二次創作小説(紙ほか)

Re: 黒子のバスケ【私にとって、君は光】 ( No.50 )
日時: 2013/03/23 18:48
名前: 詩隈伊吹 (ID: XrwZbEH8)

第2Q【矛盾する、心】


飛行機は時間通り、空港に着いた。

ガヤガヤ賑わう空港の中、あたしは人を探していた。
迎えに行くと言っていた彼。
それなのに、時間を守れないのかっ?!

「梓ーーーー!!」

その時、聞こえた声。
そして飛び込んできた白髪、というか銀色っぽい髪。
無駄にカッコいい顔。

「リヴ、遅い。そして苦しいよ」

リヴに抱きしめられながら、あたしは口を尖らせる。
ギュウギュウきつく抱きしめられ、苦しいってもんじゃない。
それに、にわかに恥ずかしい。

「うぅ……梓だよね?」

ずずっと鼻をすする音。
泣いているのかな。
そう思うとむげに彼を引き離すわけに行かない。
だからあたしも、彼の背に手を回して呟いた。

「ただいま……」

あたしがアメリカに言った理由は、留学もあったけど親の離婚のこともあった。
父さんと母さんはあたしが中学に入った頃から別居していた。
チームに入れられたのは、その頃。
母さんがあたしを引き取りたいが為に、自分の監督するチームにいれたのだ。
あたしを引き取れば、バスケが上手い娘として鼻が高いからだろう。
だからあたしは、どちらについていくと聞かれた時迷わず「父さん」と答えた。

「梓、叔父さん元気?」
「うん。仕事忙しいみたいだけど、電話くれるよ?」
「そっか、よかったよ。離婚のこと聞いた時はびっくりしたけど。ちゃんと幸せでしょ?」
「うん、そうだね……」

リヴの言葉にあたしは微笑んだ。
タクシーと中で、あたし達は話し込んだ。
アメリカの事。チームの事とか。
リヴは大学のバスケチームの事とか、大学の単位の事とか。
それから……

「彼等、『キセキの世代』は全中3連覇をはたしたよ」

わかっていた。
彼等は強い。きっと、才能が開花したのだろう。
あの5人は最強だから。

そして……テツヤだって。強くなったのだろう。

「梓?」
「っあ、なに?」

思わずボーと考えてしまった。
肩をたたかれて我に返る。
慌ててリヴの方を向くと、リヴは苦笑して言った。

「黒子テツヤのこと、考えてたでしょ」
「……うん、そうだよ」

素直に頷いた。
嘘つく必要なんて、なかったから。

「彼、全中3連覇をとげたあとバスケ部を辞めたそうだよ」
「え?!……テツヤが?どうして……てか、なんで知ってるの」
「ふふふ、秘密」

意味深に微笑むリヴを小突く。


彼、テツヤを思い出すと胸が苦しくなる。
罪悪感で、いっぱいになる。
できれば、逢いたくない。

でも、逢いたい。

そんな矛盾する心にどうすればいいのか、あたしはわからない。



『逢いたいけど、君は……』