二次創作小説(紙ほか)
- Re: 第四十一話 惑星 ( No.98 )
- 日時: 2013/08/15 14:01
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Q1X0ZXes)
声と共に放たれた衝撃波と、破裂音を響かせる電撃が激突する。
威力は互角で、競り合った末に爆発が起こるが、その煙の中からルクシオは静かに忍び寄る。
「今だルクシオ、辻斬り!」
煙で前が見えず、動きを見せていなかったチリーンに一瞬で近づき、鋭い爪ですれ違いざまにチリーンを切り裂く。
「っ……! 我としたことが油断したか。チリーン、やれるか」
トパズの声に、チリーンは何とか体勢を立て直し、頷く。
「よし、それでこそ我のポケモンだ。チリーン、サイコバーン!」
チリーンは体内に念動力を溜め込み、それを爆発させて衝撃波を起こす。
「甘いぜ! ルクシオ、躱してアイアンテール!」
しかしルクシオは素早く跳び上がり、襲い来る衝撃波を避けると、さらにそこから尻尾を硬化させ、上からチリーン目掛けて振り下ろす。
「効かぬわ! チリーン、ハイパーボイス!」
だがチリーンも簡単にはやられない。ルクシオを見上げると、すぐさま大音量の声と共に衝撃波を放ち、ルクシオを逆に吹っ飛ばしてしまう。
「しまった、ルクシオ、立て直せ! メガショックだ!」
「そうはさせんぞ! チリーン、シャドーボール!」
ルクシオが体勢を立て直すよりも早く、チリーンは下半身を連続で振って三発の影の弾を発射する。
間一髪で、ルクシオはバチバチと弾ける電撃を放ち、何とか影の弾を破壊した。
しかし、
「サイコバーン!」
いつの間にかルクシオのすぐそばまで接近していたチリーンが、念動力を溜め込んで爆発を起こし、周囲に衝撃波を放つ。
突然の、しかも至近距離からのこの一撃は流石に避けられず、ルクシオは衝撃波の直撃を喰らい、大きく吹っ飛ばされる。
「これで決めよ! チリーン、ハイパーボイス!」
最後にチリーンは思い切り息を吸い、その直後に大音量の声と共に衝撃波を飛ばし、体勢の整わないルクシオを再び吹き飛ばす。
そのままルクシオはガラス状の壁に激突し、戦闘不能となってしまう。
「ルクシオ、よくやった。休んでてくれ」
ルクシオを労い、ボールに戻し、レオは次のボールに手を掛ける。
(チリーンはエスパータイプ。加えて、奴は確か飛行タイプのガルラーダを持っていたな。となるとヘラクロスでは厳しいし、ここはやっぱりこいつだな)
「頼んだぜ、トゲチック!」
レオの二番手はトゲチック。
「ほう、飛行タイプのトゲチックか。我のガルラーダの空中戦対策か?」
「いや、別にそこまで考えては無いけど……」
トパズはこちらの選択を勝手に深読みしているらしい。
「まあどちらでもいいだろう。それに、並大抵の飛行ポケモンでは我のガルラーダには空中戦で勝つことは出来ん。加えて」
トパズは一旦言葉を切り、
「まだ我のチリーンは十分戦える。ガルラーダ対策もいいが、まずは目の前に集中することだ!」
「だからそんなつもりじゃないって言ってるだろ! トゲチック、原始の力!」
「チリーン、ハイパーボイス!」
お互いにかみ合っていない会話と共に、無数の岩と大音量の衝撃波が激突する。
「プラネム、神秘の一時を頂くわ」
ラピスの二番手は、荒廃した小惑星のようなポケモン。顔を地軸として自転している。
プラネム、惑星ポケモン。岩・エスパータイプ。
「何や、岩・エスパーて、バフォットに不利すぎんで?」
「そうね。だけどそのバフォットも大分消耗しているわ。こっちには有効打もあるし」
そして、
「プラネム、熱風」
プラネムは赤い瞳を点滅させ、灼熱の風を巻き起こす。
その灼熱の風は、バフォットの鋼の体をじりじりと焼いていく。
「なるほど、炎技やね。それやったら確かにバフォットにはよう効くな。そんならバフォット、ぶち壊す!」
熱風を何とか耐え切り、バフォットは地を蹴って渾身の突撃を繰り出す。
「残念だけど効かないわ。プラネム、とどめよ。ストーンエッジ」
プラネムは無数の尖った岩を一斉に放ち、バフォットの側面に次々と岩を突き刺す。
プラネムへと激突が届く前に、バフォットの動きは止まり、ゆっくりと床に倒れる。
「バフォット、よう頑張ったで。休んでてな」
バフォットをボールへと戻し、マゼンタは次のポケモンを繰り出す。
「次はあんたやで。ポリゴンZ、頑張りいや」
マゼンタの次なるポケモンはポリゴンZ。異形なポケモン同士の戦いとなる。
「ポリゴンZ、はじめはチャージビーム!」
ポリゴンZは体内にエネルギーを溜め込み、そのエネルギーを電撃の光線に変換して発射する。
プラネムに命中するが、ダメージが大きい訳ではない。チャージビームの長所はダメージではない。
「チャージビーム……もともと特攻の高いポリゴンZだし、ちょっと危ないわね」
チャージビームは追加効果で、自分の特攻を上げることがある。しかし、その発動率が非常に高いのが特徴。
これを撃ち続ければ、ポリゴンZの特攻はどんどん上がっていく。
「もたもたしてると取り返しがつかんくなるで? ほなポリゴンZ、チャージビーム!」
「プラネム、打ち消しなさい。スターフリーズ」
ポリゴンZは再び電撃の光線を放つが、対してプラネムは巨大な星形の氷塊を撃ち出し、電撃を打ち消してポリゴンZにも迫りくる。
「ポリゴンZ、磁力線!」
しかしポリゴンZは磁力を操作して磁力の波を放ち、氷塊を粉砕、さらに、
「チャージビーム!」
電撃の光線をプラネムに命中させ、ポリゴンZの特攻はさらに上がっていく。
「チャージビームやで!」
ポリゴンZはどんどん電撃の光線を撃ち、特攻をどんどん上げていく。
「まずいわね。プラネム、ストーンエッジ」
プラネムは周囲に尖った岩を浮かべ、ポリゴンZ目掛けて一斉に撃ち出す。
しかしポリゴンZは意外にすばしっこく、岩を次々と避けていく。
何発かは命中してしまうが、それでも致命的なダメージには至らない。
「ポリゴンZ、磁力線!」
「プラネム、熱風」
ポリゴンZが磁力の波を放つのに対し、プラネムは灼熱の風を巻き起こす。
しかし特攻が何段階も上がった磁力線は、熱風を突きぬけ、プラネムに命中する。
熱風でいくらか力を削いでいたとはいえ、効果抜群、大きなダメージには変わりない。
「ぼちぼちよさそやね。ポリゴンZ、破壊光線!」
マゼンタがポリゴンZの必殺技を指示したその瞬間。
マゼンタにも聞き取れないほどの声で、ラピスが一言呟いた。その口元に小さく、しかし明確な笑みを浮かべ。
「プラネム、黒い霧」
その直後、ポリゴンZから必殺の破壊の光線が放たれる。
あまりの衝撃なのか、周囲に黒煙を巻き起こしながら。