二次創作小説(紙ほか)

Re: 第四十二話 黒霧 ( No.99 )
日時: 2013/08/15 14:02
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Q1X0ZXes)

トゲチックの放った無数の岩は、チリーンの撃ち出した衝撃波を破り、そのままチリーンへと岩が激突する。
衝撃波で少しは砕いたものの、全ての岩を破壊することは出来なかったようだ。
「決めるぞ! トゲチック、マジカルリーフ!」
すかさずトゲチックは不思議な光を放つ葉の刃を発射する。
何とか体勢を取り戻し、身を捻って避けようとするチリーンだが、葉はまるで意思を持つように軌道を変え、的確にチリーンを切り裂いた。
マジカルリーフは必中技。避けることは出来ない。
「ここまでか。よくやったぞチリーン、先鋒としての任務は果たした」
チリーンをボールへと戻し、トパズは次のボールを取り出す。
「ここで貴様がトゲチックを出したのは、我にとっては好都合だった。さっきも言ったが、我がガルラーダには並大抵の飛行ポケモンなら空中戦では負けん。絶対だ」
トパズは一旦言葉を切り、
「それを今から証明してみせよう! 撃墜せよ、ガルラーダ!」
トパズが繰り出したのは、やはりガルラーダ。
「行くぞガルラーダ。お前の力を見せつけてやれ! 鋼の翼!」
ガルラーダは姿に似合わない低い声で吼えるような啼き声をあげると、翼を鋼のように硬化させて、トゲチック目掛けて飛ぶ。
しかし、
「ッ……速い! トゲチック、神通力!」
距離は結構離れていたのにも関わらず、ガルラーダはその間合いをたった一秒ほどで一気に詰め、硬化させた翼を振りかざす。
咄嗟にトゲチックは神々しい力を込めた念動力をガルラーダにぶつけ、何とか翼の一撃からは逃れる。
しかし、
「逃さんぞ! ガルラーダ、襲撃!」
すぐに体勢を整えると、ガルラーダは一瞬でトゲチックの背後へと回り込み、横薙ぎに翼を振り抜いてトゲチックを叩き飛ばす。
「撃墜せよ! ガルラーダ、悪の波動!」
さらにガルラーダは悪意に満ちた波動を撃ち出し、トゲチックを床へと撃ち落とす。
「そうはいくか! トゲチック、原始の力!」
波動が命中する直前で、トゲチックはいくつもの岩を盾のように宙に浮かべ、間一髪で波動から身を守った。
「よくもやってくれたな。今度はこっちからだ! トゲチック、エアスラッシュ!」
トゲチックは羽ばたき、いくつもの空気の刃を飛ばす。
「この程度の技は我がガルラーダには効かぬ! 鋼の翼で撃ち落とせ!」
「そうはさせないぞ。トゲチック、神通力!」
ガルラーダが翼を硬化させ、空気の刃を打ち砕こうとしたその瞬間、空気の刃が不自然な方向に軌道を変えた。
その刃は、攻撃後で隙が出来ているガルラーダを一斉に切り裂く。トゲチックは念動力で、自らが放ったいくつもの刃を操ったのだ。
「今だぜトゲチック、原始の力!」
さらにトゲチックは追撃をかける。宙に浮かべた無数の岩が、ガルラーダ目掛けて襲いかかる。
「効かぬ! ガルラーダ、鋼の翼!」
しかしガルラーダは体勢を崩しながらも硬化させた翼を振るい、岩を次々と破壊していく。
「トゲチック、神通力!」
「甘い! ガルラーダ、悪の波動!」
全ての岩が破壊されたところで、トゲチックは神々しい力を込めた念動力を放つが、ガルラーダも素早く振り向き、悪意に満ちた波動を撃ち出す。
神通力はエスパー技、そして悪の波動は悪技。つまり。
神通力を容易く貫き、悪の波動がトゲチックに直撃した。
「少々早いが、次で決めさせてもらうぞ」
トパズの声が低く響く。そして、

「ガルラーダ、ブレイブバード!」

刹那、ガルラーダの体が蒼く輝く炎に包まれる。
そして、その炎をまとい、ガルラーダはトゲチック目掛けてすざましい勢いで突貫する。
ただでさえ体勢の崩れていたトゲチックが、この音速の突撃を避けられるはずもない。
トゲチックに直撃し、トゲチックは大きく吹っ飛ばされ、壁に激突する。



ポリゴンZの必殺技、破壊光線がプラネムを捕らえた。
光線の反動だろうか、ポリゴンZの周りには黒い煙が渦巻いている。
逆にプラネムの方は、強大な一撃による爆発の砂煙に覆われている。
しかし、砂煙が消えた時、プラネムは倒れているか、致命的なダメージを負っているはずだ。
いくら効果今一つと言え、特攻が何段階も上がった状態の破壊光線をまともに食らったのだ。
無事なはずがない。
しかし。

砂煙が消えると、プラネムは平然と宙に浮かび、自転していた。

「えっ……?」
あまりのダメージの少なさに、目を疑うマゼンタ。
「ふふ」
対照的に、ラピスの口からは笑いがこぼれる。
「思い通りに掛かってくれたわね。こっちの黒い霧に」
「っ……! もしかして、この黒い煙は」
「そうよ。これはプラネムの放った黒い霧。知ってるみたいだし、説明はいらないわね」
黒い霧は、バトルに出ている全てのポケモンの能力変化を元に戻してしまう技。
破壊光線の発射直前で、ポリゴンZはこの黒い霧を浴びてしまい、上がった特攻が元に戻ってしまったのだ。
しかもプラネムには効果は今一つ。余裕を持って耐えられる。
「残念ね。プラネム、ストーンエッジ」
プラネムは無数の尖った岩を周囲に浮かべ、ポリゴンZ目掛けて一斉に撃ち出す。
破壊光線の反動でポリゴンZは動けず、尖った岩が次々と突き刺さっていく。
「くうっ、まだやで。ポリゴンZ、磁力線!」
ポリゴンZはまだ何とか耐えていた。磁力を操作して波を起こし、それをプラネムに放つ。
「打ち消しなさい。熱風よ」
しかし、プラネムの放つ灼熱の風によって、磁力線は相殺されてしまう。
「畳み掛けるわよ。ストーンエッジ」
攻撃の手を緩めず、プラネムは無数の岩を周囲に浮かべ、一斉に撃ち出す。
「ポリゴンZ、サイコキネシス!」
ポリゴンZは強い念力を操作して、襲い来る岩を何とか全て止める。
しかし、
「スターフリーズ」
いつの間にかプラネムはポリゴンZの上にいた。
巨大な星形の氷塊を作り上げ、ポリゴンZへと発射する。
「まずっ……ポリゴンZ、磁力線!」
ポリゴンZは咄嗟に磁力を操作するが、少し遅かった。
磁力の波が放たれるより早く、氷塊が上から襲いかかり、ポリゴンZを押し潰した。