二次創作小説(紙ほか)

Re: 第三十八話 班 ( No.93 )
日時: 2013/08/15 13:59
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Q1X0ZXes)

ドアが破られたという情報は、すぐさま九階、すなわち最上部のトパズに伝わった。
「奴らが来たか。正直、『ブロック』の連中が出てくるのは予想外だったが、戦場では非常識こそが常識。慌てるほどのことでもない」
自分に言い聞かせているのか周りに告げているのかよく分からない話し方でトパズはそう言う。
このビルは、占領された後に、N・E団の手でシステムの改造が施されている。
「この狭いビル内では集団戦は不利。相手もそれを見越して少人数で攻めてきているようだな。だがそれこそが、その安易な思考こそが命取りなのだよ」
トパズはバッと顔を上げると、下っ端たちに指示を出す。
「迎撃舞台を三班に分けろ。一班は三階の大広間、二班、三班は大広間に作られた二つの隠し扉の後ろで奴らを迎え撃て。二班は右、三班は左の部屋だ」
的確にトパズは指示を出していく。
「仮に一班が撃破された場合、油断したところで二班、三班が襲撃。奴らを叩け」
下っ端は敬礼し、すぐさま指定された場所へと向かう。
「電脳部隊は部屋の扉を操れ。全ての扉を封鎖し、大広間へと的確に奴らを誘導しろ。他の部屋には監視カメラがない部屋がある。そこでの奴らの動きが見えないのは厄介だ」
電脳部隊と呼ばれた下っ端たちもすぐさま定位置に着き、機械の操作を始める。
「ああ、そうだ。五階の見張り部隊に、我へと牢の鍵を持ってこいと指示せよ。ここの住民をそう簡単に逃がすわけにはいかんからな」
そして、トパズは無線機を取り出す。
「聞こえるか、夜天将」
『ええ。聞こえています』
無線の向こうから聞こえてきたのは、女の声。
「ジムリーダーを中心とする奴らが、ビルに侵入した。万が一に備えて八階の階段前で待機し、もし奴らが来たら迎え撃て」
『分かっていますわ。お任せください』
それだけ言って通話は切れた。
「我も行くか。仮にここまでたどり着くとしても、せいぜい一人だろう。我の敵ではない」
そしてトパズはその部屋を出、最上部の大広間へと向かっていった。


カラタチを先頭に、一行はビルの中を突き進む。
しかし、どの部屋の扉も堅く閉じられ、開きそうにない。
マゼンタのラムパルドを使えば破壊できるのだろうが、いちいち壊していてはラムパルドの方が持たない。
「それにしても、この扉の封じられ方……露骨だな」
ふとカラタチが呟く。
「何か見られとうないモンでも隠しとるんとちゃうの?」
「そうかもしれないな。N・E団のことだし、常識外のものを持っている確率も十分にあるか」
二階から三階へ進む階段が見えてきた。ここまでは一本道だった。
三階へと進むと、そこは大広間だった。
しかし、
「ついにN・E団部隊のお出迎えか」
そこには大量の下っ端が控えていた。
「ここを通りたくば、俺たち全員を倒してからすすめ」
下っ端のリーダー格の言葉と共に、全員が一斉にモンスターボールを取り出す。
そして下っ端が一斉にポケモンを繰り出す。百体ほどいる。
「やれって事か。出て来い、ポッチャマ」
「しゃーないわ。ほな出番やで、ポリゴンZ」
「私もやるか。出て来い、チャーレム」
レオがポッチャマを、マゼンタが首と胴体の離れた、赤と青を基調とした丸っこいポケモン、ポリゴンZを、カラタチがチャーレムを繰り出す。
ジムトレーナー三人は、それぞれワンリキー、ゴーリキー、カイリキーを繰り出す。
「行くぞ!」
カラタチの合図で、六人は一斉に動く。
「ポッチャマ、冷凍ビーム!」
ポッチャマは冷気の光線を発射する。
下っ端のポケモンが何体か凍り付いていくが、残った下っ端のポケモンたちがすぐさま反撃に出る。
しかし、
「そっちも大量なんだ、少し増えたって異存はねえよな! ルクシオ、メガショック!」
ポッチャマへと襲い来るポケモンたちは、ルクシオの電撃を浴びて、その場に崩れ落ちる。
「ポリゴンZ、サイコキネシスやでー」
ポリゴンZは強い念力を放ち、襲い来る下っ端たちのポケモンを一斉に薙ぎ払う。
それでも全ての下っ端のポケモンは潰せない。残ったポケモンたちは次々と襲い来るが、
「面倒やなあー。ポリゴンZ、破壊光線」
ポリゴンZは全てを破壊する赤黒い光線を発射し、残りの全てを薙ぎ払う。
「チャーレム、リフレクター!」
チャーレムは透明な輝く壁を作り上げ、下っ端のポケモンを遮断する。
「続けてアクロバット!」
すぐさまチャーレムは俊敏な動きで、次々と下っ端のポケモンを撃墜していく。
地面に落ちたポケモンたちの中には、まだ倒れていないのもいたが、ワンリキー、ゴーリキー、カイリキーに次々と止めを刺されていく。
十分ほどで、下っ端部隊は全滅してしまった。
「こんなものか。まあ大したことなかったな」
「ほな、次進むでー」
「下っ端にしては少ない気もするが、上の方で待ち受けているんだろうな」
六人がボールにポケモンを戻し、次に進もうとした、まさにその時だった。

ダン! と。
刹那、後ろから扉が開かれたような音がし、とんでもない量の下っ端が跳び出してきた。

「何だ!?」
咄嗟に後ろを振り返る六人だが、時すでに遅し。
レオたちがポケモンを繰り出す時間など、全くなかった。
大量の下っ端が、一斉に六人目掛けて襲い掛かる。