二次創作小説(紙ほか)
- Re: ハリー・ポッターと無名の生き残り 第六話更新中! ( No.72 )
- 日時: 2013/08/06 12:57
- 名前: プリア ◆P2rg3ouW6M (ID: aZP6Qvf9)
次に、教科書を買うために「フローリシュ・アンド・ブロッツ書店」を訪れた。ダイアゴン横丁の店はどこの薄暗く、魔法界らしい雰囲気を醸し出していたが、この店はそれに加えて埃っぽい。天井高く積み上げられた本の中から必要な教科書を探すのは大変だと思ったが、マクゴナガル先生は慣れた手つきで本を探し出していっている。
ミーシャは首が痛くなるまで本を見てまわり、気になった本を見て回った。本の中には大きな革製本や切手くらいの大きさの本もあり、何も書いていない本もあったりと、よりどりみどりだ。
「……『お菓子をつくる楽しい呪文』『いたづら専門変身術』『動物もどきの見分け方』……」
先生がいることさえ忘れ、ミーシャは夢中で本を読みふけっていたが、先生はさっさと本を買いそろえ、ミーシャを店から連れ出してしまった。
次に、魔法薬の授業に必要な大鍋や秤を買いに行った。ミーシャは錫の鍋を購入したが、中には純金の大鍋さえあり、開いた口がふさがらなかった。こんな鍋を授業で使うなんて、もったいない……!
薬問屋では、小さな瓶がずらりと棚に並べられており、壁には干した薬草がぶら下がっていた。
「……くっさい……」
ミーシャは、思わず鼻をつまみたくなった。
美しいユニコーンの角や色彩々の瓶を眺めるのは面白かったが、それよりもすぐそばの目玉の臭いの酷さといったら……。材料を注文している時は、鼻の頭に皺が寄っていただろう。
マクゴナガル先生は平然としているが、ミーシャは始終鼻で息をせず、口で息をしていた。
薬問屋から出ると、ミーシャは胸いっぱいに外の空気を吸い込んだ。
そうして、再び教材リストを広げ、マクゴナガル先生を見上げる。
「先生、あとは杖だけです」
「それと、ペットもね。杖を買ってもまだ、お金が余るでしょう」
ペットと聞いて、ミーシャは胸を弾ませた。
「ふくろう、猫、ヒキガエルのどれかですね……!」
「ええ。先に買いに行きますか?」
「……杖を先に買いに行きます。杖を買っている間、ペットを待たせちゃうとかわいそうなので」
ミーシャは言い、ようやく魔女となる時がきたように思った。
いよいよ、私だけの杖を持つ時が、やってきたのだ。
「杖はオリバンダーの店に限ります。——この店です」
とはいえ、先生が足を止めた先の店を見て、ミーシャは拍子抜けした。これまでのどの店よりも、みすぼらしい店だったからだ。扉には、剥がれかかった金色の文字で「オリバンダーの店——紀元前三八二年創業 高級杖メーカー」と書かれている。
マクゴナガル先生はきょろきょろと辺りを見回した。
「オリバンダーなら、あなたにぴったりの杖を探し出してくれます。私は少し用事がありますから、一人で行ってきてください」
また一人で大人の魔法使いを相手にするのか……。
ミーシャは頷き、どもりながら答えた。
「わっ……かりました……」
ミーシャの返事を聞くと、マクゴナガル先生はいそいそとどこかへ行ってしまった。
緊張するけれど、自分の杖を手に入れるためだ。慎重に、前向きに行こう。
〜つづく〜
☆文字数オーバーで、オリバンダーの店まで入れられませんでしたorz
ちょっと少なめですが、オリバンダーの店の手前、
区切りがいいので、ここで切ります。
- Re: ハリー・ポッターと無名の生き残り 第六話更新中! ( No.73 )
- 日時: 2013/08/07 18:42
- 名前: プリア ◆P2rg3ouW6M (ID: 7uqXWVar)
意気込んで店の中に入ると、奥の方でチリンチリンとベルが鳴った。これまた天井に届きそうな高さの棚の中には、細長い箱が乱雑に積み上げられている。
今までの店とは、明らかに雰囲気が違う。
その静けさに背中がぞくっとして、ミーシャは声を出すのさえためらった。
「ごめんくださーい……杖を買いに来ましたー……」
すると突然、棚と棚の間の奥から老人が現れた。梯子に乗ったまま、じっとこちらを見下ろしている。
突然現れたので、ミーシャは思わず声をあげそうになった。
「あっ、こんにちは!」
驚いた反動で大声で挨拶してしまったものの、オリバンダー老人は微笑みながら梯子から降りてきた。
「ハリー・ポッターにお目にかかれただけでなく、あなたとも会えるとは。ミーシャ・ライリーさん」
「あれ? 私、自己紹介しました……っけ?」
「あなたのことは、知る人なら皆知っておる。お母様のことも、お父様のことも」
お母さん、お父さんと聞いて、ミーシャはどきりとした。
「私のお母さんとお父さんのこと、知ってるんですか? どうして?」
オリバンダーは、ミーシャの瞳を覗き込んだ。
「そりゃあ、あなたのご両親もわしの店に杖を買いに来たからじゃ。ああ、二人がここに杖を買いに来られたことを思い出しますぞ。わしゃあ、売った杖はすべて覚えておる。あなたのお母様は、二十七センチのハシバミの杖じゃった。あの杖は、本当に順応性に富んでおっての」
オリバンダー老人は話しながら、棚の間から箱を次々に取り出している。
「お父様の方は三十センチの栗の木の杖じゃった。良質な硬い杖でな、闇の魔術に対する防衛術に長けておった」
「……杖に種類があるんですか?」
「もちろん。同じものなど一つもありません。芯に使っているユニコーンのたてがみも、不死鳥の尾羽根も、ドラゴンの心臓の琴線も、 皆それぞれに違う。つまりな、ライリーさん。自分に合った杖を使ってこそ、自分の本当の魔法の力が発揮されるのじゃ」
杖にそんな重大な意味があったとは。
この店の何千本の杖の中に、私だけの杖が、私だけが使いこなせる杖が、あるのだろうか。
「さてさて、どちらが杖腕かな?」
「あの、杖腕ってなんですか?」
申し訳ないと思いつつ問い返すと、オリバンダー老人はきょとんと目を丸くした。そうして、弾かれたように笑った。
「利き腕はどちらかな? という意味ですよ」
「あっ、すみません。私、右利きです」
顔を赤くするミーシャを、老人はお構いなしに巻尺で寸法を測っていく。肩から指先、手首から肘……。
採寸を終えると、オリバンダー老人は先ほど取り出していた箱の山から、一つ箱を持ってきた。
「まずはこれ。オリーブの木にユニコーンのたてがみ。十七センチ、しなやか」
杖を受け取ったものの、何をすればいいのだろう。
呪文を言うのが定番だろうけど、まだ呪文など覚えてもいない。
また恥をかくのは嫌だと思いつつ、杖を振ってみると、突然そばにあった花瓶が割れてしまった。
ミーシャは驚き、わなわなと慌てた。
「わっ、い、今のは私のせいですよね!? 弁償ですか!」
「そう慌てず。杖が合わないと、こういうことが起こるのじゃ」
オリバンダー老人はなぜか楽しそうに言うと、次々と杖を差し出してきた。ハンノキとドラゴンの心臓の琴線、桜に不死鳥の尾羽根……。しかしどれもミーシャには合わないようで、老人は振るか振らないかのうちに杖をひったくってしまった。
「難しい……難しい……」
老人は愉快そうにぶつぶつと言っていたが、ふと思い出したようにミーシャを見た。
「ハリー・ポッターの杖があれだったのなら……もしや……」
神妙な表情で棚の奥へ行き、数秒が立った。戻ってくると、オリバンダー老人はそっと杖を差し出した。
「——樺の木に不死鳥の尾羽根、二十七センチ」
雰囲気に背中を押され、ミーシャは杖を恐る恐る手に取る。
すると、急に指先に血が通い、じんわりと温かくなった。杖を振ってもいないのにどこからともなく風が起こり、埃っぽい店内の空気が波立ていく。ふわっと辺りがオレンジ色の光に照らされたと思えば、杖の光だった。
緊張で浅く呼吸していたミーシャが深く息を吸うと、ふっと風が収まった。
杖をオリバンダー老人に返すと、ミーシャは胸を押さえた。心臓がどきどきと高鳴っている。
「すばらしい……実にすばらしい……。不思議じゃと思ってたが、これではっきりした。ポッターさんの杖も、あなたの杖も、偶然などではない。すべては必然じゃ」
ミーシャの杖を箱に戻し、茶色の紙で包みながら、老人は言う。
ここの大人たちは皆、私とハリー・ポッターを比べるように話す。
それはいったい、なぜなのか。
——ハリー・ポッターとは、誰なのか。
まだ高鳴る胸を押さえ、ミーシャは俯いた。
「オリバンダーさん……ハリー・ポッターって、誰なんですか?」
オリバンダー老人はぴたりを手を止めると、淡い色の瞳で、ミーシャの紫の瞳を覗き込んだ。
「わしが言えるのは、彼の杖のことだけじゃ。彼の杖は、柊と不死鳥の尾羽根。彼の杖に入っている尾羽根を提供した不死鳥は、あなたの杖に入っている尾羽根を提供した不死鳥の母親鳥じゃ」
老人は一瞬、間を空けた。
「不死鳥についての生態は、我々魔法族もはっきりとは解明していない。じゃがの、ルーマニアで研究されていた一羽の母親鳥……それが、ハリー・ポッターと、もう一人の彼に尾羽根を提供した……」
——もう一人の彼。
うなじの毛がぞくりと逆立った。
「もう一人の彼……」
「そうじゃ。イチイの木で出来た、強力な杖の持ち主……『名前を言ってはいけないあの人』じゃよ。彼とハリー・ポッターの杖は、兄弟羽で出来ておる。悲しいことに、彼の杖が、兄弟杖の持ち主であるハリー・ポッターを、恐ろしく有名にした。そして、今は無名のあなたも……」
「私……?」
ミーシャは息を呑んだ。
「ハリー・ポッターとあなたの杖は、親子羽で出来ている……親子杖じゃ。それと同時に、あの人とあなたの杖も親子杖じゃ」
「兄弟杖に、親子杖……」
「さよう。これは偶然ではない。必然じゃ。杖が持ち主を選ぶとはこのこと。あなたは選ばれたのじゃよ。彼らの親子杖に」
〜つづく〜
☆一年前から考えていた、杖の案です;
振り絞って、振り絞って、ようやく親子杖という案にたどり着いたのでした;
ミーシャの杖の不死鳥のお母さんが、ハリーとあの人の杖の不死鳥です。
つまり、ミーシャの杖から見るとあの二人はお母さんの杖、
あの二人から見るとミーシャの杖は子どもの杖ということになります。
