトへと怒鳴る。
「やれやれ……貴方のサーナイトでどうにか出来ないのですかねえ?」
「そうか! その手があったな、よし、頼んだぞサーナイト、サイコキネシス!」
セドニーに抱えられたまま、サーナイトは強い念力を操作し、追ってくるトロピウスを押し戻してしまう。
「……ッ! テレジア!」
「分かっていますわ! 私が逃がしはしません! ビークイン、アクロバット!」
後ろへ押し飛ばされるトロピウスの脇を潜り抜け、ビークインが高速で天将二人へと迫る。
「やむを得ませんね! ジバコイル、十万ボルト!」
「フワライド、振り向け! サーナイト、十万ボルト!」
ジバコイルとフワライドは素早く振り向き、テレジア目掛けて二つの電撃が飛んでくる。
「まずッ……!? ビークイン、防御指令!」
咄嗟にビークインは下半身の巣から無数の鉢を呼び出し、壁を作る。
蜂の壁は、襲い来る二つの電撃を完全にシャットダウンしてしまうが、しかし、壁を作ったことで、前が見えなくなってしまう。
「……逃がしてしまいましたか」
蜂の壁が分散し、前が開けると、天将二人はすでに遥か遠くを飛んでいた。
『ブロック』という組織の二人が戻ってきた。
トロピウスがゆっくりと降りてきて、リョーマはトロピウスから飛び降りる。
その直後、ビークインも戻ってきた。
「逃げ足の速い奴らだ。取り逃がしちまったよ」
「まぁまぁ。レオさんとカンタロウさんが無事だっただけでも、よかったのでございますよ」
リョーマは悔しそうに言い、モミジがそれをなだめる。
そこで、隣にいるテレジアと名乗った少女が口を開く。
「リョーマ様、まずはこの二人に私たちの素性を教えた方がいいのでは?」
「あ? ああ、そうだな」
そして、リョーマはレオとカンタロウに向き直る。
「さっき自己紹介したとおり、俺の名はリョーマ。『ブロック』の副統率、およびアカノハ支部の統括だ。んでこっちが」
リョーマはテレジアを指さす。
「えっと、あー……初めまして。アカノハ支部統括補佐、テレジアと申しますわ」
「君たちの名前はモミジさんから聞いている。レオとカンタロウ、だったよな」
リョーマはレオたちに話題を振る。レオとカンタロウが考えていることは同じだった。
「ええ、そうです。ところで」
「『ブロック』ッつーのは、どンな組織だべ?」
「ああ、そのことは今から話そうと思っていたところだ。詳しくは俺達の本拠で話す。着いて来てくれ。あとモミジさん、ありがとうございました」
「いえいえ。では私はこれで。木の実を早く買いにいかないといけないのでございますよ」
モミジは笑顔でそう返し、ジムの方へと戻っていく。
そしてレオとカンタロウは、リョーマとテレジアに連れられ、『ブロック』の本拠地なるところへ向かう。
これが、犯罪団体壊滅組織『ブロック』との出会いだった。