二次創作小説(紙ほか)
- Re: 第三十九話 夜天将 ( No.94 )
- 日時: 2013/08/15 14:00
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Q1X0ZXes)
大量の下っ端は、すぐにその大広間を埋め尽くし、六人も潰されてしまう。
その様子は、監視カメラを通じて、トパズや電脳部隊の下っ端にも伝わる。
しかし。
これはあくまでも、輝天のトパズの考えでしかない。
「チャーレム、リフレクター!」
潰される寸前で、チャーレムは輝く透明の光の壁を作り上げ、下っ端の侵攻を防いでいた。
「カラタチさん!」
「ここは私と、弟子の三人で食い止める。君たち二人は先に進め。頼んだぞ!」
レオは少々躊躇うが、マゼンタは頷き、
「ほなジムリーダーさん、頼んだで。レオ君、行くで。ジムリーダーさんが頑張ってくれとるんや、それを無駄にしたらあかん」
「分かった。カラタチさん、お願いします!」
「任せろ。私たちなら心配無用だ!」
その言葉を聞いて、そして、二人は先へと走っていく。
残された四人は、一旦後ろへと退き、カラタチはチャーレムにリフレクターを止めさせる。
下っ端軍は混乱していたように見えたが、リフレクターが消えるや、すぐに体勢を整える。
この下っ端軍、大変よく統率が取れている。
そして、その先ほどの二、三倍ほどの量の下っ端を見ても、四人は顔色一つ変えない。
「さて、少しは楽しませてくれよ。N・E団」
その言葉を合図に、格闘ポケモンたちは地を蹴って跳び出す。
レオとマゼンタは、ビルの最上部を目指してひたすら進んでいく。
部屋の扉は全て封鎖されているため、入り組んではいるが一本道。道に迷うことなく、二人はどんどん上へと進んでいく。
「このビル、一体何回まであるんだ?」
「一回の案内板には、九階まであるって書いてあったで」
「そんなのあったのか?」
「なんや、気づかへんかったんか? 入口のすぐ横に貼っとったで」
マゼンタは一番先に入っていたので気づいたのかもしれないが、レオは全く気付かなかった。
「今は七階。輝天将とやらまでもう少しやで」
「おう」
ビル内の戦闘部隊の下っ端は三階のあれで全てだったようで、特に下っ端は攻めてこない。
八階の階段を見つけ、二人は階段を上っていく。
八階は完全なホールだった。周りに特に部屋もなく、すぐに九階への階段が見える。
しかし、目に入ったのはそれだけではない。
「よくここまでたどり着いたわね」
九階の階段の前に立ち塞がるようにして、少女が車いすに座っている。
その少女はゴスロリを着て、黒い髪はツインテールにしており、その瞳は青く、冷たい光を湛えている。
その黒髪にセットされた髪留めは、N・E団の紋章の形をしている。
「輝天のトパズはここまで来ても一人って言ってたけど、まさか二人も来るなんて。これはトパズに片方を相手してもらわないと、あたしじゃ厳しいかしら」
独り言のように、そのゴスロリ少女は呟く。
「お前は誰だ」
「あたしの名は夜天のラピス。N・E団七天将、第六位」
レオの問いに対し、車いすをこちらに向け直し、ラピスは流れるような口調でそう返す。
「ここを通すわけにはいかないわ。二人とも私が始末してあげる……と言いたいところだけど」
首を横に傾けて、ラピスは続ける。
「さっきも言った通り、あたしは第六位。N・E団要注意人物と、このビルの扉を破壊した二人を相手取るには、少々厳しいのよね」
そして、夜天のラピスは車いすを動かし、道を開ける。
「一人進みなさい。輝天のトパズが九階で待ってるわ」
ラピスにそう言われ、レオとマゼンタは顔を見合わせる。
「マゼンタ。僕に、進ませてくれないか」
「え?」
「輝天のトパズを倒したいんだ。さっき、僕はあいつと戦った。勝ったんだけど、手加減された。本気のあいつを打ち負かしたい」
レオのその言葉を聞き、マゼンタは微笑む。
「シアンから聞いた通りの性格なんやな、レオ君は。ほな、ここは私に任せえや。レオ君は先に進んでーな」
「ありがとう。じゃ、頼んだぞ!」
「任せときや」
マゼンタに礼を言い、レオは九階への階段を上っていく。
「ほな、始めよか。あんたの相手はうちやで」
「そのようね。いいバトルを期待しているわ。バトルは三対三でいいわね」
そして、ラピスとマゼンタは、同時にボールを取り出す。
「ルナバイン、素敵な時間を頂くわ」
「ほな出番やで、バフォット」
ラピスのポケモンは、左手で杵を持ち、尻尾で臼を掴んだ、緑色の大きなウサギのようなポケモン。
餅つきポケモンのルナバイン。エスパータイプ。
対するマゼンタのポケモンは、黒く頑丈な山羊のようなポケモン。三本の角は鋭く、額の角と爪は血のように赤い。
レオも持っているポケモンで、バフォット、悪魔ポケモン。悪・鋼タイプ。
「じゃあ行くわよ。ルナバイン、気合玉」
ルナバインの右手に、気合を凝縮した波動の玉が込められる。
その玉を、ルナバインは思い切り投げつける。
「バフォット、メガホーン!」
対してバフォットは額の角を勢いよく突き出し、気合玉を破壊する。
「今度はこっちからやでー! バフォット、ぶち壊す!」
バフォットは渾身の突進を繰り出す。立ち塞がるもの全てを破壊する勢いで、一直線にルナバインへと突っ込む。
「これはまずいわね。ルナバイン、躱しなさい」
ルナバインは跳び上がって、バフォットの突進を躱し、
「ウッドハンマー」
そのまま上空から、バフォット目掛けて杵を思い切り振り下ろす。
「当たらへんよ? バフォット、メタルブラスト!」
バフォットは上を振り向き、鋼エネルギーの砲撃を発射する。
杵の一撃は十分に重い力を持つが、流石に砲撃を止めることは出来ず、逆に吹っ飛ばされてしまう。
しかし、ウッドハンマーでかなり威力は削れたようで、大きなダメージはない。ルナバインは上手く着地し、すぐに起き上がる。
「なかなかやるようね。だけど、その程度の実力なら十分あたしの方が上だわ」
「バフォット一体でうちの力を決めんといてくれへん? こんくらいがうちの実力とでも思っとるんか?」
ルナバインとバフォットは、互いの敵をじっと見据える。