二次創作小説(紙ほか)
- Re: 黒子のバスケ【私にとって、君は光】 ( No.14 )
- 日時: 2013/03/17 22:27
- 名前: 詩隈伊吹 (ID: bKy24fC9)
第5Q【桃、天使と出逢った】
正直、青峰との1on1はなかなか手応えがあったと思う。
「っはぁ! ……はぁっ……」
膝に手をついて肩で息をしている青峰をみながらそう思った。
あたしの腕には勝利の証のバスケットボール。
「お前っ、強いっ……な」
「うん。ありがとう」
「否定も、しねぇのかよ」
「…………そんな事ナイッス」
「……」
息を整えて、青峰はあたしを見つめた。
「負けたの初めてだわ、俺」
「……うん」
少しばかり自慢じゃないか。
そう思いながら、返事をすると、
青峰は自分のシャツで汗を拭って、その場に座り込んだ。
「あ〜〜……すっげぇ、熱い。久しぶりに熱くなったわ」
「おう」
あたしも青峰の迎えに座る。
あたしも汗をかいたけど、もう乾いた。
だけど、青峰の汗の量は半端じゃない。
(本気、出しすぎたかな)
「お前」
「……ん?」
「名前は」
「時雨沢梓」
「梓?お前、女?!」
「……あたしっつてんじゃん」
「嘘だろ。俺、女に負けたのかよっ」
「そうだね〜」
「……はぁ」
青峰は悔しそうな顔をしながらも、すぐ笑顔になった。
「まぁ、また挑戦して勝てばいいかっ!」
この顔を見て、あぁこいつはバスケが好きなんだなぁと改めて思った。
1on1をしている最中も、しょっちゅう笑顔がかいまみえた。
(てか、またって)
青峰はそこそこ強いから、やる方としてもめんどくさい。
すぐ勝てないじゃないか。
「……つか、マジあいつらどこいったんだ?全然帰ってこねーじゃん」
「あいつらって、黒子達?」
「あぁ、一軍が体育館つかってるからな。テツもいる」
「……練習ないんじゃないのか?」
「それはねぇよ。……んー……まぁいいや。なぁ、梓!もっかい1on1や……」
青峰があたしをまた1on1に誘おうとしたときだ。
ガラガラッ
体育館の扉が開き、汗だくのバスケ部員達がやってきた。
一軍だろうか、みんないい体格をしている。
「あっ、青峰くん!」
選手にまじって、ピンクの髪の可愛い女の子が青峰の名前を呼んで走り寄ってきた。
(わぁお。ナイスバディですね)
そんな不謹慎極まりないことを思ってしまった。
やばいやばい。
「もうっ、どこいってたの?今日は外周しに行くって赤司くんが言ってたじゃないの!」
「あ、忘れてたわ」
「……忘れんなよ」
あ、そういえばみたいな顔の青峰にツッコミをいれると可愛子ちゃんと目があった。
「あれ、時雨沢さん?」
「え……そうだけど」
なんで知っているのだろうか。
あたしは知らなかったのに。
だって、人数多いんだもんな帝光って。
「やっぱり!どうしたの?青峰くんと知り合いなの?」
「……まぁ、知り合いっていうか……ねぇ?」
「ライバルっ!」
「待て。勝手にライバルにするな」
ものすごいキラキラな笑顔の青峰を冷たく突き放して、可愛子ちゃんに向き合う。
「えっと、あたしは君の名前知らないんだけど。教えてくれる?」
「あっ、うん。桃井さつき! よろしくね」
「うん、よろしく桃井さん。あたしのことは梓でいいよ」
「じゃあ、あたしもさつきでいいよ!」
ニコッと天使のように笑うさつき。
(可愛い……)
その事しか、いまのあたしの胸のなかになかった。
『ピンク、天使ちゃんと出逢う』