二次創作小説(紙ほか)

Re: 黒子のバスケ【私にとって、君は光】 ( No.74 )
日時: 2013/04/03 17:58
名前: 詩隈 伊吹 (ID: YD0nNCEn)

第10Q【テツヤとテツヤ】



「ここだよ。家」
「……ここに一人で暮らしてるんですか」

あたりが暗くなりはじめたころに家についた。
テツヤはあたしの家を見てビックリしている。
だよな〜、一人暮らしでこの家の大きさはないよなぁ。

「そうだ。……ねぇテツヤ、ご飯食べてく?」
「いいんですか?」
「うん。えへへ……やった」

あたしはテツヤをご飯に誘った。
思えば初めてだ。人をご飯に誘うの。

「ちょうど、父さんが送ってきた野菜とかあるからさ」
「え、梓が作るんですか?」
「……さつきじゃないから、料理くらい人並みにできますよーだ」
「そ、そうですね」

テツヤはさつきの料理を思い出したのか、顔を青くした。
うん、あれはトラウマものだよね。分かる。

「そういえば……」
「んー?」

家の鍵をさがして鞄をガサゴソやっていると、後ろでテツヤが呟いた。

「苗字、“本堂”になったんですよね」
「……うん。父さんの方についてったから。」
「?でも、“時雨沢”って」
「父さんが、嫁いでいったもので」
「なるほど」

なんて話しながら、家の鍵をあける。
そしてテツヤをなかにいれて、内から鍵をかける。
用心に越したことはないからね。

「……」
「テツヤ?どした……」
『わふっ』

テツヤが固まっていたからどうしたかと思って、テツヤの視線の先を見る。
そこには、テツヤがお行儀良く座っていた。
あ、忘れてた。

「犬ですか」
「うん。番犬」
「名前は?」
「名前はテ……」
「テ?」

そうだった、名前がテツヤと一緒だった。
あぁ〜しくった。

「梓?」
「名前は、」
「はい。」
「テツヤです」
「え?」
「テツヤ」
「……犬が?」
「うん」
「……テツヤ、ですか」
「うん。返事するよ、この子」
「返事?」
「テツヤー」
『わふっ!』
「……もう定着してるんですか」
「うん。ゴメン」
「いえ、むしろ」
「……なに?」
「……いえ、なんでもないです。お邪魔します」
『わふわふっ!』

テツヤはお客様が来て嬉しいのだろう。
テツヤにまとわりついてる。……なんかややこしいな。
テツヤは靴をきちんと揃えて家にあがっていく。
あたしも靴をぬいで、はじに寄せて家に上がって行った。