二次創作小説(紙ほか)
- Re: 第三十一話 虫王 ( No.81 )
- 日時: 2013/08/15 13:54
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Q1X0ZXes)
アカノハシティからコウホクシティまでは、山道となっている。
歩くには少々険しい道だが、山道ゆえ、当然道には木が多い。
つまり、
「どの木がいいんだろうか……?」
レオは、先ほど貰った金のハチミツを塗るのに最適な木を探していた。
詳しい説明は聞いていないのでよく分からないが、木にも当たり外れはきっとあるだろう、という考えて、レオは自分的にいいなと思う木を探している。
「なるべく大きな木がいいと思うんだよなあ。よく分かんないけど……」
そこでレオはある木を見つける。あまり大きな木ではないのだが、何だか他の木よりもいい香りが漂っている。
「これにしてみるか」
とりあえずレオはその木に適当にハチミツを塗りたくり、一旦アカノハに戻ることにする。
三時間後。
ライブキャスターのミニゲームの力を借りて三時間を過ごし、
「どんなもんだろうか……」
レオは先ほどの木に戻り、様子を見に行くと。
「おぉ?」
結構な数のポケモンが集まっている。
カンタロウが持っていたムクバードの進化前、ムックル。草木で作られた蓑を纏ったミノムシのようなポケモン、ミノムッチ。アスカも持っていると言っていた、イチゴのような姿のポケモン、ララベリー。
しかし、今一つ珍しいポケモンという感じがしない。
とは言え、見た感じハチミツはまだ結構残っているため、もう少し待ってみてもよさそうではある。
だが、その時。
ブロロロロ……
鈍い重低音を響かせ、上空から何者かが飛んできた。
そいつはミツの一番濃いところを見つけると、角を振り回してその場にたかるポケモンを払いのけ、その濃いミツを独り占めするように吸い始める。
「! これは……!」
レオの心にどストライク、すぐに図鑑を取出し、そのポケモンのデータを呼び出す。
その強靭な肉体を持つ、青いカブトムシのような姿をしたこのポケモンの正体は。
こいつの名はヘラクロス、一本角ポケモン。虫・格闘タイプ。
「こりゃゲットするしかないよなあ! 頼んだぜ、ポッチャマ!」
すぐにレオはポッチャマを繰り出す。
ヘラクロスは気づいていないようで、ミツを吸い続けているようだ。周りのミツの薄いところでミツを啜っている小さいポケモンたちが実に不憫である。
「ポッチャマ、水の波動!」
ポッチャマは水の力を凝縮し、波動に変えて撃ち出す。
気づいていないヘラクロスの背中へと直撃するが、ヘラクロスの表面の羽は硬く、思ったほどのダメージは通らない。
そして、ヘラクロスは邪魔者の存在に気づき、素早く振り返り、こちらをギロリと睨み付ける。
食事の邪魔をする者は許さない。ヘラクロスは羽を広げ、重低音を羽ばたかせながら、角を突き出してポッチャマへと向かってくる。
「来たな! ポッチャマ、躱してアクアジェット!」
ヘラクロスがポッチャマの上から角を振り下ろすが、ポッチャマは素早く横に逸れてその一撃を躱し、横から水を纏って突撃する。
しかし、ヘラクロスは向かってくるポッチャマへと腕を振るい、意外に鋭い爪でポッチャマを切り裂き、吹っ飛ばす。
「今のは辻斬りだな。ポッチャマ、冷凍ビーム!」
ポッチャマはすぐに体勢を立て直すと、冷気を込めた光線を発射する。
ヘラクロスは宙へと飛び上がって光線を躱し、上空から勢いよく角をポッチャマへと振り下ろす。
「だったらぶつかるぞ! ポッチャマ、ドリル嘴!」
ポッチャマは嘴を伸ばすと、ドリルのように回転しながら跳び出す。
角と嘴が激突するが、回転する嘴はヘラクロスの角を弾き飛ばす。
「っし! ポッチャマ、アクアジェット!」
すかさずポッチャマは水を纏って突撃、体勢を崩したヘラクロスへと激突し、吹っ飛ばす。
「まだ押してくぞ! ポッチャマ、冷凍ビーム!」
さらにポッチャマは冷気の光線を放つが、ヘラクロスは大きく飛び上がって光線を躱すと、そこから羽を大きく広げ、一瞬のうちに一直線にポッチャマへ襲い掛かる。
「燕返しか! ポッチャマ、アクアジェット!」
ポッチャマも体に水を纏って跳び出し、ヘラクロスを迎撃する。
お互いの技の威力は互角。しばらく競り合った後、双方が後ろへと飛び退く。
その直後、ヘラクロスは再び飛び上がり、頭上からポッチャマへと角を振り下ろす。
「攻撃が単調だぜ! ポッチャマ、躱してドリル嘴だ!」
ポッチャマは後ろに飛び退くと、そこからすぐに嘴を構え、回転しながら突撃する。
このヘラクロスはパワーにおいてはかなり優れているが、トレーナーの指示がないため、どうしても攻撃が単調で直線的なものになってしまう。
対して、ポッチャマはレオの指示を受けて、より力を引き出すことができる。この辺りが野生のポケモンとトレーナーのポケモンの違いだ。
ドリル嘴は飛行タイプの技。虫・格闘タイプのヘラクロスには非常に大きなダメージを与えることができる。ヘラクロスはその一撃を喰らい、大きく吹っ飛ばされる。
「今だぜモンスターボール! こいつをゲットするぞ!」
そのチャンスを逃さず、レオはモンスターボールを投げる。
倒れているヘラクロスの額にぶつかり、モンスターボールが開き、ヘラクロスはボールの中に吸い込まれる。
ボールは閉まり、地面に落ち、赤い光を点滅させながら揺れる。
「やったか……?」
緊張の瞬間。そして、
カチッ、と音がし、点滅と揺れが止まる。
「よっしゃあ! ヘラクロス、ゲットだ!」
ボールを手に取り、天高く掲げ、レオは叫ぶ。ポッチャマも胸を張って自慢げに鳴く。
ヘラクロスがいなくなったことで、隅に追いやられていたムックルやミノムッチたちが、ミツの中心部へと戻ってきた。
「ヘラクロス、これからよろしくな」
とりあえず、レオは一旦アカノハシティのポケモンセンターに戻り、ヘラクロスとポッチャマを回復させると、改めて次の町、コウホクシティへと向かう。