二次創作小説(紙ほか)
- Re: 黒子のバスケ【私にとって、君は光】 ( No.21 )
- 日時: 2013/03/18 22:09
- 名前: 詩隈伊吹 (ID: Ee54ZFC1)
第8Q【腐れ縁の、白さん】
結局、あたしは黒子に会えなかった。
約束の時間が迫っていたし、それに黄瀬くんと青峰が1on1ってウザイし。
とりあえず、逃げるように体育館から逃げ出した。
「はぁ……明日、もう一回いってみよう。」
行けばまた、絡まれそうだけど。
黒子に会いたく……は?!まてまて、あたし!
黒子とは1回しか会ってないし、目的違うじゃんっ!
いや、なんか、もう……。
うああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
「梓ー!!」
頭がこんがらかって、ふらふらしながら歩いてたあたしは聞き覚えのある声で一気に現実に戻された。
改めて周りを見ると、目的地の公園。
そのなかのバスケコートに白い髪の男が手をふっている。
「おーい! 早く来いよー!!」
白戸 リヴ。
フランス出身のハーフ。
あたしの従兄弟にあたる。
(……あいつの顔、なんかムカつくな)
今、あたしは機嫌が悪いらしい。
すごくムカムカする。
「……さぁ、さっさとやって帰るか。」
そう呟きながら、あたしはコートにむかって歩き出した。
そのまま、パーカーを脱ぎ捨てTシャツになる。
リヴはかなりのプレーヤーだ。
あたしと互角くらい?
まぁ、負けた事ないけど。
「ふっふっふっ……今日は新技を披露するからねー!覚悟して……」
「うん。さぁやろう。はい、スリー」
「ふぇっ?! 待ってよ! 話しは最後までっ!」
「うっさい。あたし、すごくムカムカしてんのっ!!」
力任せにダンクを決める。
バックボードとリングがメキッて音たてたのには気づかないふりをする。
ダンクして、少しの間その場に立ち尽くす。
そんなあたしを見てか、リヴはあたしの方に近づいて来た。
「どしたの?梓が感情的なバスケするなんて、珍しいじゃんないか」
(感情的なバスケ、ね)
そうかも知れない。
今までこういう気持ちでバスケはしたことはなかった。
「……座ろ。話し聞かせてよ」
そういってリヴはあたしの肩をだいて、バスケコートの脇のベンチに座らせた。
こういう時、リヴはすごく頼りになる。
なんとなく、大人な対応があたしを楽にさせてくれる。
だから、なんでも話してしまう。
「あたしさ、バスケチーム辞めた」
「どうして?」
「前から言ってたでしょ?自分のバスケができないって。親のしいたレールを走らされてるだけだって。自分の意思でバスケしてないんだなーっておもったら、なんか、あのチームにいれなくなって。今だって、バスケをする理由が見つからないんだ」
「梓は、理由を求めてるの?」
「うん。もともと親の進めでやり始めて、それから簡単に親の誘導にのせられてるじゃないか。……あたしは、それでいいのかなって」
「……」
「……確かにね、あたしは理由を求めてる。だって、不安だもん。なんか、今までレールの上を走っていた分、自分で走るのは慣れてないから。怖くなるんだ」
そう、不安なんだ。
自分の意思で始めていないバスケ。
親の作ったレールの上を走らされていた10年間。
だけど、多分あたしはバスケが嫌いじゃないんだと思う。
それは、今思ったこと。
だって本当に嫌いだったら、今日青峰とはバスケしてない。
それに、青峰とバスケして楽しかった。
黒子に練習相手になってほしいって言われたとき、あの時は、心が無意識に不安になっていたんだと思う。
だから、ああやって黒子を拒絶したんだ。
ズキッ……
胸の痛みを感じた。
そうか、あたしは自分でおもっている以上に心が弱いのかも知れない。
だから、不安だったから。
素直になって、黒子に謝ろうとしたんだ。
そうすれば、この不安が紛れると思って。
「梓……。もう、帰ろうか」
「え?」
突然、声をかけられてあたしは立ち上がったリヴを見上げた。
「だって、もう。君のなかで答えはでそうなんだろ?じゃあ、僕の助けは必要ないよね」
そう言って、あたしに微笑む。
その表情はすごく綺麗で、ムカついた。
でも、すごく、嬉しかった。
だから、少し素直になって言ってみる。
『ありがとう。』