二次創作小説(紙ほか)
- Re: ハリーポッターと無名の生き残り ( No.9 )
- 日時: 2013/03/16 10:36
- 名前: プリア ◆P2rg3ouW6M (ID: X96rB3AK)
美沙には、両親がいなかった。物心ついた時から、この家に住んでいたのだ。
美沙自身、両親がいないというのに、自分をこの家においてもらっていることで、おじさんたちに感謝はしているつもりだ。理紗子と同じ、現在小学校六年生である美沙を、今まで学校へ通わせてくれたのもおじさんたち——何も、不満など持ってはいけないはず、と思っている。
とはいえ、おじさんたちの美沙を見る眼差し、扱いは、理紗子に比べると、随分とぞんざいだ。言葉遣いこそ普通だが、美沙を相手にしている時のおじさんとおばさんからは、冷ややかな気持ちしか伝わってこない。
自分のことや親のことをおばさんに聞くと、おばさんはさも迷惑そうな表情で、早口に答えた。
「あんたの誕生日は1980年1月16日よ。母親はイギリス人。父親は私の兄。二人はあんたと一緒に住んでいたイギリスで……交通事故で死んだわね。……これ以上聞いたら、うちにおいて置けないわよ」
おばさん、おじさんが不機嫌になることはしてはいけない——。美沙がそう感じた瞬間であり、自分の居場所を確保できる唯一の方法だと思った。
おじさんたちは美沙には必要不可欠な物以外は何も買ってくれなかった。自分へ使ってくれてもいいお金は、理紗子のおねだりですべてドブの中、だ。そのことは美沙が小さい頃からの慣れっこだったので、理紗子を羨ましいとは思わなかった。
そのかわりといっては何だが、理紗子の気に入らなくなったもの、服はもちろん本や小物などは、すべて美沙に回される。本や小物はいいとして、服は地味なものがどんどん増えていくばかりで、正直最近は捨ててしまおうかとも思っている。
そういった理由もあり、美沙が好きなものは、理紗子の好む豪勢なものとは正反対だ。
学校の通学路から自分の視界に入るもの——空や動物たち。
とりわけ、花は大好きだった。小学校の行き帰りの道端に生えている自然な花から、店で売っているような花までの、すべての花。理紗子が華道を習っているので、美沙はよく花屋に花を買いに行かされるが、むしろそれは美沙の楽しみにもなっている。
美沙が朝ご飯のみそ汁を温めていると、おじさんの大声が飛んできた。
「おい、新聞はまだか!」
そばに美沙という雑用係がいることもあり、おじさんは、必要最低限のこと以外の動作はしたがらない。昼食と夕食のカロリー計算された料理を無駄にしてやるくらい、朝食を油たっぷりにしてやろうか、と何度思ったことか……。
みそ汁を温め終え、机の上に朝食を並べていると、おばさんに連れられ、さらにめかした理紗子が現れた。細長い瞳が、美沙を見てふふっと笑った。
おじさんたちが食卓につくと、ようやく美沙も食事が出来る状態になったのだった。
「ねえ、パパ。なんのコンサートなの?」
理紗子が、みそ汁を箸でぐちゃぐちゃとかき混ぜながら言った。
おじさんは、ご飯を口いっぱいにほうりながら答える。
「ああ、隣町の音楽ホールの十周年記念の公演だ。有名な歌手が、オーケストラに合わせて歌を歌うらしい」
「へえ。じゃあ、もちろんいい席なんでしょ?」
「もちろん。パパの知り合いに音楽ホールの館長がいるからな。特等席のチケットを用意してもらったと言っただろう」
〜つづく〜
☆時間がないので、中途半端なところでブチりますw
