二次創作小説(紙ほか)

Re: サトミちゃんちの8男子〜幼馴染との再会〜 ( No.43 )
日時: 2016/01/02 17:51
名前: 美咲 (ID: jiumbMha)




〜第七話「8男子サミット」〜



ーブンゴsideー


P.M.22:00


サトミがあくびを噛み殺しながら自分の部屋に入るのを確認すると、俺達は静かにリビングのソファに集まった。



てか、ソウスケの奴、いったい何なんだよ。わざわざこんな時間に…。


「おい、まだ話あんのかよ」


さっき充分話したってのに。


「あぁ。サトミとあの幼馴染の話だ・・・」

ふっと、ソウスケは真面目な顔つきになって言った。


「はぁ…。なぜ僕までそんな話に付き合わなければならないのだ。
 ・・・・・・手短に頼むぞ」


兄貴はため息をついてそう言うと、読んでいた本に目を戻した。


んなこと言いながらも、その場を動こうとしない兄貴は何考えてんのか
分かんねぇ。


「分かった。・・・・俺が言いたいことは一つだけ。
 サトミの夢の中で、あの幼馴染が、
 『必ずまた帰ってくる、お前のために…それまで待てるか?』って
 言ったの覚えてるだろ?」


ソウスケの質問に他の奴らはうなずき返す。

確かに俺もその言葉でイライラしてたけど…。


「それが何だよ」


俺が答えてすぐ、ソウスケは呆れたようにため息をついた。


「お前ら、その様子だとやはり分かってないようだな。
 あの言葉の本当の意味を。
  
 本当の意味・・・あれは恐らく
          
         ・・・・・・・プロポーズだろう」



・・・は?わけ分かんねぇし。なんでいきなりプロポーズになんだよ!
おかしいだろ!


兄貴もこれには本をめくる手も止まった。

シノもケノもダイカも固まっている。





「・・・えぇぇえ!!」



反応おせぇよミッチー。しかも声でけぇし。



「静かにしろ!サトミが起きてしまうだろ」


ソウスケが慌ててミッチーの口を手でふさぐ。



「プロポーズって・・・あんな言葉からなんでそうなんだよ!いくらなんでも、回りくどすぎるだろ」



何がどうなってそんな発想にたどり着くのかと混乱し始める俺に、



「よく考えろ。サトミ達が小2のときだぞ。プロポーズという言葉じたいあまり知らないかもしれないし……それに、
あの幼馴染は『結婚しよう』なんて恥ずかしくて言えなかったんだと思う」


ソウスケは冷静に答えた。


…どうせ、その落着きっぷりは見せ掛けだろうけど。




「さすが…、ソウスケさんはプロポーズ経験者だから、分かったのかも…」


ケノが納得したようにつぶやいた。



「ケノくん、それは何かちょっと違う気が…」


「え、違うの?」


「いや、なんとなくそんな気が…」



そこで、シノとケノの会話に割って入ってきたのは、


「グムゥン!」


さっきまでおとなしくケノのひざの上に座っていた、シンベー。

どっちに同意してんのか分かんねぇ。



「それで、その事を僕達に言って君はどうしたいんだ?」


そんなケノ達の会話をよそに、兄貴はソウスケに顔を向け、問いかける。



「…。前、俺がサトミに『運命の恋が、始まる』って言っただろ。…それが、今始まろうとしていることを、伝えたかっただけだ」


ソウスケは言葉を探しつつ、みんなが息をのむようなことを口に出した。


もちろん、それを聞いて俺達は驚かずにはいられない。


「ついにやってまいるのでござるかー」

ダイカはのんきに言ってっけど、お前もまったくの他人事じゃねぇっての。



ただ、サトミが過去の夢を見てあの幼馴染を思い出したのと、
   運命の恋が始まろうとするときのタイミングが合いすぎなんだよ。

つまり、今分かってる範囲での、サトミの運命の相手は、俺達よりも、
幼馴染の方が確率が高くなってるってことだよな。


「そこで…落ち込んでる奴は、諦めるには早いぞ。俺達に少しでも可能性はあるんだからな! それに、サトミの話によると、あの幼馴染のことは今まで忘れていたわけだし、そいつに対する気持ちはその程度のものだろ」


ソウスケは「お前に言ってるんだよ」と言わんばかりに、俺を何度もチラ見しながらポジティブにそう語った。

そしてさっきのソウスケの不気味な笑みはこれかよ。(←六話後半参照)


てか、こいつ…サトミのこと好きなくせに、なんで俺にこんな助言みてぇなことしてんだよ。  

やっぱ変な奴…。






そんなこと言われなくても、俺は諦めたりなんかしねぇんだよ。

サトミが違う奴とくっつく運命とか、可能性が低いとか、
     
           
           

そんなもん……俺が変えりゃあいいだろ。






     
———この時が、運命の歯車が回り始めた瞬間だった———


                                                         

〜第七話終〜