二次創作小説(紙ほか)
- Re: ハリー・ポッターと無名の生き残り 第五話開始! ( No.36 )
- 日時: 2013/04/03 16:22
- 名前: プリア ◆P2rg3ouW6M (ID: Dt3vI7iy)
緊張で舌が回らなかったが、なるべく聞き取りやすい英語で話したつもりだ。ミーシャの姿を見ると、女の人はホッと表情を和らげる。
「最後に見たのは赤ん坊の時でしたが、顔立ちはお母さんそっくりですね。でも、その髪の具合はお父さんそっくりです」
ミーシャは黙って女の人を見つめる。
髪の具合までよく見てるなんて、この人は自分の両親を知っているのだろうか。
おじさんが、腰の抜けた声で、もごもごした英語を話した。
「あのですね……この家ではノックをして返事をもらったら家へ上がるのが常識でして……今すぐ、帰っていただきたいのですが」
すると女の人はビクともせずに、じっとおじさんを睨み返した。
「四回ノックして出なかったのはそちらですよ? 居留守でも使うつもりかと思ったまでの最後の手段ですが。だいたい、その箒はなんですか! 飛べるわけでもないのに。私は不審者のような扱いをされるいわれはありませんよ」
どう見ても、その格好は不審者並におかしいけれど……。
箒で飛ぶというようなことも言っているし……。
女の人は、ミーシャの持つ箒を見て、呆れたようにため息をついた。
「箒で空を飛ぶのは気が早いですよ、ミーシャ。そりゃあ、あなたをチームに入れられたら我がグリフィンドールとしてはこんなに嬉しいことはありませんが……。ああ、まだ組み分けすら決まってませんけどね」
何を言ってるのだろう。さっぱりわけがわからない。
ミーシャは肩をすくめて女の人を見る。ぴたりと目が合った。
とにかく、客人であることに間違いはないだろう。だとすれば、この部屋は肌寒すぎて失礼ではないか。
ミーシャは、どもりながら口を開いた。
「あの、今、暖炉に火を……」
「その必要ならありません」
女の人はあっさりと答えると、暖炉に近づいた。そして木の棒のようなものを取り出すと、ひょいと振って見せる。そのとたん、ボッと暖炉に火が燈り、パチパチと燃え始めた。
おじさんとおばさんが、何かを察したように顔を見合わせる。
ミーシャはあんぐりと口をあけて暖炉を見つめた。
今のは一体なんだったのだろう。まるで魔法のように、急に火がついた。
暖炉から目を話し、恐る恐る聞いてみる。
「きいても……いいですか?」
「ええ、構いませんよ」
「あなたは……誰、ですか?」
女の人はほんの少し口元で笑うと、誇らしげに答えた。
「私はミネルバ・マクゴナガル。ホグワーツの副校長を勤めさせてもらっています。グリフィンドールの寮監で、担当科目は変身術です」
ホグワー……? グリフェナール? ヘンシンジュツ?
知らない単語がいっぱいで、形容詞なんだか、動詞なんだか、さっぱりだ。
何がなんだかわけがわからないが、ここまで話を聞き、ようやくミーシャはハッとした。客人なのだとしたら、とんでもなく失礼なことをしてしまった。今の今まで、ずっと立たせっぱなしにしてしまっていたのだ。
ミーシャはおじさんとおばさんの目を気にしながら、椅子を指差す。
「あの、よかったら、その……かけて……」
人見知りが激しい自分を、ここまで恨めしく思ったことがあっただろうか。
マクゴナガル先生は、何かを悟ったようにおじさんたちに目を光らせながら、ゆっくりと椅子に腰掛けた。
怒ることもなく椅子に座ってくれたのでミーシャはほっと胸を撫で下ろす。
ひとまず、女の人が何の用件があってここを訪れたのか、尋ねるのが先だ。ここまできたら、意気込んできいてみよう。
と、意気込んでみたものの、もごもごした英語しか出てこないのが、もどかしかった。
「私、英語はまだ完璧じゃないし、知らない単語が多くて……何の話をしてるんだか、さっぱりで」
マクゴナガル先生はいぶかしげに顔をしかめた。
「わからない? しかし、あなたは私たちの世界について、少なからず知識があるのでしょう?」
何の世界だろう。大人の世界?
それとも、こんな格好の人が言うのだから……演劇の世界とかだろうか。
やはり、何かの勧誘か?
「えーと、何の世界ですか?」
「私たちの世界のことですよ! マグルとは違った世界です。そしてあなたは、その世界の中心ともいえる学校、ホグワーツに通うのですよ?」
「あのー……何かのお誘いですか?」
ミーシャが恐る恐る言うと、マクゴナガル先生は額に手を当てた。
「はぁ……疑い深いのはシュウそっくりですね。……いいでしょう。その箒を貸してください」
マクゴナガル先生は、ミーシャから受け取った箒を床に置くと、杖のような棒を箒に向けて見みせた。
「これが私たちの世界です」
マクゴナガル先生が言うと、ゆらゆらと箒が浮かび上がり、ぼんやりと光り始めた。そうして、自ら床を履きはじめる。
「ええっ?」
ミーシャは、驚いて一歩前へ進み出る。
それと同時に、箒の光がふっと消え、元の床に転がった。部屋が再び、薄暗くなる。
マクゴナガル先生は満足したように棒をしまうと、ミーシャに向き直った。
「わかりましたか? これは本物ですからね?」
「えーっと……つまり、手品の世界ってことですか?」
「手品じゃありません! 本物ですよ! 本物です! あなたはこれを学ぶために、ホグワーツに通うのです!」
「あの……じゃあ、ホグワーツってなんですか?」
マクゴナガル先生の顔がきっと引きつったので、ミーシャはオロオロと慌てた。
「すみません……! ごめんなさい」
「何ですって?」
腹立たしげに、マクゴナガル先生がおじさんたちを指差して立ち上がった。だいぶお怒りの様子だが、どこかショックを受けているようにも見える。
「詫びるべきはこのマグルたちの方です! あなたが手紙を受け取っていないのは知っていましたが、まさかホグワーツのことを知らないなんて。では、あなたの両親はどこで学んだと思っているのですか?」
「その、えーと、つまり、手品の学校があるってことですか?」
ミーシャが噛みながら言うと、マクゴナガル先生は「なんということ……」と疲れたように椅子に座り込んでしまった。
ミーシャはなんとなく罪悪感を感じながら、マクゴナガル先生を見る。
マクゴナガル先生は頭に手を当てて考えるような仕草をした後、燃えるような眼差しでおじさんたちを見つめた。
「あなた方は、この子に本当に何も話していないのですね?」
おじさんたちは、その眼差しに射られたように動けない。
「まさか私自身の口から言うことになろうとは……」
マクゴナガル先生がため息混じりに言った時、おじさんが放心状態から我に返ったように叫んだ。
「や、やめてくれ。変なことを言ってもらっては困るんだ」
「な、何を言うの?」
ミーシャは、自分の知らないことをマクゴナガル先生が話しているが、不思議で、気になって仕方がなかった。
マクゴナガル先生は、ミーシャが、自分を好奇の眼差しで見つめていることを知ると、おじさんの言葉を無視して、ゆっくりと告げた。
「よろしいですか、ミーシャ——あなたは魔女です」
「——はっ?」
シーンと空気が静まった。突風が吹いて、木々が音と立ててなびいている。
〜つづく〜
☆ごく普通の人がいきなり「魔法」とか言われたら、
「この人は頭がおかしいんじゃないか」と思うような気がして……。
ミーシャが自分で「ミーシャ・ライリー」と名乗った後から、
名前の表記を「美沙」から「ミーシャ」に変更しました^^
