二次創作小説(紙ほか)

Re: 黒子のバスケ【私にとって、君は光】 ( No.71 )
日時: 2013/04/03 06:03
名前: 詩隈 伊吹 (ID: 7SkUnWJm)

第9Q【思い出は儚いもの】



あたしは即行でバスケ部入部をはたした。
リコ監督や、その他バスケ部員の皆さんに土下座され。
……土下座されて。
そして、取り敢えず自己紹介を終えて今日の部活は終わったのだった。

「それじゃぁ、本入部届け。書いてきてね」
「はい。これから、よろしくお願いします。リコ監督!」

差し出された本入部届けを笑顔で受け取って、あたしは帰るリコ監督を見送った。あたしは、テツヤを待って校門で待機。
しばらくして、テツヤが走ってくるのが見えた。あたしは寄りかかっていた校門から身体を離して、テツヤがくるのを待った。

「すみません。着替えるのに手間取りました。」
「平気だよ。テツヤ待ってるのって楽しいしさ」

何故だかよくわからないけど。中学の時からそうだった。
他の人に待たされるのは嫌いなのに、テツヤだけはとても楽しかった。
……本当、何でだろう。

「そう、ですか」
「うん。……で、どうしようか?」
「え?」
「……今までのこと、聞きたいんじゃないの?」
「そうですね。……聞きたいです」
「……そうだな。歩きながらでいっか」
「そうですね。……送ります」
「……送ってもらうほど、やわじゃないよ?」
「僕が送りたいんです」

テツヤの語尾が強くなる。
……テツヤって意外と頑固だよね。


「……梓は、やっぱりアメリカにいったんですね」
「やっぱり?」

家に着くまで、喋れるだけのことは喋ろうと思って話しながら帰る。
隣を歩くテツヤは、やっぱりテツヤで嬉しくなる。

「はい。雑誌とか、よく見かけてましたから。『新人ルーキー、天才兎』って」
「その『兎』っての嫌い」
「……どうしてですか?」
「……なんか。だって、兎って淋しいと死ぬとかあるじゃん。勘違いされそう。」
「あながち間違ってはな……「うわぁぁぁぁぁぁぁっ!」

あたしが叫ぶとテツヤはクスクス笑う。
あぁ、前に戻ったようだ。帝光時代、まだテツヤと出逢って間もない頃のような。
あの時は他にも……

『あぁ!!青峰っち!それはオレのアイスっスよ!』
『たかがアイス一口ケチるなよ、黄瀬!あ〜うめぇ』
『全部、食べないでくださいっスよ!一口じゃないっス!』
『うるさいのだよ黄瀬、青峰。もっと静かに食べ……っな?!』
『んー、ミドちんさっきからアイス減ってないね。食べたげる』
『!?紫原!もうたべているではないのか?!お前は箱ごとかっただろう?!』
『んん〜〜』
『紫原。もう食べるのをやめたらどうだ。虫歯になるぞ』
『……赤司くん、お母さんみたいだよ』
『んぉ、さつき、アイスよこせ』
『きゃ!青峰くん!やめてよ!』
『あ、桃井さん。コレ』
『え?!テツくん!また、当たったの?!』
『なんだと?』
『スゲーな、テツ!』
『黒子っち、さすがっスね!』
『……でも、頭がキーンってします』
『弱すぎなのだよ』


思い出す。
彼らとの日々。
あたしは、あんな日々を取り戻したくて。
強くなって、あいつらを負かして……
あの頃のあいつらを、思い出して欲しいんだ。