二次創作小説(紙ほか)

Re: 黒子のバスケ【私にとって、君は光】 ( No.64 )
日時: 2013/04/02 19:18
名前: 詩隈 伊吹 (ID: y0qltvGJ)

第7Q【迷惑をかけるな、馬鹿】



「……分かったっス。でも、黒子っち……やっぱ心変わりは……」

あ、なんかイラッとした。
テツヤの本気を邪魔する奴。
……あたしはゆらりと立ち上がって、舞台袖から出る。
なんか、無性にイライラした。いろいろと。

「黄瀬涼太くん。……お久しぶりです」

なんていいながら、舞台から降りる。
は?みたいな顔しながらこちらを振り向く涼太。
そして、あたしの突然の登場に驚く誠凛さんたち。

「……え」

それからテツヤ。

「……あ、梓っ……ち?」

涼太と目があって、少し笑う。
覚えてるかちょっと不安だったけど、覚えててくれているみたいだ。
本当は、今すぐにでもテツヤを抱きしめたりしたいけど、少し涼太にお仕置き。

「どうも。変わってないね、外見」
「えっ?!梓っちなんでいるんスか?!」
「そりゃ、まだ死んでないから」
「そういう意味じゃっ……」
「うん。取り敢えず、」

バゴッ!!

「はぎゃぁ!?」

涼太に蹴りを入れる。
涼太は倒れはしなかったけど、顔を歪める。

「ちょっ、なにするっスか!」
「おーぉ……涼太、お前自分がなにやったか分かってねぇのな……」
「……え。ちょ、梓っち?……怖いっスよ?」
「お前な、テツヤの本気……まぁいいや。」
「……あ、梓っち?」

氷点下の吹雪が吹く。
涼太、誠凛さんたちの顔が青ざめる。

「ちょっと、お仕置き……されよっか!」

その時あたしは、とてもいい笑顔をしていたという。



「ちょっと、黒子くん。彼女は?」

誠凛高校カントクの相田リコが隣にいた黒子テツヤに話し掛ける。
黒子はまだ信じられないというような顔をしている。
しかし、火神に揺さぶられ「あ、はい」と返事をする。

「彼女は、帝光時代『キセキの世代』の練習相手だった人です」
「練習相手?」
「はい。2年生からでしたが、部員としていました」
「というか、彼女。何処かで見たことが……」

リコが何処だっけと首を傾げる。

「彼女は……『兎』ですよ」
「うさぎ?」

それまで黙っていた火神が呟く。
火神もどっかで聞いたコトあるな、とぼやく。
日向、伊月はそろって「あーー!」とか叫んでいる。

「お、思い出したわ!女子バスケ界期待のルーキー『本堂梓』!」



「……成る程。梓っち、帰って来たんスか」
「うん。いろいろあってね。さぁ、1on1やろうか!」
「……正直梓っちに勝つ気あるっスよ、オレ」
「ふーん……じゃぁ、ちゃっちゃとやろうか。」

涼太は不敵に笑って、火神とやった時に落ちたボールを拾いに行く。
……あたしだって、なにもしてきてない訳じゃないっての。

「梓」

「……テツヤ」

やっぱり、あたしのことを呼ぶ声もなにもかもあの頃のままだね。
後ろから声をかけられて、あたしは振り返る。
少し困惑気味のテツヤは、なんかおかしかった。

「梓、あの」
「……あのさ。いろいろ、終わったらはなそーか!」

今は、涼太とバスケしてみたい。
テツヤに微笑みながら言った。

「……はい。」
「うん……よしっ、あたしも成長したんだからな!」

「梓っち!」
「はいよ」

涼太が投げてきたボールを受け止める。
帝光の時と同じ、あたしが先行。
涼太、わかってるじゃん。
涼太に笑いかけると、涼太も笑い返してくれた。




あたし達はコートに向かい合った。