二次創作小説(紙ほか)
- Re: ハリーポッターと無名の生き残り ( No.20 )
- 日時: 2013/03/16 11:15
- 名前: プリア ◆P2rg3ouW6M (ID: X96rB3AK)
美沙は、コンサートへ行ける喜びと不安を、胸いっぱいにかかえつつ、車に乗り込んだ。おじさんも横目で美沙を見やりつつ、車に乗り込み、エンジンをかける。
美沙は現在十一歳で、先月の四月に地元の小学校で六年生になったばかりだ。理紗子も同い年だが、美沙が早生まれなので、理紗子の誕生日は1979年5月20日。あと一週間で、理紗子の十二歳の誕生日がくる。またしても家でバカ騒ぎがあるのだと思うと、美沙は呆れたような気持ちしか湧いてこないのだった。
連掛町の緑豊かな風景が、窓の外を流れるように過ぎていく。道の端に咲き誇っている菜の花たちを見ると、思わず駆けていきたくなるほどだ。真っ青な青空に、美しい黄色の海原がよく映えていた。
ふと、美沙の脳裏に、昨夜夢で見た光景が浮かんだ。魔女が箒に乗って空を飛び、杖を一振りすれば動物にさえ変身できてしまう夢。
ちょうどおじさんたちは、理紗子とのおしゃべりの話題につきた様子だ。
美沙は、本を読んでいるような何気ない口調で口を開く。
「私、またファンタジーな夢を見た。魔女が出てきて、箒で空を飛んだり、動物に変身したりしてたよ」
何も言わないおじさんたちをさておき、美沙は夢見心地で語り始める。
「本当にそういう世界があればなー」
そのとたん、ブチッという音がしたかのようにおじさんの顔が険しくなった。
「そういう空想話はいい加減やめろ! そんなことばかり考えているからお前は変なんだ!」
さっきまで理紗子と陽気に話していたおじさんの罵声に、美沙はビクッとしておじさんから目を逸らした。そうして、ため息をつき、再び景色に目を移す。
あながち間違えでないような発言が悔しいが、せっかくコンサートへ行くのに、このまま居心地の悪い雰囲気を残しておきたくなかったのだ。
おじさん、おばさんは周りの人におかしく思われるといったことを、一番嫌った。とりわけ美沙が、陽気に突拍子もないことを言い出すと、きつく叱ったのだ。
美沙自身、怒らせようという気は微塵もない。だからこそ、年頃の女の子のロマンくらい聞いて欲しい! と、心の中でいつもブツブツ不満をこぼすのだった。
また、美沙が怒られるたびに理紗子はいい子ぶって、
「パパ、怒らないであげてよ。美沙はちょっと愉快なだけなんだから。ねー?」
と言う。そうして、おじさん、おばさんに褒められようとするのだ。
コンサートは有名なソプラノ歌手が歌うだけあり、有名な音楽家たちも数多く訪れていた。しかし、美沙の顔立ちが日本人らしくないことは、どこにいても目立ってしまう。誰かとすれ違うたびにジロジロと見られるのは肩の狭い思いをするが、「あえて」美沙は堂々と歩いてやった。
開演は十一時からなので、まだ時間がある。それまでに何をしていようかと悩んでいると、理紗子がアイスクリームを食べたいと言い出した。
「そういえば、コンサート会場のとなりにはおいしいアイスクリーム屋があったはずよ」
おばさんが理紗子の言葉を聞いて、ぽろりと独り言のように言った言葉のおかげで、美沙たちは歩いてアイスクリーム屋までに行くハメになった。
表面上は面倒くさそうに装いながらも、美沙自身内心は胸をわくわくさせていた。普段は美沙には何も欲しいものを買ってくれないおじさんも、外出する時は話が別だ。理紗子だけ何か物を持っていると、ただでさえ日本人離れした美沙に、さらに手ぶらの様子が目に付き、不自然な様子になってしまう。
人々にそのことをおかしく見られるのが嫌だったのだろう。おじさんは、美沙にもアイスクリームを買ってくれた。
理紗子は不満そうにしていたが、美沙はなるべく理紗子の目線は気にしないようにしてアイスクリームを味わった。美沙はお菓子が大好きだが、おじさんたちに買ってもらったものを食べる機会は、そう多くない。
はしゃぎたくなる気持ちを抑えつつ、美沙は悠々と歩いた。
……魔法の夢。コンサート。アイスクリーム。
後から思えば、これほど良いことが続いたのも、その後に起こる悪いことの前触れだった。
コンサートの特等席は、さすが特等席とあってもっとも見やすく、もっとも歌声が心地よく聴こえる位置だった。
開園すると、徐々にコンサート内が闇に沈んでいった。夜を思わせるような、暗すぎず、静かな闇。ステージ上だけが、柔らかな光で照らされている。
しばらくすると、オーケストラ用の楽器が並べられたステージ上に、コンサートホールの館長が現れた。そうして、退屈な長い説明の後、館長が消え、ようやくソプラノ歌手と演奏者たちが現れる。
いよいよ演奏が、はじまるのだ……。
美沙は、胸を高鳴らせた。
〜つづく〜
☆昨日の賢者の石は、「初めての魔法」で楽しいことだらけでしたね!
リリーやハーマイオニーも含めて
マグル出身者が優秀なのは、現実世界にいるときに
「魔法なんてただのファンタジー」と思っていたからだと思います。
ロンたち魔法族にとっては、魔法の勉強は
私たちが数学を勉強しているのと同じ感覚なんだろうなー。
