二次創作小説(紙ほか)

Re: 黒子のバスケ【私にとって、君は光】 ( No.22 )
日時: 2013/03/19 05:47
名前: 詩隈伊吹 (ID: DJvXcT4Z)

第9Q【仲直りの笑顔は君と】


次の日の昼休み。
あたしは、お弁当を食べる場所を探していた。
今日は天気がいいし、気分転換にと思って。

(黒子にどう声かけるか考えたいし)

そんな事を考えながら弁当片手に廊下を歩いていると、前方から見覚えのある顔が。

「あ、」
「あ?梓じゃねぇかよ! いまから飯か?」

青峰にあってしまった。
いや、別に嫌じゃないけど。

「そうだけど。青峰は? 飯食べたのか?」
「あぁ。さつきの弁当半分。」
「さつきのって……自分のは?」
「朝に食った。」
「早弁かよ。……さつきが、哀れなんだけど」
「いつも、食ってるし。さつきの母さんの料理はうまいんだよなぁ」

しみじみ頷いてる青峰の光景がすごく似合わないと思うんだけど。
そしてふと、青峰が何かを思い出したかのように言い出した。

「あ、そういや。赤司が放課後バスケ部にこいって言ってたぜ?」
「赤司くんが?」

なんのようだろうか。

「あ、それと。……なんだっけ。あぁ!テツだよ」
「?! 黒子?」
「おう。今日はちゃんと部活にいるからな。お前、テツ探してたんだろ?なんかテツにいったら、あいつもお前のことさがしてたみたいでよ」
「黒子が?あたしを?」
「あぁ」

何故か、心がポカポカした。
これは、安心だ。

「行く。放課後でしょ?」
「おう。じゃ、俺は寝てくる。またな」

そう言って、青峰は大きなあくびをかましながらあたしの横を通り過ぎて行った。

(というか、これから授業あんのにいいのかよ。寝るってさ)

そんなことを思いながらも、あたしはまた弁当を食べる場所を探して歩き出した。


放課後。

ポカポカした気持ちのまま、あたしは男子バスケットボール部が練習している体育館に向かっていた。
足取りは軽い。やっぱり、黒子と話すことができるからだ。心が安心してる。
あっという間に、体育館の入り口についた。
早く来すぎた感じがするがまあ遅れるよりはいいだろう。

ガラガラッ

扉を開けると、そこにはあたしの探してた人。

水色の色素の髪。
白い肌。
少し低い身長。

「……黒子」

まさか、来てそうそう会えるとは思わなかった。
取り敢えず、練習している黒子に近づいて行くことにした。一生懸命にドリブルの練習をしていて、彼はあたしの存在に気づいていなかった。

「……黒子くーん」

そういいながら、あたしは彼のドリブルしていたボールをかっさらった。

「あっ!! え?梓さん、ですか?」
「うん」

彼は一瞬驚いた顔をしたけれど、すぐにもとの表情に戻る。
それから、何故か下を向いてしまった。

(……え?どうしたんだろ。はっ、まさか俺があの時冷たい態度とったからっ)

そうだ、あたしは謝りに来たんだ。
こういうのは、早く謝ったほうがいいよな!

「ごめんッ「ごめんなさい」

二人の声が重なった。
驚いて顔をあげると、黒子と目があった。
なんとなく、沈黙が流れてなんか言わなきゃと思ってまた口を開く。

「「あのっ」」

やっぱり重なった。

「「先どうぞっ」」

譲るのも重なった。

偶然が続いたために、あたしはなんだか笑いがこみ上げて来た。
黒子もどことなくあたしをみて微笑んでいる。
その表情に、安心を覚えたあたしは口を開いた。

「あのさ、この前冷たく断ったりしてごめん。あんときはさ、バスケって聞いて神経が尖っちゃったんだ。別に、黒子が嫌いとか、そういうのじゃなくて……」
「分かってます。僕もいきなりごめんなさい。貴方にとって僕はまだ見知らぬ人ですもんね。」
「いや、黒子があやまっちゃだめだろ? あたしが悪いんだよ!」
「いえいえ、僕が……なんてやるとまた同じことの繰り返しですね?」

口元に笑みをこぼしながら彼は言った。

「あの、仲直りということでいいですか?」
「あ、うん。いいよ」

不思議と笑顔になった。
すごくポカポカする。

「それと、黒子じゃなくて、テツヤでいいです。僕も梓って呼びます」
「うん。よろしくな、テツヤ」
「はい。梓」

あたし達は笑いあった。




『テツヤから名前で呼ばれたことが、素直に嬉しかった』