二次創作小説(紙ほか)
- Re: 第四十話 輝天将 ( No.97 )
- 日時: 2013/08/15 14:01
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Q1X0ZXes)
九階への階段をレオは駆け上がる。
九階は展望台のような形で、壁はガラス張りになっているが、隅に『管理室』と書かれた扉と一室がある。
階段は部屋の隅にあり、ちょうど振り返って部屋全体を見回す形になる。
そして、
「来たか」
部屋の中央には、無造作に跳ねた黄色の髪、橙色の軍服の長身の男。
N・E団七天将の一人であり、軍神でもある男。
輝天のトパズ。
「ここまでは我の想定内。とは言え、あまりよろしくない想定だったがな」
「なに?」
「本来ならば三階の戦闘部隊と八階のラピスでお前たちを止めるか、仮にラピスに勝ったとしても手負いの貴様を叩く予定だった。想定していた状況の中ではあまりよろしくない状況だよ」
「僕がラピスと戦ってたら、疲れてた僕を倒すつもりだったのか? 随分アンフェアだな」
「戦場を経験したこともない貴様には分からんだろうが、戦場とはそんなところだ。敵への情けなど許されんのだよ」
「だが残念だったな。僕のポケモンは無傷だ。戦闘条件は五分だぜ。さっきは手を抜いてたみたいだけど、今度はそうもいかないぞ」
「そのようだな。我も現時点で出せる一番の力で戦ってやる」
そして、トパズは右手の指を三本立て、右手を突き出す。
「三体三だ。異存はないな」
「いいぜ」
そして、トパズとレオは同時にボールを取り出す。
「占領せよ、チリーン!」
「頼んだぜ、ルクシオ!」
トパズのポケモンは先ほどのチリーン、レオのポケモンはルクシオ。
「では行くぞ。チリーン、ハイパーボイス!」
チリーンは大きく息を吸う。次の瞬間、体内で反響した音が強力な衝撃波となって放たれる。
「ルクシオ、躱して帯電だ!」
対して、ルクシオはよこに飛び退いて衝撃波を躱すと、体に電気を溜め込んで攻撃・特攻を上げる。
「メガショック!」
すかさずルクシオはバチバチと音を立てて弾ける電撃を放つ。
メガショックには麻痺効果がないので、神秘の守りで防ぐことは出来ない。
「チリーン、回避!」
チリーンは浮上し、襲い来る電撃を避け、
「シャドーボール!」
短冊状の下半身を振って影の弾を発射する。
「来るぞ。ルクシオ、辻斬り!」
ルクシオは爪を振り抜いて影の弾を切り裂くと、一瞬でチリーンへと接近、すれ違いざまにチリーンを切り裂く。
「チリーン、サイコバーン!」
チリーンはぐらつくものの、すぐに立て直し、念動力を爆発させて周囲に衝撃波を起こし、まだ近くにいたルクシオを吹っ飛ばす。
「追撃せよ! シャドーボール!」
「させるか! ルクシオ、アイアンテールだ!」
さらにチリーンは下半身を振って影の弾を発射するが、ルクシオは素早く体勢を立て直して跳び上がり、影の弾を避ける。
そこから尻尾を硬化させ、チリーン目掛けて振り下ろす。
「チリーン、押し返せ! ハイパーボイス!」
しかしチリーンが大音量の声と共に衝撃波を放ち、ルクシオのアイアンテールは衝撃波に阻まれる。
ルクシオも一歩も引かないが、衝撃波と力は互角。やがてルクシオの尻尾はアイアンテールの効果が切れ、軟化してしまうが、衝撃波も消える。
「少しはやるようだな。チリーン、シャドーボール!」
チリーンは下半身を連続で振り、影の弾を二発発射する。
「喰らわねえぜ! ルクシオ、もう一回アイアンテール!」
ルクシオは再び尻尾を硬化させ、さらにその尻尾を横なぎに振るい、影の弾を纏めて打ち消してしまう。
「それならば、サイコバーン!」
「だったらルクシオ、メガショック!」
チリーンが念動力を爆発させて衝撃波を放つと同時、ルクシオもバチバチと破裂音を響かせる電撃を発射する。
「ルナバイン、気合玉」
「バフォット、メガホーン!」
こちらは八階の広間。
ルナバインが投げ飛ばした気合を凝縮した弾を、バフォットの勢いよく突き出された角が破壊する。
実力的には互角だが、タイプ上ルナバインは得意のエスパー技が使えず、バトルとしてはバフォットの方が有利。
「それなら……ルナバイン、ウッドハンマー」
「させへんで。バフォット、怒りの炎!」
ルナバインは杵を構えてバフォットに殴りかかるが、バフォットは怒り狂ったように燃え盛る爆炎を放ち、炎の壁を作り、ルナバインの動きを止めてしまう。
「炎なんて無意味よ。ルナバイン、ハイドロポンプ」
しかしルナバインの突き出した右手から大量の水が噴射され、炎は大量の水に打ち消されてしまう。
そしてすかさずルナバインは跳び、上から振り下ろされた杵がバフォットを捕らえる。
「このバフォットは攻撃だけやないでー。防御、スピードもある程度持ってるさかい、そう簡単にはやられへんよ?」
加えて効果今一つもあり、バフォットには大きなダメージは通っていない。
「ほな今度はこっちからやで。バフォット、メタルブラスト!」
バフォットは吼え、強大な鋼エネルギーの砲撃を放つ。
「ハイドロポンプでの相殺は……難しそうね。ルナバイン、躱してウッドハンマー」
ルナバインは跳び上がって砲撃を躱すが、
「それを待っとったで! バフォット、ぶち壊す!」
宙に跳び上がっているルナバイン目掛け、バフォットは地を蹴って思い切り跳び出し、渾身の突撃を繰り出す。
「まずいっ……ルナバイン、気合玉」
咄嗟にルナバインは体勢を切り替え、右手に気合を凝縮した弾を作り上げるが、それを放つよりも早く、バフォットの全てを破壊するような一撃がルナバインに命中。
効果抜群の一撃をまともに喰らい、ルナバインは大きく吹っ飛ばされる。
「これで決めるで! メガホーン!」
さらにバフォットはその勢いのまま角を構えて突進し、再度ルナバインを吹っ飛ばす。
体勢が大きく崩れていたルナバインには、これを躱すだけの余裕はなかった。
再び大きく吹っ飛び、壁に激突し、ルナバインは戦闘不能となってしまう。
「ルナバイン、よくやったわ。休んでなさい」
ラピスはルナバインをボールに戻し、
「少しはやるみたいね。まあ、それくらいの力がないとあたしも楽しみが無いってものだけど」
「それはこっちの台詞やで。天将がそれくらいの力じゃ、うちもつまらんわー。ほな、次のポケモン、出してな」
マゼンタの言葉に、ラピスは口元に小さい笑みを浮かべて、次のボールを取り出す。