二次創作小説(紙ほか)
- Re: ハリー・ポッターと無名の生き残り 第七話更新中! ( No.118 )
- 日時: 2015/05/31 13:20
- 名前: プリア ◆P2rg3ouW6M (ID: 5YaOdPeQ)
ふと窓の外に目を向けると、鬱蒼とした森が通り過ぎているところだった。森を抜けると、殺風景な丘や荒野の中を走り抜けてゆく。
同じく車窓を見ていたハーマイオニーが、ミーシャの服装に目を移した。
「そういえばあなた、まだ着替えていないじゃない。早く着替えた方がいいわ」
そうハーマイオニーが言ったところで、突然コンパートメントがノックされた。
泣きそうな顔をした男の子が、こちらを覗き込んでいる
——ネビル・ロングボトムだった。
「ネビル!」
ミーシャは思わず声を上げた。いったいどうしたというのだろう。
ネビルはいったんミーシャに目を向け、それからハーマイオニーとミーシャを交互に見た。
「僕のトレバーを見かけなかった? いなくなっちゃったんだ」
「……トレバー?」
ハーマイオニーの質問に、ミーシャが答える。
「ヒキガエル。ネビルのペットなの。……いついなくなったの?」
「わからない。皆で百味ビーンズを食べあいっこしていて、気がついたらいなくなってたんだ。いつも僕から逃げてばかりいて……」
ネビルはおろおろと消え入りそうな声で言う。
ミーシャは、ネビルにトレバーを見せてもらった時を思い出した。確かに、ネビルの手の中にいた時から、逃げ出したくてたまらないように手足をばたつかせていた。あの様子だと、確かに、放っておいたらすぐどこかへいってしまいそうだ。
「百味ビーンズを食べていた時に気づいたってことは、車内販売のおばさんが来る前はいたの?」
「うん。いたと思う」
ミーシャは、ハーマイオニーの顔をちらりと見た。
「私とハーマイオニーは見かけてないから、こっちには来てないと思うけど……」
最後までミーシャが言い終えないうちに、ネビルはめそめそと泣き出した。
一つのことで頭がいっぱいになっている時のネビルは、親しみやすく、のんびりとした普段の雰囲気はまったくない。
ミーシャは困った顔をして、そのまま立ち上がった。
「泣かないで。私も一緒に探すから」
ネビルは、自分が魔法界に来て初めて話しかけてくれた男の子だ。できるだけ力になりたかった。
すると、ハーマイオニーが改めてミーシャの服装について指摘した。
「でもあなた、着替えはどうするの?」
「あー……そうだった……」
なんだかんだと言い、ネビルもすでにホグワーツのローブに着替えていた。通路でペットを見せあった時は私服だったから、コンパートメントの中で着替えたのだろう。
ミーシャが悩んでいると、ため息をつき、ハーマイオニーが立ち上がった。
「じゃあ、私が一緒に探すわ。あなたは早く着替えを済ませた方がいいわよ」
ネビルは、不安げにミーシャを見つめている。
ミーシャは勇気付けるように笑いかけた。
「超特急で着替えて、すぐに一緒に探すから。大丈夫!」
「あなたのことだから、あんまり慌てない方がいいと思うわ」
ハーマイオニーは言うと、ネビルに声をかけて、一緒に通路へ出て行った。
二人が出て行くと、ミーシャは手に持ったままだったカードを置き、すぐに着替えに取り掛かった。
まずはスカートを履き、黒いネクタイを締めたYシャツの上に、灰色のセーターを着る。靴下を履き替え、靴もローファーに履き替えると、足元から魔法界に染まったような心地がした。そうして、ミーシャが一番魔法使いらしいと思うもの、真っ黒のローブを羽織る。
こうしてすべて制服に着替えると、一気に魔女の風格が出てきた気がして、ミーシャはその場で一回転し、ローブがふわりとなびく様子を観察した。自分の首元から足の先まで全身を眺めてみる。ほぼ全身真っ黒のものを身にまとっていると、自分のの髪色は黒というよりも明るいこげ茶色に見えた。
これで杖を持って箒に乗ることができれば、まさに理想の魔法使いだ。
「うわぁ、すごい! 本当に魔法使いの格好だ!」
マクゴナガル先生もマントを羽織っていたことだし、魔法使いというと、マントやローブを羽織っている印象が強い。その仲間入りができたようで、制服を着ただけでも嬉しくてたまらなかった。
制服を着て杖でも振ってみたくなったが、ネビルのトレバー探しの方が先だ。のんびりした雰囲気のネビルが好きだからこそ、あんな風に泣いているネビルは放っておけなかった。自分だって、ペンポップがいなくなった時は同じだけ慌てるだろう。ネビルにとっても、トレバーはそれほど大事なペットだということだ。早く一緒に見つけてやりたい。
制服を引っ張り出したせいでトランクの中がぐちゃぐちゃになってしまったので、ひとまず大急ぎでトランクの中身を整理する。
日本から持ってきたお菓子を手にしたところで、通路の方から話し声がきこえてきた。ハーマイオニー達が戻ってきたのかと思い、顔を上げると、三人の男子が大声で話し合っているところだった。
〜つづく〜
☆秘密の部屋が終了してからの更新です。
学校の制服って、初めて着た時はすごくわくわくした思い出があります。
特にホグワーツの制服なんて、いかにも魔法使い!って感じだし、
それまで魔法を知らなかった子は本当に喜んだんじゃないかと思うんですよね^^
ハーマイオニーはヒキカエル探しに付き合ったおかげで、
ハリーやロンと汽車の中で初対面だったわけなんですよね。
ということで、仲良しのミーシャではなくハーマイオニーをヒキガエル探しにいかせましたw
- Re: ハリー・ポッターと無名の生き残り 第七話更新中! ( No.119 )
- 日時: 2015/05/31 13:16
- 名前: プリア ◆P2rg3ouW6M (ID: 5YaOdPeQ)
「おい、ハリー・ポッターがいるって本当か? どこだ?」
ブロンドの髪を持ち、青白い顔した一人が怒鳴るように言う。残りの二人に比べると、この男子は小柄に見えたが、態度は二人よりも随分と大きかった。
そして、突然ミーシャの方を振り向き、怪訝そうな顔をする。
「ん? なんだそれは!」
男の子はミーシャが持っていたお菓子を指差すなり、残りの二人を連れてずかずかとコンパートメントの中に入ってきた。
驚きのあまりぽかんとしているミーシャを差し置き、男の子は言う。
「おい、それはなんだ?」
「……日本のお菓子だけど……」
ミーシャがもごもごと答えると、男の子は軽蔑したような声をあげた。
「ニッホン? なんだお前! 異国人か?」
「ハーフですけど。……な、何か文句でもある?」
「ああ、あるね。ホグワーツも落ちぶれたもんだよ。こんな異国人を入学させるなんてな。どうせマグル出身なんだろ」
マグル出身ではない。それは事実だ。
ミーシャは相手のペースに流されまいと、目つきを鋭くしようと必死で意識した。
「違いますけど」
「へえ? じゃあ、名前を言ってみろよ」
「……そっちが名乗ってくれたらね」
マルフォイは片方の眉を上げ、挑発するように鼻を鳴らした。
「僕はマルフォイ。ドラコ・マルフォイだ」
「何? マルフォイ?」
「そうだ。何か文句あるか? ほら、早く名前を言ってみろよ」
なんだか虫のような、変な響きの名前だ。
ミーシャは笑いかけたのを、話し出す前の咳払いとしてごまかした。そして、マルフォイの名乗りに対抗して言い返すような強い調子で、自分の名前も名乗る。
「私はミーシャ・ライリー」
それまでマルフォイの顔に浮かんでいた表情が、ミーシャが名乗ると同時に一瞬で消えた。
「じゅ、純血ゥ!?」
マルフォイは声をあげ、後ろにいる男子二人を振り返る。
「おい、ライリー家って全員死んだんじゃなかったか?」
「……さあ……」
曖昧な返事しか返さない二人に、マルフォイは軽く舌打ちをした。「ま、死んだのはバカだけだったそうだし、表立って目立たなかった賢い奴は生きてたってやつかな」などとぶつぶつ呟いている。
そうして、まだ動揺の残る顔でミーシャに目を戻した。
「じゃあ、なんだ? スリザリン狙いか?」
「スリザリン?」
またしても聞きなれない単語に、ミーシャは反射的に聞き返す。
マルフォイは鼻を鳴らした。
「寮の組み分けのことさ。その無印のネクタイをしているところを見ると、僕と同じ一年生だろ。僕の寮はスリザリンに決まってるさ」
相変わらず偉そうな物言いだが、小ばかにするような言い方はしなくなったので、ミーシャも少し肩の力を抜いた。よくわからないけれど、名乗ったことでマルフォイの中で自分の印象が変わったらしい。せっかくの学校生活で入学前から敵を作っても仕方が無いし、名乗ってよかったかな、とミーシャは心の底でかすかに思った。
「どうしてスリザリンだってわかるの?」
「僕の一家が代々スリザリンだからさ。純血にこそ一番ふさわしい寮だよ。もしハッフルパフなんかになったら、僕は退学するね」
ハッフルパフというのは、カードにあった有名な魔女の名前と同じだ。
再びマルフォイが見下すような物言いになってきたので、ミーシャは少しむっとする。
「なぜ退学するの?」
「当たり前さ。あそこの寮は他の寮に入れなかった奴がいくところ。劣等生の集まりさ」
「……何が理由でそうなるわけよ」
「考えてもみろよ。例えば、スリザリン。スリザリンは数多くの優秀な魔法使いを出している。ハッフルパフは誠実だとかなんとか言って、結局は才能の無い奴らのたまり場ってことさ」
ミーシャは眉を寄せた。
寮の組み分けについてはよく知らないが、クラス替えみたいなものだろうか。だとすれば、個人の能力は関係ないはずだ。たとえ性格で決められていたとしても、どの子も魔法が使える素質があるから入学許可をもらったわけだし、そもそも素質がなければ入学すらできないはずだ。
「ホグワーツに入れるんだから、どの寮も全員才能があるんじゃないの?」
「いいや、違うね。ダメな連中は、ただ“魔法が使える”ってだけだ。優秀な魔法使いになれるかっていったら、まったく別だろ。マグル生まれを見てみろよ。ただ“魔法が使える”だけで、代々魔法使いの家系と比べたら魔法の腕も才能もゴキブリみたいなもんさ」
マルフォイは腕を組んだ。
「それにしても、君は学ぶことがたくさんありそうだな。このままじゃあ、もったいない」
「もったいない?」
「馬鹿な連中の考えが根にあるってことさ。また例えをあげてみようか。ハリー・ポッターがいるだろう? あの有名人のハリー・ポッターさ」
「うん」
「あいつの父親も純血だった。それなのに、何を血迷ったのかマグル生まれの女と結婚したのさ。結局二人とも殺されて、ハリー・ポッターがポッター家の生き残りということになった。ハリー・ポッターでさえ、マグルの血が入っている。馬鹿げてるだろ。せっかくの純血も、マグルみたいな下劣な連中と付き合うと、人生を無駄にするのさ」
話を聞くうちに、ミーシャはどんどん不快感が増していくのを感じた。純血の意味合いについて聞きたかったが、それを聞くと馬鹿にされて、喧嘩になるに違いない。
自分がそうだったように、ハリー・ポッターだって両親がいなくて辛い思いをしただろう。純血もマグルも関係ない。それをこんな風に貶されたら、ハリー・ポッターはどう思うだろう。
マルフォイは、まだ続けている。
「君だって純血のライリー家だろ。ウィーズリーの家みたいな純血の恥みたいな奴らはともかく、ライリー家も賢い奴が生き延びてきた。当たり前だろう。君もせっかく純血の元に生まれたんだ。もっと考えを改めた方がいいと思うね」
「……どうやって」
改めたいとも思わなかったが、どう答えるか興味があったので、きいてみた。
マルフォイは再び鼻を鳴らした。
「そうだな。君はまず、ちゃんとした連中と友達になるべきだな。今はいないみたいだけど、君の向かいに座っていた奴はまさかマグル出身じゃないだろうね。そこに汚い紫のもんが置いてある席さ」
ミーシャはハーマイオニーが座っていた席を見た。紫色の表紙の本が置き去りにされている。
ハーマイオニーのことまで馬鹿にする気なのかと思い、ミーシャはマルフォイを睨んだ。
「それを聞いてどうするわけよ」
「おいおい、急に怒り出すなよ。汚い紫って言葉がそんなに気に触ったのか? 瞳の色のこととでも思ったのかな。君の瞳を馬鹿にするほど僕は失礼じゃあない」
ミーシャがじっと黙ったままなので、マルフォイはハーマイオニーのことをきくのは諦めたようだ。
「……まあいい。マグル出身者は自分の知識のなさを隠そうと必死で、君みたいな魔法使いとすぐつるむのさ。君は言い寄られたらすぐふらふら流されそうだからな。仕方が無い。ちゃんとした魔法族を見分けられるようになるまでは、僕が教えてあげよう」
マルフォイがそう言った直後、コンパートメントの戸が開いた。
「あなたたち! なんなの!」
〜つづく〜
☆二連続更新です。
お馴染みキャラを登場させると盛り上がりますね^^
スリザリンの生徒は他の寮とのつながりは薄いけれど、
同じ寮内では強い団結力を示している印象です。
その印象から、ミーシャが純血と聞いて態度が変わるマルフォイに。
それにしても、いい加減第七話が長すぎですね;
