二次創作小説(紙ほか)
- Re: ハリー・ポッターと無名の生き残り 第七話更新中! ( No.110 )
- 日時: 2015/05/25 18:40
- 名前: プリア ◆P2rg3ouW6M (ID: 5YaOdPeQ)
ミーシャは二人が去っていった方向を見つめながら、乱れてしまった髪の毛に手をやる。グリフィンドールという単語は、いつかどこかでもきいたことのあるものだ。何もかも、ホグワーツに入学すればわかるものなのだろうか。
正直に言うと、トイレを吹っ飛ばすという魔法の方が気になって仕方が無いけれど。是非そういった魔法を覚えて、リサコを含めたおじさんたちにいたづらを仕掛けたいものだ。
とりあえず、列車に乗り込むと、先ほど双子に持ち上げてもらった荷物のそばにつく。次は空いているコンパートメント探しだ。どこもかしこも生徒が出入りしていて、無人のコンパートメントはなさそうに見える。
どうしようもない状況ならともかく、自分から友達になってくれと頼みに行くのは怖かった。同じ魔法使いの友達はほしいけれど、先ほどの双子のように、わけのわからない単語を連発されても困る。もし友達ができるのなら、自分のような、つい最近までこの世界のことを知らなかった子がいい……。
そういえば、今の私と一番状況が近いのは、ハリー・ポッターじゃないか。この世界に来てから、一番名前を聞く機会が多かった子だ。ハリー・ポッターも、つい最近までこの世界のことを知らなかったという。だとすると、私と同じ、これからホグワーツに入学するのでは……?
考え込み、途方に暮れていると、背後から自分の名が聞こえた。
「もしかして君、ミーシャ?」
ビクッとして、ミーシャは思わず声を上げた。
こんな外国で私の名前を知っているのは誰だ!?
恐る恐る振り返ると、見覚えのある少年だった。
「うわっ、ネビル・ロングボトム!」
マダム・マルキンの店で知り合った、ネビル・ロングボトムだ。
ネビルはミーシャの反応に、反対にぎょっとしたようだ。
「ちょっとー。“うわっ”って、まるでお化けを見たみたいじゃないか。僕だよ。ネビル・ロングボトム。忘れちゃった?」
相変わらず、緊張を解いてくれるような、のんびりとした雰囲気だ。
ミーシャは、申し訳なさそうに苦笑いした。
「忘れてたら、名前も忘れてるよ。覚えてるよ、もちろんね!」
「よかったぁ。僕、そんなに影が薄いのかと思っちゃったよ」
ネビルは言い、両手をミーシャの前に突き出した。
何かと思って見てみると、茶色いヒキガエルがネビルの手のひらに乗っていた。今にも逃げ出したくてたまらないというように、ヒキガエルは、手足をばたつかせている。
「これ、僕のペットのヒキガエル。トレバーって言うんだ」
「……一瞬、あの虫に見えたんですけど……」
「あの虫?」
「ううん。なんでもない」
ミーシャは言い、ペンポップのいる籠を持ち上げてみせた。
「この子が私のペット。メガネフクロウの、ペンポップ」
「可愛いね! 本当にメガネみたいな模様があるんだ!」
ネビルが覗き込むと、ペンポップは羽をばたつかせてみせる。
「おーいネビル!! そんな所で何してるんだよ! 早く来いって!」
不意に、向こうのコンパートメントから大声が聞こえた。
あちゃー、とネビルが苦笑を浮かべる。
言われてみれば、通行の邪魔になるところで会話をしていたものだ。
「あー、ごめんね。僕もう行かなきゃ」
「うん。話せてよかった。ホグワーツで会おうね!」
ミーシャがにっこりと笑うと、ネビルも頷き、走り去っていった。
やはり、一度知り合った子に出会うと、少なくとも一人は知り合いがいるのだと、安心することができる。これから、まったく未知の世界へ行くのだから。先ほどまでの不安な気持ちが、ネビルのおかげで和らいだ気がした。
「って……!!」
とたん、ミーシャは今の自分の状況を思い出した。
今、自分は、空いているコンパートメントを探さなければならないのだ。
せっかくネビルに会えたというのに、どうして一緒にコンパートメントに座ってほしいと言わなかったのだろう! たった一人の知り合いに!
顔だけの知り合いといえば、先ほど九と四分の三番線を一緒に探した男の子も顔だけは知っているが、ネビルほどではない。荷物を持ち上げるのを協力してくれた双子の男の子たちは、自分が魔法界のノリについていけないせいか、なんとなく怖いし……。
車掌の合図の笛がピーッと鳴った。
駅のホームで家族と別れの挨拶をしていた生徒たちが、笛の音を合図に、次々と汽車に乗り込んでくる。そのほとんどが手ぶらなところを見ると、すでにコンパートメントの場所取りは済んでおり、荷物も積まれているに違いない。
こうなったら、すぐにでもコンパートメントを探さなければ。
トランクとペンポップのかごを持って歩き出すと、大きく汽笛が鳴り響いた。直後、汽車が動き出して列車が大きく揺れ、ミーシャは危うく転びそうになる。
コンパートメントを探して少しずつ歩きながら、列車の中の生徒たちも、ホームに残った家族たちも、互いに別れを惜しんでいる光景ばかりが見て取れた。
そうか……大切な家族がいれば、次に会えるのが一年後となれば、悲しいに決まっているのだろう。リサコが見送りに来ていたらと想像すると、その光景のおかしさに笑ってしまいそうだ。見送りしてくれる家族がいることが少しだけ羨ましい気持ちを、なんとか飲み込んで抑える。
それよりもミーシャの場合、別れを惜しむ家族がいないというのもあったが、これから送るホグワーツでの日々への期待の方が大きかった。まったく予想もつかない生活だが、夢にまで見た魔法がある世界だ。きっと楽しいに決まっている。
それにしても、どこもかしこもコンパートメントは生徒で埋まっている。空っぽのところなど、一つもなかった。
こうなったら! と、ミーシャは自分を奮い立たせた。空っぽのところがないのなら、一人でいる子のところにお邪魔するしかない。できれば女の子。それでもダメなら、ネビルだ。
いよいよ汽車は速度を上げ始めている。早いところ座らなければ。
的を絞ってコンパートメントを探していると、すぐにお目当てのコンパートメントが見つかった。女の子が一人で座っている。
——よし。
ミーシャは深呼吸をして、そっとコンパートメントを覗いた。
中にいる栗色の髪をふさふささせた女の子は、なにやら独り言をつぶやきながら本に夢中になっているようだった。あの本は、教科書だろうか。もうホグワーツのローブに着替えているが、服が新調のせいか、なんとなく一年生に見える。
——よし。……よし!
心の中で自分に掛け声を掛けたが、言葉が出てこない。
戸に手をかけ、なんと言おうか、口をもごもごさせていると、女の子の方が顔を上げてこちらを見た。
〜つづく〜
☆あまりに久々すぎて、欠陥だらけのような気がしてなりません;
おかしな点は後ほど修正します。
そして、いよいよホグワーツらしさが漂ってきたかな……なんて。
