二次創作小説(紙ほか)

Re: ハリー・ポッターと無名の生き残り 第五話開始! ( No.51 )
日時: 2013/04/10 17:22
名前: プリア ◆P2rg3ouW6M (ID: 0UyQBddh)

 今の生活が憂鬱なのに、マクゴナガル先生に言われた事を素直に認めることが出来なかった。そんな自分を忌々しく思いながらも、ミーシャは苦笑いしてみせる。

「な、なにかの間違えじゃないですか……? 私と同姓同名の誰かと間違えていて……それで……」
「……それではお尋ねしますが、あなたが怒った時や怖かった時、何か起こりませんでしたか?」

 マクゴナガル先生の言葉には、どこかミーシャを面白がっている響きがあった。

 考えてみれば、リサコが急に笑い出したのも、花が急に別の種類に変わったのも、すべてミーシャが怒った時だ。気がついたら自分の部屋に立っていたのも、怖かった時だ……。

 あれはミーシャの周りで不思議なことが起こったのではなく、ミーシャ自身が無意識に起こしたことだったのだ。

「じゃあ、全部、私が起こしたことだったんですね」

 ミーシャは瞳を輝かせてマクゴナガル先生を見つめた。

 そうなると、「ミーシャがいつも何かやらかす」と言っていたおじさんたちは、あながち間違えではなかったということだ。
 つまり……ミーシャに魔女の素質があるということを——知っていた?

 ミーシャは、怪訝そうにおじさんを見つめた。

「あの、おじさん。私に魔女の素質があるってこと、知っていたの?」
「そうだと答えたらどうするんだ?」

 おじさんが、押し殺したような声で答える。
 ミーシャが言い返そうと言葉を言う間もなく、おじさんはマクゴナガル先生にぴしゃりと言った。

「この子がおかしいのは、とっくの昔から知っていた! だが保護者として、この子をそんな学校に行かせはしない。十一年間、それだけは誓ってこの子を育ててきたんだ!」
「あなた方のようなマグルに、この子を止められるとでも思っているのですか?」

 冷ややかにマクゴナガル先生が言い、すかさずミーシャが尋ねる。

「マグ……ってなんですか?」
「マグルですよ。この方々のような、魔法族ではない人間です」

 早口に説明し、おじさんたちに向き直る。

「この子の入学は、この子が生まれる前から決まっていたのです! なんの力も持たないあなた方が、ごちゃごちゃ言っても変えようのないことです! もし本当に自分たちに力があるとおっしゃるなら、その場でその偉大な力を見せてもらっても構いませんけどね」

 その言葉に、おじさんが腹立たしげに息を吐いた。
 
「魔法なんぞを偉大な力というあんたらの頭は、おかしいとしか思えないが! このミサも少々おかしいところがあるが、この日本で暮らす限り、これ以上頭がやられることはない。魔法なんぞ、学ばせてたまるか!」

 そうしてリサコを見やり、再びマクゴナガル先生に目を向けた。

「ミサはこのリサコと同じ、地元の中学に通わせる! ミサの親が行ってた学校に通わせるつもりはない!」

 そこまで聞き、ミーシャは「やっぱり!」と確信した。
 自分に魔女の素質があること、両親のことを、知っていて尚教えてくれなかったのだ。
 ミーシャは、ぐっと両手を握り締めた。ふつふつと怒りが湧いてくる。

「やっぱり知ってたのね! どうして! どうして教えてくれなかったの?」

 甲高い声で怒鳴ると、おばさんがやけによそよそしく冷ややかに答えた。

「私の家族はみーんなそうだったもの。幸いなことに、私だけはそんな力を持たずに生まれてきたけど。家族はみーんな私の兄が優秀だってバカ騒ぎしていたわ。はるばるイギリスに通ってまでして!」

 おばさんの目には、悔しさとも怒りともつかぬ色が浮かんでいる。
 
「……そうしてあのライリー。あの女と結婚して、私の兄はイギリスへ行ってしまい、お前が生まれた。……幸いなことに、私の家族は兄以外、日本で魔法薬とかいう実験で死んだけど。おまけにその一週間後、私の兄もライリーも魔法で吹っ飛んで死んで……!」
「魔法で死んだ? 交通事故っていうのはなんだったの!?」

 はれぼったくなった目に力をいれ、ミーシャは怒鳴った。
 しばらく黙って話を聞いていたマクゴナガル先生が、おばさんをじっと睨む。

「あなたはスクイブでしょう! チェリーとシュウの死を交通事故という言葉で片付けることの侮辱、わかっているのですか?」
「私は家族との縁は切ったのよ。もうあの世界とは一切関係ない。あの二人が死ぬなんて、私にとってはゴキブリが死ぬのと同じことだもの!」

 おばさんの言葉に、マクゴナガル先生はふっと息を吐いた。

「……あなたにはもう言う言葉もありませんね。ええ、あなたがゴキブリですよ」

 マクゴナガル先生の言葉に、おばさんは俯いて黙り込んでしまった。
 先生は、ミーシャを強く見つめ、おじさんたちを刺すように睨む。

「この子が行きたいと思うのなら、あなた方に止めることが出来るはずがありません。これはあなた方ではなく、この子が決めることなのですから! この子がそうと望むのなら、この子はホグワーツ魔術学校で学ぶことが出来ます。それも、歴代校長の中でもっとも偉大な魔法使い……アルバス・ダンブルドアの元で」

 おじさんが、ふっとあざけるように笑った。

「そんな年寄りの元で学んでなんになる?」

 おじさんが言ったとき、マクゴナガル先生の顔がさっと引きつった。
 思わず杖を取り出した右手が、ぶるぶると震えている。
 
「先ほどから聞いてみれば、魔法族をバカにするような発言ばかりして……!」

 ミーシャはマクゴナガル先生をチラリと見やり、おじさんを睨んだ。

「私にはおじさんたちの方が老いぼれているように見えるけど!」

 不意に、リサコがミーシャを睨み、口を挟んだ。

「黙りなさいよミサ……!」
「うるさい! 大根みたいな顔してるくせに!」
「外国人顔のあんたに言われたくないわ!」
「ざーんねんでした! イギリスに行けばそっちが外国人になります!」

 火花が散るように、二人はじりじりと睨みあう。
 不意にマクゴナガル先生が、杖を持っていない片手を、ミーシャの頭にぽんっと乗せた。
 ミーシャが顔をあげるのと同時に手を離し、マクゴナガル先生は静かに言った。

「この子が行きたいと望むなら、私はあなた方を止めることが出来ます。……たとえ魔法を使ってでも!」
「やれるものならやってみろ!」

 おじさんがヤケクソで言い、マクゴナガル先生がにやりと笑った。

「そうですか。——では、石像にされたいですか?」
 
 鋭い瞳で串刺しにされたように、おじさんは動けなくなった。
 ……ようやく察したようだ。
 自分がおかしな連中の領域に、足を踏み入れすぎたことを。

「か、金なんぞ払わないからな!」

 おじさんは言い捨てるなり、奥の部屋へすっ飛んで言ってしまった。
 おばさんとリサコが、慌てておじさんを追っていく。おばさんは負け惜しみのようにミーシャたちを睨み、奥の部屋へ引き下がっていった。

 カチッと時計の針が動く音が響き、ミーシャはぱっとマクゴナガル先生を見上げる。

「……まったく」

 マクゴナガル先生は呆れたように杖をしまうと、壁にかかっていた時計を見つめた。薄暗くて見えにくいが、かろうじて夜の九時を回っていることは見て取れた。

「まあ、もうこんな時間。向こうは今頃昼でしょうから、急がなくては……」
「……向こうってどこですか?」

 ミーシャが恐る恐るきくと、マクゴナガル先生はたんたんと答えた。

「イギリスですよ。これからあなたの学用品の買出しに行くのです」

 そうして、足早にログハウスの玄関まで行くと、ぼーっと突っ立っているミーシャを振り返った。

「あなたがここにいたいのなら、話は別ですよ」

 さらりと言ってのけ、ドアを開けて外へ出ようとしたので、ミーシャは慌てた。

 自分に行く気がないと思っているのだろうか。
 このままここで自分が何も言わなければ、この人は自分を置いていってしまうのだろうか。
 そんなのは、絶対に嫌だ……!

「ま、待ってください……!」

 ミーシャは反射的にマクゴナガル先生の腕をつかんだ。
 マクゴナガル先生が、驚いてミーシャを振り返る。
 はっと我に返って手を離すと、ミーシャは頬をうっすらと染めた。

「すみません……」

 俯いたまま、ミーシャは口の中でもごもごと言った。

「あの、私、行きます……! ホグワーツに!」

 顔を上げると、マクゴナガル先生がにっこりと微笑んでいた。
 ミーシャもパッと顔を輝かせ、期待で頬を赤く染めると、微笑んでみせた。



☆これで第五話は終わりになります。
もうちょっとオリジナル展開を入れても良かったような……;
時間がある時に、色々と修正するかもしれません;

第五話まではあらかじめ文章を考えていたのですが、
第六話以降は文字通りまっっ白! 
更新スペースがますます遅くなりますが、お付き合いいただけると嬉しいです><