二次創作小説(紙ほか)

Re: 黒子のバスケ【私にとって、君は光】 ( No.49 )
日時: 2013/03/23 19:22
名前: 詩隈伊吹 (ID: T4clHayF)

第1Q【逢いたい。逢いたくない。】


帝光中学校バスケットボール部。
部員数は100を超え
全中3連覇を誇る超強豪校

その輝かしい歴史の中でも特に
「最強」と呼ばれ
無敗を誇ったーーー
10年に1人の天才が
5人同時にいた世代は

「キセキの世代」と言われている

ーーが「キセキの世代」には奇妙な噂があった
誰も知らない試合記録も無い
にも関わらず天才5人が一目置いていた選手が
もう1人ーーー

幻の6人目がいたーーーと

そして、
そんな「キセキの世代」に負けるとも劣らない

『兎』と呼ばれた少女がいた、と。





「よくやったなっ!梓っ!」

監督が片言の日本語であたしを褒めた。
他の選手達も、あたしを囲んで勝利を喜んでくれた。
頭を撫でられたり、抱きつかれたり。

『「ううん。みんなのおかげだよ!最高の引退試合にになったよ」』

あたしも片言の英語でみんなに微笑む。
選手のみんなは苦笑いしたり、すすり泣いたり。
あたしは、本当に愛されてたんだと思った。

『お前がきて、チームがすごく明るくなったよ。バスケが本当に楽しくなった』
『今まで、ありがとうな』
『うわぁぁんっ、梓!』
『「あははっ、うん。楽しかったよ!あたしも」』

選手のみんなが声を掛けてくれる。
キャプテンの号令で、整列に向かう。

『『『ありがとうございましたっ』』』

これで、チーム最後の試合が終わった。

結果は115対56。
あたし達チームのトリプルスコアでおわったのだった。




中学2年生の夏。
あたしは、アメリカ留学をはたした。
中学にあがってから、父の勧めでいろいろ準備をしていたもの。
勿論、バスケの為に。
そして、誰にも知られないうちにアメリカに行った。
そう、誰にも知られないうちに。

『じゃあな、梓。日本でもバスケ続けろよ』

日本に行く飛行機に乗る為に、あたしは飛行場にきていた。
そして、チームのみんなが見送りにきてくれた。

『「はい。」』

キャプテンが頭を撫でてくれる。
にこっと笑う顔がとても美しいと、男性にモテる。

『うわあぁぁんっ!梓ぁ、行かないでよぉ、やっぱ行っちゃえぇ』
『「どっちですか、先輩……」』

泣き虫なチームの先輩。
このチームに入ってからいろいろお世話になった。
いつもいつも、一緒に1on1しようと言ってくれていた。

『梓、日本に帰っても俺たちはバスケで繋がっているんだ』
『「キャプテン、監督がくさいセリフを……」』
『ぅおっ?!』
『本当だな。加齢臭もそのうち香るぞ』
『うわあぁぁん!いやだよ!加齢臭嫌いだぁ!』
『お前等っ!練習5倍にすっぞぉっ?!』
『「あはははっ!」』



あたしのアメリカでの1年間。
このチームでバスケをして、本当に楽しかった。
練習だって、試合だって、あの頃とは違う。
あたしのバスケをする理由がそこでしっかりあった。

楽しい、そう思うたびあたしは彼等を思い出す。



「……バスケ、あたしは大好きだ。だから……」



あたしは、日本に帰った。
そして、日本の高校に入学する。

それから、彼等に逢おう。
また、バスケをする為に。




『あたしは好きになりました。みんなでやるバスケを』